「伝統と創造シリーズは、セルリアンタワー能楽堂が主催、アーキタンツが企画・制作を行っているシリーズ。13回目となる今回は、2019年に小金井薪能にて初演された、宮沢賢治の作品群を原作に森山が立ち上げた創作舞を披露する。
出演者には森山のほか、大前光市、また本作の監修も担う津村禮次郎が名を連ねた。さらに歌唱を二期会の福井敬、チェロを多井智紀、箏を澤村祐司、笛を田中義和、和太鼓を高橋勅雄、高橋亮が担当する。」
森山開次さんと言えば、個人的には「新版・NINJA」の印象が強い。
彼の作風で特徴的なところは、通常、人々が目を背けたくなるようなものでも、正面から表現するところではないかと思う。
「新版・NINJA」でも、ナメクジの動きをダンスで表現するシーンが数分間続いたため、何人かの子どもたちが泣き出して劇場から出て行ったのである(子どもの感性)。
「雨ニモマケズ」でも、それに似た場面がふんだんに観られる。
というのは、森山さんと並ぶダンサー:大前光市さんが、交通事故で半分近く失った左脚を舞台や台座に激しく叩きつける動作がたくさん出て来るのである。
私のような、障がい者支援のための業務を行っている人間ですら、こういう場面では反射的に目を背けようとしてしまう。
だが、だんだん正視できるようになり、そのうちに、普段私たちが余り意識しない”自己欺瞞”を見事に突かれたような気がして、ハッと驚くのである。