山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

アマクサシダ(イノモトソウ科)

2020年08月21日 | シダ類
 広葉樹林の林縁の日当たりの良い場所を好んで生育する常緑性のシダである。甲府市の他に山梨県県南部に多く生育している。頂羽片が大きく、下部の羽片が特徴的な形をしていることから一度見ると忘れない。個体数は比較的多い。


    アマクサシダ 令和1年12月 甲府市で撮影。 この場所での個体数は少ない。


    夕陽射すアマクサシダ


    裏側のソーラスはまだ未熟だった。


    トリーミング。葉の辺縁に沿って包膜が付着している


    令和2年2月 南部町で撮影。 


    同上。 下方の羽片は下向きに羽状全裂した小羽片を付け、特徴的な形をしている。


    幼弱なアマクサシダ

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トラキチラン

2020年08月21日 | ラン科
 亜高山帯の林床に生育する葉緑素を持たない菌従属性栄養植物である。ラン科植物は通常花の柄の部分が180度捻れて唇弁が下向きに付くが、このランは捻れずに唇弁が上向きに付く。半透明の花は見ていて幽霊のような不思議な感じがする。富士山麓の他に南アルプスに生育するが、御坂山系や八ヶ岳の山梨県側でも目撃したという情報がある。いずれの場所でも個体数は少ない。


    平成27年8月 富士山麓で撮影


    同じ花を別角度から撮影。かつては群生していたと聞くがこの頃には個体数は少なくなっており、なかなか見つからない。


    半透明の不思議な花である。


    平成30年9月 富士山麓で撮影。 訪問時期が遅く既に枯れ始めていた。


    咲き残っていた新鮮な一株。


    花の柄は捻れず、唇弁が上方を向く。


    令和1年8月 富士山麓で撮影。 まだ蕾だった株。


    同じ日に撮影したもの。やっと咲き出したばかりの新鮮な個体に出会えた。


    接写


    さらにマクロ接写。幽霊のような不思議な花。

 富士山麓の個体は踏み荒らしによる減少もあるのだが、それ以上に気候変化ないしは鹿の食害の2次的変化による山肌の乾燥化が著しく、減少の傾向にある。今後が心配である。

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タキミシダ(イノモトソウ科)

2020年08月21日 | シダ類
 渓谷沿いの苔の生えた岩壁を好んで生育する常緑性のシダである。葉は単葉で、葉身にははっきりした中肋が無く網目状の脈を形成する。胞子嚢群は浅い溝に埋まるように付き、線形で脈に沿って網目をつくる。大きいものでは長さ20㎝ほどになるらしいが、山梨県のものは個体が小さい。県南部のごく限られた場所に生育しており個体数はかなり少ない。

 2018年山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR) 2017年環境省絶滅危惧ⅠB類(EN)


    令和2年2月 南部町で撮影。


    同日に見た別株


    裏側から透かして見る網目状の葉脈


    令和2年5月 南部町で撮影。まだ幼弱な個体。周辺の円い葉はマメヅタ。


    こちらは成熟しているようだが小さい。根元付近から新しい葉が出始めている。


    成熟して痛み始めている個体。


    裏側に付着した線状のソーラス

 生育地が限られているうえに個体数が少なく、林道工事で消滅したものもあると聞く。これからも生き続けて欲しい貴重なシダである。

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キンラン

2020年08月21日 | ラン科
 低山~山地の広葉樹林の林床ないしは林縁を好んで生育する鮮やかな黄色の花を咲かせるランである。背丈は20㎝から大きいものでは70㎝ほどになり、花が咲くと目立つため盗掘に遭い易い。甲府市近傍の低山や御坂・天子山系、富士山周辺など広い範囲で生育しているがいずれの場所でも個体数は少ない。もっぱら甲府市近傍の山で毎年のように観察に出かけているが、山肌の乾燥化や笹の増殖による環境の変化、さらには食害や盗掘にも遭っており、年々数を減らして危機的な状況に陥りつつある。


    平成28年4月甲府市で撮影。 誰かが保護のため木の枝で囲ってくれていた。


    この場所の花が咲くのを楽しみにしていた登山者は多かったと思うが、この2年後からこの場所からは消滅した。盗掘か、自然消滅かは不明。


    平成29年5月 甲府市で撮影。


    同日に少し離れた別の場所で撮影。


    個体数の減少が著しく、この年に数ヶ所に保護ネットを設置し囲い込んだ。


    平成30年4月 保護柵内のキンランは綺麗な花を咲かせてくれた。


    平成30年4月 別の保護柵内で咲いたキンラン。しかしこの株は翌年から消滅してしまった。


    令和1年5月 この年も保護柵内のキンランは綺麗な花を咲かせてくれた。


    同上


    令和1年5月 保護柵の外で咲いたキンランは周辺に笹が伸びて飲み込まれそうである。


    同上。別株


    令和2年5月 保護柵内のキンランは咲いたには咲いたが元気が無い。


    もう1株は虫に食われて花は咲かなかった。残念。


    保護柵の外で咲いていたキンラン。個体数は少ない。


    笹薮の中に大きな個体が残っていてくれた。

 保護柵の外は予想通りに個体数は減ってしまっているが柵内も決して良い状態とは言えず、全く増えてくる気配が無い。どうすればうまく保護が出来て増殖させることが出来るのか、手探りの状態である。

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コモチシダ(シシガシラ科)

2020年08月21日 | シダ類
 渓谷沿いの岩壁や林縁の斜面などの日当たりの良い場所を好んで生育する大型のシダである。葉柄は太く密に鱗片をつける。葉身は広卵形で2回羽状中裂~深裂し、厚みがあってやや硬い。成熟した葉の表面に名前の由来となっているジャラジャラとした無性芽を付けることがある。山梨県では主に県南部に生育している。

 2018年山梨県絶滅危惧Ⅱ類(VU)  2017年環境省なし


    渓谷の岩壁に生育していたコモチシダ。 令和2年2月 身延町で撮影。


    望遠撮影


    コモチシダが群生する岩壁 令和2年2月 南部町で撮影。


    別角度から撮影


    群生するコモチシダ


    裏側のソーラス


    オレンジ色の根生毛


    林道脇の斜面に生えていたコモチシダ 令和2年6月 南部町で撮影。


    名前の由来となっている無性芽はまだ見ていない。

 生育地と生育環境は分かったので、今度は無性芽を見てみたいと思っている。

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ハカタシダ(オシダ科)

2020年08月21日 | シダ類
 広葉樹林、特に常緑樹の林床を好んで生育する常緑性のシダである。葉身は 2 回羽状複葉、卵状長楕円形、長さ30 ~ 40㎝、頂羽片がはっきりしている。側羽片は、2 ~ 5 対。最下羽片の下側第一小羽片は、著しくのびる。胞子嚢群は小羽片の中肋と辺縁の中間に着く。博多織の織物に似た白い帯が入るものがあることからこの名があるが、山梨県の個体は帯が入るものは少ない。甲府市周辺の他に山梨県県南部に生育し、個体数は多い。

 2018年山梨県準絶滅危惧(NT) 2017年環境省なし


    ハカタシダ 令和1年12月 甲府市で撮影。 光沢のある緑色が美しく、最下羽片の下向き第一小羽片がピンと伸びていて格好良い。


    結構大型化する。


    令和2年1月 甲府市で撮影。


    大きく張り出した最下羽片の下向き第一小羽片。第二羽片の下向き第一小羽片は大きくならない。


    ソーラスは小羽片のやや外側寄りに並んで付着する。


    トリーミング画像。小羽片の辺縁は鋸歯状であるが切れ込みは浅い。


    鱗片


    令和2年1月 南部町で撮影。 個体数は多い。


    渓谷脇の林床に生育していた。


    ソーラス。小羽片のやや辺縁寄りに付着。

 県南部まで行くと比較的ありふれたシダと言って良いのではないだろうか。良く似たシダにオオカナワラビとオニカナワラビがあるがこちらは個体数が少ない。

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