山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

山梨県県南部の渓谷に生育するシダを訪れる  令和2年8月8日

2020年08月11日 | シダの仲間
 4月にも訪問している渓谷(といってもほとんどは林道歩き)であるが、ずっと気になっている植物があった。見つけた時はヒメサジランだと思っていたのだがどうも違うようである。シダの図鑑で調べても何だか分からず、新種なのか、それとも苔なのか?もしシダならばそろそろソーラスを付けている頃である。新たなシダの情報をいただいたこともあって探索に出かけてみる。


    この周辺はイワヒメワラビの群落が至るところで見られる。


    それに混じって、ちょっと違うシダが生えていた。


    裏側にはソーラスがたくさん付着している。


    裂片の先端部に付着するソーラス。葉軸には毛が多い。


    これはコバノイシカグマ。山梨県ではあまり見かけないシダである。以前にもこの林道で見かけているが正体不明だったシダ。


    満開だったこの紫色の花。


    法面の石垣にたくさん咲いてくれていたイワタバコ。


    沢沿いの苔の生えた場所を探索していたら小さなランが生えていた。


    トンボソウ


    この場所のトンボソウはかなり小型だった。


    チャセンシダ。何ヶ所か生育しているらしいが1ヶ所しか見つからず。


    サジラン


    線状のソーラスが付着


    イノデ、だが何イノデ?


    ゴッソリと付いている鱗片は幅広い。


    葉軸の鱗片は細長く密生している。ソーラスは辺縁寄りに付着。さてこれは?イノデということにしておこう。


    光沢があるイタチシダの仲間が生えていた。


    鱗片は幅が広く、普通のイタチシダとは異なる。


    これはミヤマイタチシダであろう。富士山樹海の森にはたくさん生育しているがここで発見したのは1ヶ所のみだった。


    イヌワラビの仲間であろうがちょっと違う。


    ソーラス


    おそらくホソバイヌワラビと思われる。


    こちらが情報をいただいたシダ。普通に見ればヒカゲノカズラであるがちょっと違う。


    たくさん生えていたが確認できたのは1ヶ所だけだった。


    胞子穂の枝分かれの部分の柄(小梗と呼ぶ)が短く、エゾヒカゲノカズラと思われる。


    確認したかったのがこのシダだかコケだか不明だった植物。


    半透明の葉にはソーラスの痕跡が無い。調べてみると、クモノスゴケという苔の仲間だった。


    ガクアジサイと渓谷の滝


    堰堤


    堰堤を越えてみるとハシゴがかかっていて河原に下りられるが・・・これを遡上するには覚悟がいる。ここまでで撤退。

 何だか分からなかった植物はソーラスが付いておらず、帰って来てからネットで調べたところクモノスゴケという苔の仲間であることが判明した。シダでは無かったが、新たに見つかったエゾヒカゲノカズラやコバノイシカグマに出会えていろいろと収穫の多い探索となった。ではまだ見ていないヒメサジランはいずこに?また探索に出かけてみたい。

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高層池を再訪する  令和2年8月7日

2020年08月11日 | シダの仲間
 探しているのは山梨県では限られた場所にしか生育していないヒツジグサである。かつては甘利山の椹池に生育していたらしいが、環境が変わって今では見ることが出来なくなってしまっている。今回の高層池は6月に一度訪問しているがその際にはそれらしきものは発見できていない。花は7月から9月ごろまで長期間咲くらしいので、もしあるとすればこの季節ならば咲いているはずである。3つある池のうち6月は2つしか回っていないので今回はGPS片手に3つの池を訪問してみたいと思う。それともうひとつ、6月訪問時に何だか分からないシダを見かけたのだがそろそろソーラスが付いている頃だろう。


    気になっていたシダがこの群生しているシダ。伐採地の片隅にゴソゴソっと出ている。


    長く真直ぐに伸びているのが胞子葉である。


    栄養葉は軸が短く根元のほうに斜め向きに葉を出している。真っ直ぐに伸びてスラッとしているのが胞子葉。


    胞子葉に付着した馬蹄形のソーラス。包膜はうっすらと毛が生えているがこれを腺毛と呼ぶのかどうかは不明。


    こげ茶色の幅広い鱗片は基部に多く、羽片付着部から上部には無い。

 さて、このシダはイワハリガネワラビなのか、それともまだ見ぬメニッコウシダなのか?シダ植物標準図鑑を見ても解説を読んでもいずれなのかは判別できない。ただ、胞子葉の形がかなり細長いことから判断すると、このシダはメニッコウシダに近いのではないかと思う。本物のメニッコウシダを見て来ないと図鑑だけで確定するのは難しそうである。ひとまずは保留にしておく。


    ひとつめの池。奥のほうには何だか分からないカヤの群生がある。


    水辺に咲く花は何だか分からないものが多い。これはコケオトギリソウと思われる。


    アゼナ?


    まだ蕾だが、おそらくアケボノソウ。


    池の源流付近は湿原のようになっている。


    それなりの水流あり。


    林の中に生えていたミヤマウズラ


    前回は訪問していない2つ目の池


    池の底に藻のようなものが沈んでいる。葉は見えず、ここには探し物は無い。


    ウジャウジャと泳いでいるのはオタマジャクシ。


    3つ目の池


    ここには水草の葉が浮かんでいる。


    花は見えず、葉は細長い。おそらくはヒルムシロか何かだと思う。


    池のほとりに生えたヒメシダ


    先ほどとは少し違う形の葉が浮いている。


    円形に近い葉に切れ込みがある。これは怪しい。


    別の場所を眺めてみるとそれらしい葉が浮いている。


    トリーミングしてみると、蕾らしきものが浮かんでいるが花は閉じている。

 かなり疑わしき葉と花の蕾のようなものに出会った。しかし200㎜望遠レンズでは全く刃が立たないほどに遠い位置に浮かんでいる。しかも相手はヒツジグサである。午後2時から3時ごろの未(ヒツジ)の刻に花を開くことに花の名の由縁がある。既に午後4時半を過ぎたこの時間では花を閉じていて当然である。しかし、手ごたえはあった。後日未の刻を狙って再訪してみよう。560㎜望遠レンズと2倍エクステンダーを持ち込んで撮影に挑戦である。


    
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