山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

西沢渓谷のシダを訪問する  令和2年8月23日

2020年08月25日 | シダの仲間
 前日の石空川渓谷に続いて本日も渓谷を訪問である。今回は昨年見たシダの確認であるが残念ながら西沢渓谷は崩落個所があって三重の滝から先は通行止めになっている。オオクボシダやヒメイワトラノオなどの珍しいシダが生育する場所まで行くことは出来ない。しかし、気になっているシダはその手前にあるはずだ。そして見直せば見直すほどに・・・判別が間違っているように思えてならない。確認せずにはいられない。


    駐車場から出てすぐのところでこんなシダが着生していた。葉の縁が脈打っている。これはホテイシダだろう。


    大きな木を眺めながら歩くとあっさりと見つかった。


    ホテイシダ。この渓谷沿いの大木には高確率で着生していた。


    裏側に円形のソーラスが付着しているのを確認。


    イワデンダが群生していた。


    フクロシダ


    ヘビノネゴザ。良く似たイワイヌワラビがあるはずだが見つからず。その前に判別が難しい。


    シノブカグマ


    この渓谷でも発見、ミヤマイタチシダ。


    ミヤマイタチシダ


    見下ろす大久保の滝


    テバコモミジガサ


    三重の滝

 三重の滝までだと渓谷美を誇る折角の西沢渓谷なのにほとんど見た気がせず残念である。さて、確認したかったシダは・・・やっぱり。


    確認したかったシダは岩壁に生えていたこんな感じのシダ。


    昨年見た時は小羽片の先端部が丸まっているように見え、ヤマヒメワラビだろうと思っていたが、これはシラネワラビだろう。


    鱗片は薄くて判別しにくいが・・・


    小羽片の先が尖っておりソーラスの付き方から見てもこれはシラネワラビ。周辺には成熟した個体が多数ある。

 どうやら昨年はまだ幼弱なシラネワラビを見てヤマヒメワラビと間違えたようである。この渓谷のどこかにあるのは間違い無いのだがまた探索し直しである。渓谷道が早く復旧して欲しいものである。

 時間があったので東沢の入り口周辺を探索してみた。


    以前は入山禁止の看板が立っていたが、ずいぶん道が整備されていた。


    歩いたことが無い増水時の巻き道を歩いてみる。


    シャクナゲの森


    ここから河原への下降は少し厳しい。


    以前はこんな看板は無かったと思う。


    向こうが鶏冠谷の出合い、かつ鶏冠山への入り口である。水が少ないこの時期は簡単に渡渉出来そうである。


    渓谷を見下ろすように生えていたシダ、たぶんイワハリガネワラビ。


    茎は緑色で幅広の鱗片が少し付着。


    包膜のある馬蹄形ソーラスが小羽片の葉軸に沿って並んでいる。間違い無さそうである。


    岩壁に着いていたミヤマウラボシ


    日当たりの良い岩壁に小さなシダが付いている。


    発見、オオクボシダ。西沢渓谷にあるのだから東沢にもあって当然である。意外とあっさりと見つかった。

 東沢の上流にはまだまだきっと珍しい花やシダが生育しているに違いない。技術と道具があるならば両門の滝くらいまで行ってみたいが・・・経験者に良く相談するか、案内をお願いしていつか入渓してみたいと思う。

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ヒロハハナヤスリ(ハナヤスリ科)

2020年08月25日 | シダ類
 4月に芽が出たかと思うと5月には胞子穂を出し、6月には枯れてしまう短期間しか姿を現さない変わりもののシダである。根茎はあまり発達しない。栄養葉は長さ6 ~12㎝の広卵形から楕円形で茎を巻く。胞子嚢穂は1 ~ 3㎝程度で、全体的な形はオオバコに似ている。胞子嚢が成熟すると横に筋が入って割れ、胞子が放出される。山梨県での生育地は限られているが生育地では群生している。

 2018年山梨県絶滅危惧ⅠB類(VU)  2017年環境省なし


    ヒロハハナヤスリ 令和2年5月 北杜市で撮影


    同上。枯れ枝が邪魔だったりレンズの前を横切る草の葉が邪魔だったりと、焦って撮り過ぎた。


    群生するヒロハハナヤスリ


    1週間後に再写に行く。今度は天候が悪い。


    近写


    マクロ撮影 全体的な形はオオバコに似ている。


    群生するヒロハハナヤスリ


    同上


    さらにその2週間後再写に行く。


    胞子嚢が弾けて胞子が飛び出しているのを期待したが・・・


    その姿は捉えられなかった。

 他の場所で生育している姿を見てみたいと思うのだが現在知っている生育場所はこの1ヶ所のみである。いつか探し出してみたいと思っている。

 ➡山梨県の絶滅危惧のシダ類一覧に戻る


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