「初代国立劇場さよなら特別公演 」の一つで、国立劇場6館研修修了者によるパフォーマンスが観られる。
私は、これほどバラエティーに富んだ舞台公演をかつて観たことがない。
というのも、例えば、バレエの後に文楽が出てきたりするわけで、これだと「次は何が出るか?」というワクワク感があり、上演時間も適度な長さなので飽きが来ない。
さて、私が一番衝撃を受けたのは、沖縄の伝統芸能である「組踊」”手水の縁”である。
その理由ははっきりしている。
琉球の伝統的な衣装がアルメニアの民族衣装と酷似しているため、「ざくろの色」の記憶が蘇ってしまうのである(琉球舞踊とざくろの色)。
「ざくろの色」は、この世のものとは思われない映像の連続である。
はっきり言えば、「あの世の映像」である。
この映像の記憶が、私の脳の一部を完全に支配しており、それが視覚的な刺激によって呼び覚まされてしまうのである。
なので、琉球の伝統的な衣装が目に入った瞬間、私の脳裏を不吉な予感がよぎった。
ところが、例によって、沖縄の楽天的な音楽に乗ってストーリーが進んでいくので、ちょっと安心する。
だが、それは錯覚だった。
結で置く契りヨー
この世までと思な
変るなやう互に
あの世迄も
この世までと思な
変るなやう互に
あの世迄も
結んで置く契りは
この世だけと思うな
変わるなよ、お互いに
あの世までも
この世だけと思うな
変わるなよ、お互いに
あの世までも
こうしたセリフは、我々が業務において接することの多い、ストーカー/DV/モラハラ系配偶者などのボキャブラリーに属している。
「密通」が発覚して「打ち首」にされそうになるという、怖いお話だったのだ(最後はハッピーエンドのようだが。)。