結晶の解析にフーリエ級数とかフーリエ変換が必要となるというのはどうしてか。
これをよく考えてみると当然のことであった。フーリエ級数は周期的な関数を三角関数の級数で表すことである。そのとき、そのフーリエ係数はもちろん周期関数そのものが与えられないと決めることができない。
ところが、結晶は実際には有限の大きさではあるだろうが、そのことを一応無視して固体結晶が無限の周期的であると考えると、これはどうも3次元の一番いい周期的関数の例となるだろう。そうするとフーリエ級数とかフーリエ係数が必要になる例としては結晶はうってつけであろう。
もっとも固体結晶の解析はなかなか面倒なので、専門家でない、私にはなかなか取り付き難いのである。だが、これからフーリエ級数とか変換を学ぶときにはこのことを知っておくといいに違いない。
もっとも結晶の回折を学ぶとなるとフーリエ級数とかフーリエ解析を超えて難しくなると思われるが、フーリエ解析のテクストを書く人はそういう事柄を知っているとその記述が深みを増すのではなかろうか。
そんなことを考えている今日この頃である。
私などはそういう結晶解析については門外漢であったので、結晶のX線回折等における、フーリエ解析の重要性がわからなかった。精々、電気回路の電圧の矩形波だとかのこぎり波を三角関数で表すくらいのことにしか頭がいかなかった。