映画「武士の家計簿」を昨日見た。加賀金沢百万石の前田家はさすがに大藩だけのことはあって、そろばんのよくできる算用者を150人抱えていたと聞くとさすがに大きな藩だなと思う。
その算用者の中の一つの家系の猪山家の7代目直之は剣術はからっきし駄目だが、そろばん達者で藩を支えるようになる。それも上役の殿様からの放出米200俵を上役が50俵ピンはねしていたのをそのピンはねを認めないという律儀さからである。
もちろん下っ端家臣だから、その上役に疎まれて能登半島に出向になろうとしていた。ところが査察が入ってそのピンはねは暴露されて、その調べを地道にしていた直之は取り立てられる。
この直之は融通が効かぬといえばそうであるが、どうもきちんとするしないと気になるという気質かららしい。
そして自分の家の家計が火の車だとなると、父、母、祖母に秘蔵の宝も出させてそれを売り払って借金を返そうとするが、それでも半分くらいしか返済できない。それで弁当とかその他の緊縮財政をとる。10歳にも行かない(?)息子に家の買物の支払いをまかせ、家計簿をつけさせる。そして5文かなにかの赤字を自分でなんとかしなさいという。
また、犀川で拾ったお金で我が家の赤字を補填したという息子にそれを犀川の河原に戻しに行きなさいと命令する。小さい子どもだのにである。
その後、子どもの成之は討幕軍に加わり、大村益次郎とともに暗殺されたと思われたが、それは人違いで生き残り、政府の要人となる。
実際に大村益次郎から高い評価を得て、討幕軍の勘定方に抜擢された。ここらあたりはよくはわからなかったが、大村益次郎(村田蔵六)は元医者で日本陸軍の創設の立役者の一人といわれているが、昔見た大河ドラマ「花神」ではシーボルトから医術を習い、若いときは宇和島の伊達藩に仕えていたと記憶する。
だから、大村はやはり普通の武士とはものの見方が違っていたので、算用者である、成之を評価できたのだろう。彼は砲術を蘭書で学んだとも言われる。砲術とは穏やかではないが、もしそうなら、村田蔵六は放物体の運動の力学等も学んだのであろうか。
この映画は金沢の古文書を読み解いた方の本を下敷きにしているらしい。そういう作業をした磯田道史さんとかいう方はなかなか目のつけ所がいい。