① バレエ・アステラス 2023 2023年8月5日[土]~8月6日[日]
② 横浜バレエ・フェスティバル 2023 2023年8月6日(日)
一部日程がバッティングしている2つのバレエ公演。
両方観るためには、8/5(土)に①を、8/6(日)に②を観る、という選択しかない(よって、8/6(日)の①は観られない)。
①と②とでは、実は、演目もバッティングしている。
「No Man's Land」(日本初上演)と「ジゼル」である。
前者は、吉田合々香さんの解説によれば、
「第一次世界大戦で引き裂かれた夫婦の物語です。この世界大戦で戦死してしまった夫が、最後にもう一度だけ妻に会いに来るというパ・ド・ドゥです。
妻である私からは、もう彼の姿は見えないのですが、確実に魂や心で彼がそこにいることを感じさせてくれる、とても心に響く素敵なパ・ド・ドゥで
す。」
ということで、能で言えば「夢幻能」といったところだろうか?
①では力強さやアクロバティックな動きが強調されていたのに対し、②ではその要素がやや薄められてマイルドな仕上げとなっていた。
私見では、①②ともその日一番の盛大な拍手が送られたのは、おそらくこの演目だった。
同じ演目を違うダンサーで観るのは有益なことなのだが、そのことを痛感したのは、初見のため①では十分理解出来なかった、ラスト近くの動きの意味である。
夫の亡霊が立ち去ろうとするや、妻は夫(の気配)を見失いそうになり、絶望に暮れる。
すると、夫は静かに後ろから近づき、妻の肩に優しくキスをして、永遠の別れを告げるのである。
これは、どんなアクロバティックな動きよりも、強く心を揺さぶる動きである。
このくだりの意味が理解出来た瞬間、胸が締め付けられそうになったのである。