パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

ビジネスのプラットフォームではなく

2011年11月01日 20時05分36秒 | Weblog

スティーブ・ジョブズがMacやiPhoneを美しく
非常に使いやすい製品として仕上げ
尚且つ、iTunesを通して便利なビジネスとしての
プラットフォームを完成させたのだけれど、
それがアップルの閉じた世界での自己完結であるために
その内、以前のWindows対Macの戦いの2の舞に
なりはしないかと危惧する人、予想する人が多い。

ビジネスとしては自分の製品、ソフトで一括りのほうが
安定的に、かつ独占的、継続的にすすめることができるので
ジョブズもその手段を選んだのか
と考えるのはわかりやすいけれど
この閉じた世界での完結は、実はそうしたビジネスのため
と言うより芸術家が自分の作品に手を入れられたくない
気持ちに近いのではないかという気がする

使い勝手、デザイン、そのひとつひとつに半端じゃない
こだわりで制作担当者は辟易としたようだけれど
そもそもそんなに細かいところまでこだわれること自体が
ある意味才能があると言えないだろうか
凡人はこだわりをそんなに発見できない

MacのOSやIOSを開放しなかったのも
自分の目の届かない所で
勝手にあれこれされるのが嫌で仕方なかったからではないのか

これは多少ロマンティックな考え方なのだけれど
孫さんもいみじくも口にしたような
ジョブズは製品と言うより作品を作った
という評価は何よりも納得がいく
そしてその事が自分にとって一番の彼に惹かれる点だ

彼の業績、直感力、未来への洞察力よりも
美的な感覚、美しいものに信じて疑わない姿勢に
魅力を感じる


ところで、道具であってもやはり美しくあるべき
こういった姿勢をもはや日本では見られないのだろうか?
なによりもコストが重視され、使い捨ての未熟児のような製品が
次々と生み出されるこの国
かつて職人の国であった時代は
道具はそれ自体でも美しかった、というのに
今日本の製品の中で美しいと思われるものは
果たしてあるのか?

美よりもお金
お金があれば美も買える
そんな風に思っている限りは
永遠に日本は復活しない
そんな気がしてならない

 

 

コメント
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