昨日、「二十代の先生へのメッセージ」という形で教育哲学の話題を書きました。どうしてそういうことを書きたくなったのかというと、どうも私は「育てる」という自分の行動、そしてそれによって「育ってくれる」という変化を見ているのが楽しいのだと思います。なんだかドキドキしちゃうくらい楽しいのですね。
今年、教育実習生が私の学校に来ました。初めて会った瞬間に、
「おっ!この子は何かを持っているぞ!」
とピーンと来るものがありました。直観ていうやつですね。
余談ですが、「直観」というのは実に最も優れた論理的思考だと認識しています。なぜなら、何かを瞬間で感じ取るために、自分の脳は過去の経験を総動員し、五感のフル活用し、さらに未来を予見しながら判断をしています。じっくり考えていたらそのようなことはできません。一瞬の研ぎ澄まされた脳機能が「直観」で判断している状態です。これはスーパーコンピューターが何台集まっても不可能な思考ではないでしょうか。
話を元に戻します。
私のこの直観は間違っていませんでした。
6月上旬に教育実習が終わった時、私から提案をしました。
「7月の教員採用試験に向けて、小論文の指導をしてあげようと思っているんだけど、どうする?」
答えは、「ぜひお願いします!」
ということで、井上の通信講座がスタートしたわけです。ところがこれがすごいことになったわけです。実習生は1ヶ月間、毎日欠かさずに小論文を送ってきたのです。私もこれには真摯に応えようと、できるだけ早く添削指導をして送り返しました。
時には夜中に「書けました!」と送られてきた論文を即座に添削、朝一番で送り返し、時には朝に送られてきたものを、出勤の通勤電車内で添削し、学校に着く前には携帯メールで送り返すという真剣勝負をし続けました。
こうした私のスピードに、実習生はよく着いてきたものだと感心しました。先週、勉強会で一緒になる機会があったので、
「あの6月から7月までの1ヶ月間、よく毎日書き続けたね。」
と声をかけると、
「井上先生がすぐに添削してくるものだから、意地でも書き続けるって頑張ったんです。」
と答えてくれました。この姿勢がある人は必ず良い教師になります。
教員採用試験も当然合格しました。4月からは新任教師としてデビューします。教室では彼女を待っている、彼女でしか伸ばせない子どもたちがたくさん待っていることでしょう。