子どもたちが成長する姿こそ指導する者の醍醐味です

今日の辰巳ジャンプは、同じ臨海地区の南○西さんにお邪魔して、新チームと6年生の2チームで練習試合を行いました。

今年に入り、初めてポジションを決めて練習をし始めたのが先週の日曜日。昨日の辰巳6年生との練習試合でフォーメーションを徹底的に反復練習させ、その上で今日の体外試合になりました。練習の成果は上々、全員が自分の責任を果たそうと頑張り、なかなかボールを落とさない状態になりました。フォーメーションが安定していくことによって、アタッカー陣もその力を発揮できるようになりました。今日は特にライトアタッカーが8本もスパイクを決めることができました。このように小学生バレーボーラーはどんどん成長していきます。これこそ指導者の醍醐味です。(ところで、醍醐味とは仏教用語で、乳を精製する過程の五味の中の最上位をいい、この前には乳味、酪味、生酥味、熟酥味があります。そういう喩えから考えると、今の新チームはやっと乳味の面白さになったレベルですね。少しだけこなれてきました。)

さて、今日の指導は「自己評価」を取り入れてみました。セットが終わるたびに全員に「ABC自己評価」をさせ、試合を振り返ることをしたのです。これは私が担任時代に、授業のたびに行っていたことで、短時間のうちに「メタ認知」させる効果があります。この「メタ認知」ができるようになると、感情に流されにくい冷静な子どもに育ちます。辰巳ジャンプの「ホールブレイン(全脳活用)バレーボール」の手法のひとつです。

今日現在の練習試合の勝敗・・・12勝51敗・・・まだ63セットしかやっていないですね。500セットを越えた頃から、試合で勝てるチームに変わります。今は試合できることを大いに楽しんで、笑顔で元気に努力していきましょう!
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キャリア教育の視点と辰巳ジャンプの活動

辰巳ジャンプの活動(バレーボール活動)について、文部科学省が推進している「キャリア教育」の視点にあてはめて考えることを、ふと思いつきました。そこで忘れないうちにこの記事に簡単にまとめておきます。この記事は今日1日で完成させることは難しいので、今週いっぱいで書き上げることを目標にして、できるだけ毎日更新していきます。ご意見のある方は、ぜひコメント欄にご自分の考えを書き込んでください。書いてくださったことも参考にして文章化していきます。


1、人間関係形成・社会形成の能力育成
(1)他者の個性を理解する力
バレーボールはみんなで「ボールをつなぐ」競技です。ボールをコートに落とさないようにするためには、自然とチームの仲間の個性をつかみ、お互いにカバーしあうことでボールがつながることを子どもたちは理解します。自分一人だけでは何もできないことを自然に理解できるのがバレーボール競技の特徴です。

(2)他者に働きかける力
バレーボールを上手にするためには、自分がパスをする相手を十分に意識し、また、チームのみんなでつないできた“ボール=思い”をアタッカーが意識しながらスパイクを打つ。こうした流れの中で、他者に働きかける力が育まれていきます。また、バレーボールという競技の特性上、他チームの子供たちとも1日中、体育館に一緒にいることが多いです。すると小学生に限らず、中高生でもチームを越えた友情が生まれるものです。辰巳ジャンプの活動の中で、「他のチームにも友達を作ることができる人がバレーボールもうまくなる」と指導しているのも、キャリア教育の中の「他者に働きかける力」を育成していることにつながります。

(3)コミュニケーションスキル
バレーボールの中でも特に小学生バレーボールの場合、ほとんどの子供は初めてチームスポーツ活動に参加することになります。バレーボールは他のスポーツとは大きく違う点があります。それは自分のコートの中にボールを落としてはいけないという特異性です。ボールを落とさないためには、自分がボールに触れたら次の人がどうしてほしいのか、さらに3本目を打つアタッカーがどのように打ってほしいのかまでイメージしながらプレーします。このボールコミュニケーションを確立するためにどれほどの時間をかけて練習しているでしょうか。どのチームも、それはそれは忍耐強く、子供のコミュニケーション能力を育んでいると言えます。

(4)チームワーク
スポーツチームにとって、「チームワーク」を良くすることこそ最大の目標です。どんな指導者でも、チームワークの良いチームを作りたいことは120%間違いありません。そのために、手を変え品を変え、子供たちを言い聞かせ、仲間意識を育んでいきます。そして厳しい対外試合を繰り返していくことによって、自分のチームが勝つために力を合わせたり、自分自身の役割を果たしていこうとする意識が育ちます。
さらには他チームと切磋琢磨していくことによって、自分のチームへの「チーム愛」というものも育てていきます。自分の努力がチームの成績へ直接影響を与えていく。だから「チームのため、仲間のために努力をする」子供が育ちます。
今、学校では「愛校心」や「愛国心」をいかに育んでいくかということを課題にしていますから、小学生スポーツの中では自然な形で「チーム愛」を根付かせていけます。

(5)リーダーシップ
バレーボールに限らず、スポーツチームをまとめるキャプテンは強力なリーダーシップが育っていきます。特に辰巳ジャンプのバレーボールは代々「キャプテンが強烈なリーダーシップを発揮するバレーボール」「キャプテンはコートの中の監督」「キャプテンは監督と一心同体」「キャプテンはチームの顔」というチーム作りをしてきましたので、小学生離れしたキャプテンシーを発揮するようになるはずです。現6年生のキャプテンも5年生で新キャプテンになった頃に比べれば、比較にならないほど立派な態度でチームをまとめられるようになりました。辰巳ジャンプが取り組んできた「キャリア教育」の大きな成果だと思っています。


2、自己理解・自己管理
(1)自己の役割の理解
小学生バレーボールはローテーション制ではなくフリーポジション制です。そのため、役割分担がはっきりしています。アタッカーはスパイクを決めることが中心、レシーバーは相手の攻撃を封じることが中心というように、個々の役割に集中しやすいのがフリーポジション制です。中学生以上が取り組むローテーションバレーよりも簡単で、自己の役割を理解することに関しては優れていると思います。このフリーポジションバレーをすることによって、小学生バレーボーラーたちは自分なりにチームに貢献できる方法を考えます。指導者が上手に働きかけることによって、すべての子どもたちが自分の長所を生かしてプレーする。これが小学生のバレーボールなのだと思います。

(2)前向きに考える力
ただ普通に小学生バレーボールをしていても、この「前向きに考える力」は伸びません。なぜなら、バレーボールは自分のコートにボールを落としてはいけないというルールがあり、極端に「ミス」を嫌う傾向があるからです。自分のコートにボールを落とさないために、泣きたくなるようなレシーブ練習を繰り返すことが一般的ではないでしょうか。ただでさえミスが目立つスポーツなので、指導者は十分に気をつけなくてはならないはずです。子どもたちが何度ミスしても、常に前向きにバレーボールに取り組むようにするように育てたいものです。辰巳ジャンプの場合は、「最低10000回はミスしないとうまくならないよ」という声かけを続けてきました。この「1万回」という数字の根拠は、一流選手の言葉から採っています。
「合計10000時間練習すれば全国大会に出られる。30000時間練習すればオリンピックのメダルが取れる」
卓球の福原愛さんは、この「30000時間練習」を意識して挑戦してきたそうです。福原さんは3歳で卓球を始めてから20年間たちました。30000時間を20年間で割り算すると1年間の練習時間は1500時間。1500時間÷365日=1日に約4時間。ここまでできるかどうかは別として、こういうメンタルポイントを意識して、常に挑戦だけはしているのが辰巳ジャンプの子どもたちです。

(3)自己の動機付け
辰巳ジャンプのバレーボールは「モチベーションアップ」を最大のテーマとして指導しています。そのために「アファメーション」という手法を2008年から取り入れています。
アファメーションに関するブログ記事
自己の動機付けを強めるためには、おそらく「アファメーション」を使うことが一番でしょう。今日も練習中に子どもたちの話す言葉の中に「コンフォートゾーンを高めるためのアファメーションをどうしたらいいか考えることが大事だ」というようなことが自然に出てくる状態です。この言葉ひとつ取っても、普通の小学生ではないメンタルレベルにあることが分かります。

(4)忍耐力
バレーボールは「我慢のスポーツ」と言っても過言ではありません。チームによっては「耐える」という言葉をチームのモットーにしているチームもあります。それほど微妙なメンタルリテラシーが勝敗を左右するスポーツです。試合で我慢ができなくなったチームは、泣きたくなるくらいガタガタになっていきます。逆に最後の1点まであきらめないで戦い抜いたチームが、奇跡の逆転勝利をつかむことが多いのもバレーボールの特徴だと思います。私は何年間か、全国大会の取材活動をさせてもらったことがありますが、東京体育館のコートサイドで、何度この「忍耐力」の大切さを感じたことか。厳しいスポーツに取り組むことで、子どもたちの忍耐力を強化していることは間違いありません。

(5)ストレスマネジメント
小学生バレーボールは追い込みすぎてもいけない、ゆるめすぎてもいけない。まさにストレスマネジメントの要素を指導に活用しなくてはならないスポーツです。多くのチームの指導者の方々は、練習試合の最中に、子どもたちに「乗り越えなくてはならない壁」を用意しています。壁とは「目標」「課題」のことです。子どもたちは壁に立ち向かうのですから、当然ストレスがかかります。しかし、適度なストレスを感じるからこそ実力がつくのです。楽しいだけの練習、ふざけ半分の練習で上達するわけがありません。
難しいのは、こうしたストレスのバランスです。極度に厳しすぎるとチームをやめてしまう子も出てきます。せっかく縁した子どもたちです。全員がバレーボールの楽しさを満喫できるようにストレスの度合いもマネジメントできるような指導者になりたいですね。
また、報道によると、部活動が原因で、自らの命を絶ってしまった高校生がいると伝えられました。辰巳ジャンプはこういうことを絶対に起こさないために、厳しい練習をした直後には、子どもたちに「自己表現」「自分の思いを話す」ことをさせています。また、毎回の練習に参加するためには、「練習ノート」を書いてくることが宿題になっており、このノート指導で子どもたちの思いをくみ取るようにしています。

(6)主体的行動
「誰も見ていない所で努力できる子が一番うまくなる」
これが辰巳ジャンプの合言葉です。子どもたちの主体的行動を促す言葉です。「誰も見ていない所の努力=自分に本当のやる気がないと努力できない」という図式となります。これが最も「主体的な行動」を育てることにつながっていると思っています。ただ、この「人が見ていない所で努力する行動」を子どもが本当にしているのかどうかを見極めることが指導者として難しいことです。辰巳ジャンプは週末練習しかしないサイクルなので、平日は子ども任せです。何らかの練習をしてもしなくても、誰も注意はしません。そういう中から土日だけの練習で、1週間前との変化を見極め、子ども本人も納得するように「評価の言葉」を返してあげること。本当に難しいのですが、土日練習チームが成果を上げるためには、こうした見えない努力を発見することに力を注ぎ、チームの子どもたち全員に分かるように好評価し、承認欲求を満たしてあげることが大事です。

3、課題対応
(1)情報の理解・選択・処理等


(2)本質の理解


(3)原因の追求


(4)課題発見


(5)計画立案


(6)実行力


(7)評価・改善


4、キャリア・プラニング
(1)学ぶこと働くことの意義や役割の理解


(2)多様性の理解


(3)将来設計


(4)選択


(5)行動・改善
辰巳ジャンプのバレーボールは「TEFCAS」というフレームワークを活用して物事を考えています。教育界では「PDCAサイクル」というものをよく教えられますが、いったいいつの思考ツールなのか?これは第二次世界大戦直後に考え出されたものであり、それが80年以上もたった今に、これ以外にないような取り上げられ方で扱われている日本の現状。そろそろ新しい次元に進みませんか。
そこでトニー・ブザン氏が考え出した「TEFCAS」を使いましょう。説明します。
Sからスタートします。

S(サクセス)・・・成功イメージを直感的に考え出す。
T(トライ)・・・・まずは思いつくことを、勇気を出してやってみる。行動が最優先。動いて考えることが基本。
E(イベント)・・・行動すれば必ず何かが動きます。
F(フィードバック)起きた事象から様々な情報が返ってきます。
C(チェック)・・・帰ってきた事象を冷静に分析し、良い面悪い面などを判断します。
A(アジャスト)・・分析した結果を元にして、次の行動のために調整し、行動計画を立てます。
S(サクセス)・・・スタート時点でイメージした成功の姿を実現していきます。チェック・アジャストで修正が加わっているので、もしかしたら成功イメージも修正されていることもあるでしょう。いずれにしても最後は成功感、達成感でしめくくることが大事です。

こういうことを小学生でもできるようにするために、練習ノートを書いて「自問自答」をさせているのが辰巳ジャンプの指導です。「TEFCASサイクル」を身につけることができれば、その子は将来、バレーボールに限らず、すべてのことに成功サイクルを当てはめて行動していくことができるだろうと期待して指導しているのです。
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