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もう一度、叱られる…

2018年12月28日 | 雑記帳
 S先生とは二度同職した。初めは大学を卒業したばかりで臨時講師となり、山間部の小規模校に勤めた半年間だ。「カミナリ先生」と題してここにも記した時期で、まさに右も左もわからない状態だった。記憶はおぼろげだが、S先生はおだやかな表情でいつも見守っていてくれた。酒が入ると陽気で楽しい方だった。


 次は、町平坦部の学校で一緒になった。採用後3年を経ていたが、「イノシシ教師、うまくまわれず」と題し綴ったほど、あまりに思い出深い職場であった。生意気を絵に描いたような教師だったので、管理する側からみれば本当にやっかい者の自分を、陰になり日向になり支えてくれたのはS先生だった。間違いない。



 S先生はその学区に住居を構えており、何度かご自宅へお邪魔して酒を酌み交わした。なかに忘れられない思い出がある。組合活動に関する話をしていた時だった。その時分、研究集会などへ非組合員として参加しながら、加入を躊躇っていた私は、前任校での職員の不甲斐なさや運動の半端さを指摘したのだった。


 それに対しS先生は毅然として持論を展開した。めったに見せたことのない強い口調だった。その詳しい中身を一つ一つは思い出させないが、ふいに自分が涙を抑えられなくなったことは鮮明に浮かぶ。ああ叱られていると思った。協力や団結を子どもへ偉そうに語る自分のいい加減さを、見事にえぐられたのだった。


 長くおつき合いさせていただいた。地元に詳しいゲストティーチャーとして勤務校に招き、子供たちの前で語っていただいた時もある。奥様を亡くされてからも、しっかり心身の管理をされていることに感嘆したものだったが…。訃報に接し最近の無調法を詫びずにいられなかった。もう一度叱られるべきでした。合掌。