「SHIVERプレミアム2023」では、開始直後にアクシデントが起きた。
客席の(おそらくバレエを習っていると思われる)女の子が、突然腹痛を訴えて椅子から転がり落ちたのである。
殆どのお客さんたちは、何が起こったのか分からなかったと思うが、そんな中で、私は、ダンサーの皆さんの動きに感銘を受けた。
ほんの1、2秒のうちに、ほぼ全員(7人)が、倒れた女の子のところに向かって物凄い勢いでダッシュして来たのである。
これこそ、私が個人的に「『身体』の自動的な力」と呼んでいるものの発現である。
どういうことかと言うと、こうした瞬間、人間の心・思考は作動していないはずであり、頼りになるのは身体しかない。
その身体が、意思(心)に命じられるまでもなく、つまり「自動的な力」で動いたと考えられるわけである。
実は、こうした力を備えている人は極めて少ない。
さらに言えば、こうした場面に直面しても、「『身体』の自動的な力」が見えない人、あるいは見ようとしない人が、非常に多いのである。
「奈良の銃撃事件の警護体制は、こうした点からもアメリカの感覚からすると大いに問題ありとみなされるようだ。ただし記事は、防弾ブリーフケースを掲げて安倍元首相の前に唯一立ちはだかり、射線を遮った警護員については、「ずば抜けた勇気を示した」として称えている。」
この事件は、プロのボディガードであっても、ここ一番というときに、身体が「自動的な力」で動く人は稀なことを如実に示している。
その後、女の子は救急搬送されたが、意識はしっかりしており、おそらく深刻な病状ではないと思われる。
ダンサーの皆さん、中でも井関エレナさんは、救急車が来る直前まで女の子に付き添っていた。
私は、すっかり彼女の大ファンになってしまったのである。