久保田早紀 ♪ 異邦人/19800228
この久保田早紀さんの「異邦人」が偶然、Youtubeで流れてきて思い出した。22歳で私が教員になって2年たったころだっただろうか。地元、東海道品川宿の商店街はずれにあった喫茶店に休みに行った時、小中学校時代の同級生に出くわした。彼は光一君という名前だった。小中学校時代から素行はけっして良いとはいえなかった彼は、20代のそのころ、ヤクザ的な立場で地元では幅をきかせていたようだ。先に喫茶店にいた私に気付いた彼は、気軽に話しかけてきた。彼は中学生時代に久保田早紀の大ファンだったのだ。
「いのビーじゃん、久しぶりだな。」(私は小中学校時代、あだなでいのビーと言われていた。)
いろいろと話している中で、私が教員になった話題になった。それを知った光一君は、懐かしそうにこう言った。
「おれ、学校時代には、給食が大好きだったんだよな。いのビー、先生になったんなら、一度でいいから給食を食べさせてくれないかな。」
私は、彼のそんな小さな望みを叶えてあげたいと思ったが、残念ながら若手一教員の立場ではどうにもできなかった。その残念な思いが今でも心に刻まれているのだ。今なら光一君の思いも叶えてあげられるのに。彼はどうしているのだろうか。ヤクザ的な立場になっても良き思い出として私に語ってくれる給食の存在。きっと60代近くになった今、もしも彼に会ったとしてもきっと、「食べさせてくれよ。」と頼まれるだろう。