13時から21時まで、休憩を挟みながら、ドイツ・リート全109曲(アンコール曲を含む)を演奏するという、空前絶後の試みである。
私は、ドイツ・リートが大好きなので(未完成の理由)、全曲を原文と照らし合わせながら聴いた。
こういう風に、一気に聴き比べを行うと、綺羅星のようなドイツの偉大な詩人の中でも、「この人は次元が違う」という詩人が、はっきりと分かって来る。
この「ひとり別格」の詩人は、フリードリヒ・ヘルダーリンである。
このイベントでは7曲が取り上げられており、1曲目の「春」は比較的普通の曲だが、2曲目の「生の半ば」(Hälfte des lebens)が超ド級のインパクトを放つ。
この詩は、ヘルダーリンの詩の中で最も頻繁に曲が付されているらしく、何と60曲以上が存在する。
私の直観では、この詩は、「この世とあの世の境界」を描いた詩である。