オーソン・ウェルズが監督し主演した市民ケーン。脚本家のマンキウィッツが、その市民ケーンをどのように書き上げたかが、1930年代のハリウッドを舞台に描かれる。
パラマウント、ユニバーサル、MGM・・・それぞれの映画会社が自分の得意分野を持ち、脚本家を抱え、お互いの会社の映画を揶揄しながら、どうやったら売れる映画を儲かる映画を作れるかだけを考えていた1930年代。沢山の俳優を抱えていたはずのMGMなのに「MGMはライオンだけがスター」という台詞があるあたり、映画会社と俳優達との力関係が薄っすらと見えてくる。
そんな時代を舞台に、オーソン・ウェルズの映画の脚本を約束の期日までに書き上げようとするマンキウィッツの姿が、そして、政治に興味があるとは思えない映画界の面々が新聞王ハーストを中心にして1934年のカリフォルニア州知事選挙に出馬する社会主義者のシンクレアに対して反シンクレアキャンペーンを行う姿が、現在と過去を行ったり来たりしながら描かれる。
アルコールに頼る生活から抜け出せないマンキウィッツが、若い天才児ともてはやされるオーソン・ウェルズが撮る映画の脚本を、何故簡単にハーストと判る人物をモチーフにして書くのか、何故選挙の話題にこんなにも時間が割かれるのか・・・
時代背景に対する知識も足りず、人間関係の予備知識も不足しており、最初の30分程はやや分かりづらかったのだが、アルコールを手放さず、しかし複雑な筋立てにこだわり、「2時間で男の生涯は描けないがそれを感じさせることは出来る」と長い脚本を書きあげるマンキウィッツの姿に脚本家のプライドを見る。それを感じられた事だけでもこの映画見た価値はあるはず。
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フェイク、情報操作などについても考える。
『Mank/マンク』予告編 - Netflix
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