平日ということもあってか、客席は6割ちょっとくらいしか埋まっていない。
近くのマダムたちが、「マチュー(・ガニオ)とエルヴェ(・モロー)のせいだわ」と嘆き合っていた。
東京文化会館では前日まで4日連続で「ル・グラン・ガラ 2023」が開催されており、こちらがバレエ・ファンの時間と予算を奪ってしまったという見方のようだ。
さらに言えば、その前にはやはり東京文化会館で「オペラ座ガラ」が開催されていたので、こちらにも吸収された可能性がある。
さて、演目の中でひときわ目立っていたのは、アナスタシア・マトヴィエンコ&デニス・マトヴィエンコ夫妻による「Ssss… 」である。
とにかく二人の動きのキレがよく、夫婦と言うこともあるが、息がピッタリ合っている。
この作品は、2018年にノヴォシビルスク劇場バレエで初演する際、デニス・マトヴィエンコのためにソロの振付が追加されたらしい。
つまり、彼のために作られたようなのである。
「自分のための作品」なのだから、思い入れも強いし、力が入っているのだろう。