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「IKIGAI」を読む生きがい・了

2018年08月13日 | 読書
 この本に載せられているエピソードは本当に面白い。高価なフルーツ生産、相撲力士のキャリア、伊勢神宮、明治神宮の歴史、行きつけのバーの素晴らしさ。外国人向けに書かれたが、日本人であっても知識として一般的でない、気づかなかった内容も多いのではないか。その意味では日本自体を考える著とも言える。


2018読了78
 『IKIGAI 日本人だけの長く幸せな人生を送る秘訣』
 (茂木健一郎  恩蔵絢子/訳  新潮社)



 最も印象深いエピソードに、皇室に仕える雅楽のことがある。特別な場合にしか耳にすることのない雅楽、その演奏の機会は皇居内では頻繁にあるというのだ。そして、そこに聴衆はいない。もちろん一つの職業として存在するが、その音楽、舞踊が高度なレベルで演じ続けられることに、深い精神性の神髄を見る。


 著者は「人生では、我々は時に、優先順位や価値の置き方を間違える」と書く。報酬や他からの評価に目を奪われがちな生き方を、時に振り返り「自分の幸福の第一の源」を自らの行為の中に見いだす姿勢を心がけたい。そのためにも、小さな喜びを感じられることを、小さく始めてみる「今、ここ」を意識してみる。


 さて歌謡曲の曲名から始まり、小野二郎、小さな喜び、この国の特殊な環境、こだわり、好奇心、マッカーサー、アニメ、宮崎駿、生きがいの五本柱、オノマトペ、宮沢賢治、持続可能性…キーを打つ指の趣くまま書き散らした。自分で読んでも独りよがりの感が強い。しかしこの行為自体にもわずかな喜びはある。


 読書メモや雑感のネットへのアップはある面自己顕示に違いないが、混沌とした状況の中では、表現をコントロールする篩いのような役割も果たしているだろう。書き留めるなかで、内省したり新たな気づきを得たりすることも少なくない。恣意的に始め、長期間となった。ささやかな「こだわり」は色づいているか。