北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

台湾海峡有事は対岸の火事ではない-中国の二〇三五年問題と日本への確実な影響,浮流機雷と海上交通路遮断

2022-10-24 07:00:52 | 国際・政治
■台湾海峡という命題
 日本の直ぐ南の緊張であるにもかかわらず本邦では余所事のように扱われている事案について。

 台湾海峡危機、日本は台湾有事の可能性を真剣に考えるべきなのかもしれません。これは習近平国家主席が三期目の国家主席続投を決定し、その席上で台湾解放について軍事的選択肢を排除しないという命題とともに2035年という数字を具体的に示したためです。2035年とは、別の視点で見れば中国が人口減少に転じる分水嶺とされてきたタイムラインです。

 2035年という数字は見方を変えるならば人口に頼った中国が人口減少と不可避の少子高齢化という、隣国日本の現状うぃみれば重大で、それまでに産業の高度化を急いでいる。大規模な軍事行動はこの2035年まで、こう理解することができます。こうした中で台湾情勢が日本の安全保障、そして日本経済にとり死活的な重要性を有している現状があります。

 欧州エネルギー危機、ロシア軍ウクライナ侵攻に伴う経済制裁への報復として天然ガスパイプラインの供給を停止しつつあり、欧州では冬を前に危機的な懸念が広まっていますが、台湾有事の際に日本にも同様の状況が成り立ちます、中国からガスパイプラインは無いし石炭も輸入していない、こう思われるかもしれませんが二つほど懸念が、あるのですね。

 浮流機雷、一つの懸念は台湾有事の際に大量に敷設される機雷の一部が浮流機雷となって日本近海に流失し船舶航路を閉塞することです。係維機雷の流失はウクライナ戦争においてもロシアの黒海に敷設した機雷がトルコに漂着していますが、中国による台湾封鎖や台湾の防御機雷、どちらも索が切れ浮流機雷として日本近海に流れつく可能性は高いのです。

 台湾を中国が押さえた場合、台湾海峡とバシー海峡の自由航行は可能となるのか、いま問えば可能だと中国は主張するでしょう、なぜならば不可能だと発言すれば日米介入の度合いが高まる為です。しかし、軍事転用しないとした南シナ海での科学観測用人工島のミサイル基地化を筆頭に、やってしまえば反論を受け付けないとする事例は山ほどあるのです。

 台湾海峡とバシー海峡、日本は東南アジア地域とのサプライチェーン網があり、この二つの海峡が台湾に隣接しているため、閉鎖されれば、京都から大阪へ行くのに舞鶴福知山経由のような大回りを強いられることになります、これは回避せねばなりません。行動が必要だ、祈るような平和主義ではなく予防外交で戦争を回避できれば、良いのですがね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)

コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【日曜特集】百里基地航空祭... | トップ | 【防衛情報】スロバキア軍CV9... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (774)
2022-10-25 08:37:41
日本の平和団体にありがちな「日本が一方的に譲歩すれば丸く収まる」は
それこそ日本人の思い上がりです
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

国際・政治」カテゴリの最新記事