「The Artistsーーバレエの輝きーー」のプログラム2:Classics のラストを飾るのは、「グラン・パ・クラシック」である。
この演目について、マリアネラ・ヌニェスは、自身が英国ロイヤル・バレエ団に入団したときに踊っていたのが "one and only" の存在であるシルヴィ・ギエムであり、その踊りが余りにも”iconic ” であったため、長らくこの演目を踊るのを避けてきた、初めて練習したのは約3年前だったと語る。
女性ダンサーにとって、シルヴィ・ギエムは今なお "one and only" なのだろう。
対して、男性ダンサーにとっての"one and only"は誰なのだろうか?
ワディム・ムンタギロフ「『ドン・キホーテ』ではまだヌレエフ版を踊ったことはありませんが、あと数年のうちには経験しておきたいですね。ヌレエフ版は『ロミオとジュリエット』も『白鳥の湖』もぼくがこれまで踊ってきたなかでいちばん難しかったから。年齢的にも急がないとね。」
「『ライモンダ』は、ぼくはまだ第三幕のグラン・パしか踊ったことがありません。・・・2019年12月にパリ・オペラ座に招かれてヌレエフ版全幕を踊ることになっていたのに、年金問題を巡るストライキで公演が中止になってしまったのです。」(p49)
上の発言から察するに、ムンタギロフにとっての "one and only" は、おそらくルドルフ・ヌレエフということのようだ。