昨日(12月14日)は久しぶりの宗次ホール
プログラムは
伊藤恵さんは以前NHKFMの「おしゃべりクラシック」だったか「気ままにクラシック」だったかに
出ておられて、その話しぶりがとてもおおらかで「いい人だな!」と感じられ
いつか機会があったら聴きたいものだと思っていたところ
たまたま今回このプログラムを見つけたものだから足を運ぶことにした
彼女のお気にい入りのシューマンはやっぱり入っている
演奏自体を比較・批評できるほどたくさんのピアニストを聴いているわけでもないので
いつものように聴いてて連想したことなどを思いつくままに
(この連想することが結構楽しい)
最初のベートーヴェンの一番最初のピアノ・ソナタ
音階的な主題はベートーヴェンらしい、同じ一番のピアノソナタでもモーツァルトのそれとは
随分違う(当たり前だが)
初期と言ってもガッチリしているというか、全曲のバランスというか、トータルな視野で作られている感じ
演奏はライブの良さで途中からノッてきたようで、ピアノの音も心なしかよく鳴る感じになった
そこで連想したのが、一番のソナタで始まるなら途中中期のソナタを入れて、最後のソナタで締める
プログラムはというのはどうかな
中期は熱情だと完結してしまいそうな印象が強いので、ワルトシュタインくらいで
そんなことを思っていたら全演奏が終わったあと伊藤恵さんが
今回のプログラムはベートーヴェンの最初のピアノ・ソナタ
シューベルトの最後のピアノソナタ
間に夢見るロマン派のシューマンを入れてみたとの挨拶
なんのことはない、似たような発想で組まれたプログラムだった
ベートーヴェンの後だとシューマンのピアノ曲は音が柔らかい
というか、輪郭がはっきりしないというか、夢の中で浮かんだイメージをもやもやと
音にしている感じ
このもやもや感が好きな人は好きなんだろうな
シューベルトの21番のピアノ・ソナタ
これはアリシア・デ・ラローチャの演奏で名古屋で聴いたことがある
いまでもよく覚えているのが第2楽章の部分
本当に夢のなかにいるような時間
沈潜し陶酔するような時間
これが聴きどころと思っていたが、昨日もやはりそうだった
演奏中、心なしかうなり声が聴こえた気がした
演奏している伊藤恵さんが気持ちがノッて、つい歌ってしまったのかもしれない
グレン・グールドやキースジャレットも声を出すけど
昨日は邪魔にはならなかった(声なんて出していない?もしかしたら幻聴?)
この辺りは集中しきっている
でもこの別世界のような音楽 ベートーヴェンの32番の第2楽章も
別世界のような音楽だが、その印象はだいぶ違う
シューベルトは響き、音の中に惑溺しているがベートーヴェンは
そんな中にもまだ客観的に自分を、音楽を眺めている存在を感じる
それがためにベートーヴェンは最終的には全体のバランスを崩さない
構成的な音楽になっているのかもしれない
それとシューベルトは音楽の旋律が長いが
ベートーヴェンは動機というかモチーフというか短い音形
それを変形していくのでより自由度が高いのかなと思ったりする
でも音楽家でもないし、ただ好きで聴いているだけなので
勝手な思い込みかも知れない
で、最後の伊藤恵さんの挨拶
やっぱりいい人
そんな感じだった
また機会があったら聴きに行こう