すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

寄り道気分の読書

2018年12月17日 | 読書
 向上心を維持するには、「旅」あるいは「読書」

 その通りと思う。意識してきたことでもある。

 そろそろ今年の振り返りの時期だが、旅も読書も中身が問題だ。

 どちらも方向はだいたい決まっているのだが、寄り道も楽しいね…といった感じで読了した2冊。


2018読了115
 『ハル』(木皿泉  マッグガーデン)


 著者の初アニメ脚本のノベライズ。アニメへの関心が強いわけでもないので、作品は未見である。
 監督やプロデューサーとの特別座談会が巻末に収められている。少女漫画の範疇に入るとされるが、やはり木皿脚本の魅力があり、なかなか読ませる物語だ。

 舞台は2030年代の京都。こうした設定の中に普遍的なものを込める意味は大きい。私たちは何を守り、どう進んでいくのか…その問いかけが内容されている。
 ほんの些細な表現だが、七夕の短冊についての解釈に感心してしまった。

 「願いごとがかなうことより、自分の願いごとが、みんなのと一緒にここにある、そのことを確認して、うれしくなる。だから、そんな風習を何百年もつづけてきたのだろう」



2018読了116
 『ご縁とお役目』(矢作直樹  ワニブックス「PLUS」新書)


 著者は救急医療を手掛ける医師でありながら、霊や神という科学の枠を越えた存在について多く言及している。この新書にも多くの記述があり、読む人によってうさん臭さを感じる場合もあるかもしれない。
 しかし、そうした感じ方も含めて全て受容する姿勢を貫いていることに、一種の清々しささえ覚える。某小人数政党の候補者として選挙にも出馬したが、比例の最下位という位置づけも頷けるものがある(笑)。

 いずれにしても、人が「ご縁」と「役目」を大切にする生き方は肯定したい。
 この本は、神道の歴史観を体現する言葉「中今(なかいま)」の意味を知っただけでも価値がある。

「過去でも未来でもない、現在の自分が大事、現在の振る舞いが大事、現在の気持ちが大事」