バレーボールのメンタルレベルを示す意味でも、これまで指導してきた小学生の中で、高いレベルの子供たちを紹介します。
以下に書いているくらい努力して、はじめて都大会に出る実力がついていったのです。
今の矢口タートルズのメンバーの中で、ここまでバレーボールをつきつめられる子がいるでしょうか。現れてほしいと期待しています。
【2022年 1年生女子 8月に1人アンダーを100回できるようになったスーパー1年生(矢口タートルズ)】
こうちょうせんせいへ
バレーボールがたのしいです。
どうしてかというと、しあいでじぶんのチームがかつとうれしいからです。
それにじぶんのところにボールがくると、とってセッターにかえして、さいごのひとにボールをあげます。
そうやって、みんなでボールをつなげあうのがたのしいからです。
あと、こうちょうせんせいがおしえるときに、おもしろいからすきです。
おおきいこがやさしくしてくれるのもうれしいです。
れんしゅうすればするほど、うまくなるのもうれしいです。
つぎのれんしゅうがたのしみです。
これからもおしえてください。
まさに「ポジティブ思考」をしている文章です。
ポジティブ思考とは、前向きな考え方をすることをいいます。
ミスしても、次はそれとはちがうことをしてみようと思えば、失敗が成功に変わります。ポジティブ思考には失敗はありえません。9999回失敗しても、それをしてはいけなかったんだということが分かったからいいんだと考えれば、9999回の失敗ではなく、10000回目に成功する可能性が残されます。くよくよする態度をしていると、9999回の失敗が本当に失敗経験の積み重ねとなり、自信がなくなっていきます。人生はいつもポジティブ思考で考えることが大切です。
【2010年 2年生女子 こういう発想がパワーを生む!(辰巳ジャンプ)】
とても厳しい練習をした後で、少し時間を取ってミーティング。子どもたちといろいろなことを語り合いました。その中で、「夢」について話し合っていた時に、2年生のRさんが言った言葉が素晴らしかったのです。彼女はこんなことを言ってくれました。
「私は、全日本の6番(佐野さん)と12番(木村さん)の人みたいになりたい。それが夢なの。だからレシーブは全部あげられるようにしたい。」
ここまでは普通の発言でした。次に話し出したことが、誰も考えつかないような内容だったのです。
「私は、もっともっと高くジャンプしたい。2メートル跳びたい!!!それが夢なの。」
これを聞いた上級生は、たちまち否定を始めました。
「そんなの無理だよ。」
「2メートルも跳べるわけないよ。」
このやりとり。非常に面白い。認知脳と情動脳の戦いだからです。
昨日の研修会で辻先生から、
「人は認知脳で考えると、理屈で考えるようになり、根拠を求めるようになる。その結果、“無理”とか“できない”というブレーキをかけるようにできている。」
と教えていただきました。2年生の突拍子もない発言に対する上級生の発言は、まさに「認知脳」だったのです。自分たちの様々な経験を根拠から判断して、「無理だよ」という言葉が出てきたのです。私はすかさず話しました。
「なぜ“できない”と決めてしまうの? そんなことは分からないじゃん。もしかしたらRさんは2メートル跳べるようになるかもしれないじゃん。でも、それ以上に大事なことがあるんだ。Rさんは、2メートルジャンプしたいという、誰も考えつかないようなことを考えていたんだ。この“誰も考えないことを思いつく”という力が、自分の夢を実現していく力になるんだ。」
誰も考えないことを思いつければ、全人類のうちの3%しかいない「成功者グループ」に入ることができます。これがパワーとなります。
【2010年4年生女子 バレーボールについて自分一人で考えを深めてきた4年生(辰巳ジャンプ)】
【目標】
(1)試合で勝ちたい。21-0で勝つことをいつも自分たちの目標としてチャレンジしたい。
(2)勝つためにはサービスエースを連続で取れるようにする。
(3)勝ち続けて世界1になる。
(4)全国大会にも出て、たくさんの友達を作ることも目標にする。
(5)応援してくれる大人や友達がたくさん、私たちのファンになるくらいになる。
(6)世界中の人たちが私たちを応援してくれるようになる。
(7)取材を受けるくらいに有名になる。そうすれば部員も30人以上に増える。
【試合】
(1)試合は心をひとつにして、声も大きな声で勝つ!
(2)そのために元気に楽しく盛り上げる。どんどん喜ぶ。「よしっ!よしっ!」とハイタッチをする。
(3)大きな声で、みんなに指示を出す。
(4)しっかり聞こえる声で試合をする。
(5)今度の試合では、ミスらないし、怒られない。
【攻撃・スパイク】
(1)スパイクは、ミスをこわがらない気持ちと、みんながつなげてくれたという気持ちをもって打つ。
(2)スパイクの助走を力強く、足音が出るくらいに踏み込む。
(3)スパイクのバックスイングを忘れずに、大きく腕を振る。
(4)スパイクは思い切り打つ。
(5)あいている所をねらって打つ。
(6)ボールがはれつするくらいに強く打つ。
(7)そのために体全体を使って打つ。
【攻撃・サーブ】
(1)サーブはトスを前に投げて、ボールをミートして強く打つ。
(2)いつもサービスエースをねらう。
(3)相手がよけたり、はじいたりするくらいに強く打つ。
(4)あいているところや、ミスしやすい人をねらって打つ。
(5)ボールの真ん中をはじくように打って、変化球サーブにする。
(6)練習で100本中100本決まるように、休けい時間にも練習する。
(7)落ち着いて打てるように深呼吸をしてから打つ。
【守り】
(1)レシーブは正しいフォームでする。
(2)ボールが来る場所を予想して動く。
(3)全力で走ってレシーブし、絶対に落とさない。
(4)ボールだけを見ない。(ボールだけを見ているとスタートが遅れてしまいますから、相手チーム全体をテレビ画面を見るようになんとなく見て“感じる”ということを辰巳ジャンプでは指導しています。)
(5)小さすぎるレシーブをしない。次の人が一番動きやすいレシーブをする。
(6)カバーリングをしっかりやる。
(7)スライディングで最後まであきらめないために、腰を低くしながら動く。
(8)ブロックは手をかぶせるようにして、下に落とす。
(9)どんな球でも“バシーン”と決める。
(10)ネットの上に顔まで出るくらいジャンプできるようにする。
【練習】
書ききれなくなったので、もう1枚の紙に書きます。(実は練習の心がまえという、もう1枚も書いています。)
小学校4年生がここまで考えました。
【2012年6年生女子 5時間練習で井上が指導した言葉を52項目ノートに記録してきた6年生(辰巳ジャンプ)】
先週の土曜日は午後から5時間の練習を行なった辰巳ジャンプ。その5時間練習の中で、私が語ったことを思い出しながら、すべてノートに書いてきた子がいました。レフトのアタッカーです。毎回の練習前に提出させている「練習ノート」を開いた瞬間、思わずつぶやいてしまいました。「なんだこれは!すごいな!」と。私の指導、全部で52項目を箇条書きにしてきたのです。それをここに書き残しておきます。チームのみんなも読んで勉強して下さい。
(1)目の前を通るようにスイングする
(2)自分の足に動けと言い聞かせろ!!
(3)自分に甘い人がコートの中にいるとボールが落ちる
(4)「率先垂範」とは先頭に立って模範となること
(5)ドライブは手首
(6)左右はサイドステップで動け!!
(7)後ろ向きにさがらず、半身で走れ!!
(8)体育館に踏み出す一歩で今日は決まる
(9)「あいさつ」&「返事」をガンガン
(10)苦しい時は私の背中を見なさい→先頭に立っている
(11)カバーのスパイクはまっすぐ!!
(12)一歩目の足で判断しろ!!
(13)背中は向けない!ひねらない!
(14)左手は右肩の前!!
(15)足音を出してふみこみしろ!!
(16)かぶって打つな!!
(17)クロス打ちの練習!ストレート禁止!!
(18)半身で打たない!!
(19)左手が横だと力が入らない!!
(20)最後は手首で!!
(21)おすだけだとアウトになる!!
(22)スパイクカットはしぼれ!!
(23)人のいない所に打て!!
(24)人のいないところを埋めろ!!
(25)決めに行け!!
(26)ネット(アンテナ)外のボールは動けば簡単に返せる!
(27)自分にきびしくしろ!!
(28)カバーに走れ!!
(29)左ができても右ができなければダメ!
(30)あんだけ負けて泣いているのにボールに向かおうとしない!
(31)負けて悔しくないのか?!
(32)今日出来るようにならなかったら明日もおなじだよ!
(33)ひざが使われていない!!
(34)サーブミスが多い!!
(35)クロスの手は親指からスイング!
(36)ボールにかぶさる感じ
(37)トスが低いのにあごを引かない
(38)声、返事が出来ない人がコートにいても意味がない
(39)対人、トレーニングから全力でやるかどうか
(40)強い気持ちでコートに入れ!!
(41)手だけ出さないで足を動かせ!!
(42)自分の事だけでなく周りも見ろ!
(43)肩を入れてしぼれ!!
(44)自分の力の半分で打て(ナナコは)
(45)大きい声を出さないからねらわれるんだ!!
(46)集中攻撃されて負けたのに悔しくないのか??
(47)1,2,3ではない声かけをしろ!!
(48)パスする人に指示を出せ!!
(49)打点を高くしろ!!
(50)横からスイングするな!!
(51)ひじがさがったら強く打てない!
(52)プロの人はひじをさげて打たない!
よく記憶しているものですね。練習中に私がしゃべった言葉を思い出せる限り書いてみたそうです。自分以外の人へのアドバイス・叱咤・激励、すべてを聞き取り、自分のものにしてしまうのが、この子の人より一歩秀でた能力です。1回の練習中に私がこんなに指導をしているのだと驚きましたが、それ以上に、すべて記憶してくれる子どもがチームにいることが誇りです。