すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

PR誌を読み入って

2018年12月03日 | 雑記帳
 定期購読している新潮社の『波』が送られてきた。一緒に話題の『大家さんと僕』の70万部突破!!特別小冊子(¥0)が入っていて、先ずそちらをめくってみた。35ページあって漫画やら対談、鼎談、手塚治虫文化賞受賞スピーチなどが収められている。PR本には違いないが、なかなかいい仕上がりだ。読み入った。



 「間借り経験者」の能町みね子、春日俊彰との座談会は前に『波』で読んでいたが、絵本作家ヨシタケシンスケとの対談は初見で、なかなか脱力感に満ちた話だった。ヨシタケの『りんごかもしれない』などを使い、表現学習をさせたのは現役最終実践(笑)かもしれないな、と思い出した。そのヨシタケの言葉が面白い。


 「僕は失敗したときの言い訳のために沢山の球を投げるようにしているところがあります。」「言い訳が外部に用意されていると心が楽になりますよね。」…ユニークな絵本をかくヨシタケだが、色をつけるのが苦手でデザイナー任せという衝撃の話もあった。こだわりが少ないことが不思議な魅力を生み出しているのか。


 矢部の発言も興味深い。芸人としては面白くないという自覚を吐露しつつ「面白い人は面白いことをいっぱい言えるんです。でも実は面白くないこともいっぱい言っていて。つまり数を打つことが怖くない人なんです。」と鋭い観察力も発揮している。その眼がエッセイ漫画にも十分に表れているから、売れたのだろう。

 「さんぽ」という四コマ漫画。無粋を承知で文章で引用する。

 大家「歩くの のろくてごめんなさい」
  矢部「(いえいえ)とんでもないです」

 大家「年だから、もう転べないのです(次 転んだら…)」

 大家「矢部さんはいいわね。まだまだ何度も転べて」
  矢部(いやあ…)

 二人で手をつないで歩く。



 こうきたか、と思った。ベストセラーを注文することにした。