よくあるオペラのガラ公演かと思って行ったら、かなり違う。
まず、結構手の込んだ舞台装置があり、「演奏会方式」とは一線を画している。
次に、シーン(scenes)は、いくつかの例外(「こうもり」、「フィガロの結婚」など)を除き、通常のガラ公演で選ばれるいわゆる「ハイライト・シーン」をおそらく意図的に外してきている。
例えば、G.ドニゼッティ「愛の妙薬」では、「人知れぬ涙」ではなく、ネモリーナがアディーナにワインを飲ませるシーンが上演される、という具合である。
さらに、いくつか意表を突く演目の選択がある。
おそらくお客さんも驚いたと思われるのは、「ニクソン・イン・チャイナ」(中国のニクソン)で、これはなかなか面白そうなオペラのようだ。
こんな風に、「掘り出し物」を見つけることが出来るので、この種の公演は出来るだけ観る/聴くようにしているのだが、最大の掘り出し物は、ベッリーニの「カプレーティとモンテッキ」である。
題名が示す通り、原作は「ロミオとジュリエット」なのだが、これから抜粋した長大な愛の二重唱が傑作なのである。
ロメーオとジュリエッタはメゾ・ソプラノとソプラノの歌手が演じる設定で、何だか清潔感があってよい。
この二人には、おそらくこの日一番盛大な拍手が送られた。
決して上演機会が多いとは思えないが、全幕観てみたい気がした。