【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

テレビショーのスタート、当初予算案が衆議院予算委員会で審議入り1か月の攻防始まる、財務省理財局長特例4連発で「謝る」、日米合同委員会、働き方改革

2018年02月02日 17時32分19秒 | 第196回通常国会(2018年1月召集)働き方 カジノ

 与党が描く最速ペースで、当初予算案の審議が始まりました。ただし、(1)森友の国有地(2)日米地位協定・日米合同軍事委員会(3)働き方改革ーーの3点で野党が猛攻の兆しが出てきました。予算は与党の賛成多数で絶対成立します。なので、気楽に、これから、3週間ちょっと、外も寒いですし、テレビショーの感覚で見ていけばいいのではないでしょうか。もちろん、直近の民意は衆議院ですから、衆議院の議決が国会の議決になるのが直近の民意であり、参議院で長時間審議することは与野党とも許されないことだと考えます。

【衆議院予算委員会 平成30年2018年2月2日(金)】

 「平成30年度予算案」は既に補正と同時に趣旨説明を聞いていますから、審議は2日目になります。そのうち、基本的質疑の1日目が、定刻から始まりました。

 与党の時間が大幅に延びました。自民党は、9月の同党総裁選か、あるいは2021年の出馬をねらう、岸田文雄政調会長がトップバッター。官邸の「人づくり革命・生産性革命」を「人づくり改革・生産性改革」と言い換えて質問しました。野党国対委員長時代に社会保障と税の一体改革をつるした経験からか、財政再建について質問。外相時代には集団的自衛権を許し、韓国との「不可逆的な慰安婦問題の解決」をした岸田さんですが、安倍晋三首相から「地元の広島にオバマ大統領が来た」とし、原爆資料館内でのオバマ大統領の様子を披露し、歴史的意義があるとの印象操作を繰り広げました。

 民主党を裏切って、自民党に入った後藤茂之さんは「アベノミクスで持つ者と持たざる者の格差が広がっているのではないか」と切り出し、閣僚らに否定してもらいました。同党税制調査会の幹部であることから、「機械などの固定資産税の減免措置について、自治体の裁量もある。自治体は税収減になるが協力してほしい」と、地方税法改正案が未提出・未成立にもかかわらず、決まったこととして、テレビ越しに呼びかけました。

●働き方改革関連法案(未提出)で男女間の賃金格差の規定はない

 野党では、立憲民主党から元厚生労働副大臣の西村ちなみさんが、登場。働き方改革関連法案(未提出)によって、男女間の賃金格差委はどうなるととたずね、加藤勝信厚労大臣は「一つはワークライフバランスが良くなる。30代後半の女子絵の半数以上は非正規だ」として、男女の賃金格差を是正する条項などは無いことが分かりました。1985年以降の我が国の労働法体系は、男女間賃金格差は無い代わりに、正規・非正規の格差が広がり、30年前と比べて、女性の就労者は500万人増えているのに、いわゆる「正規」の女性は逆に100万人減る結果となっています。ですから、今次改正法案も、「男女間は平等だ」という大前提のもと、正規・非正規で調整する発想は変わらないということになりそうです。

 最大野党消滅でむかえた前回の衆院選を勝ち抜いた、西村さんは「幼児教育の無償化は、私もすべての園が対象だ、と思い込んでいた」と語ると、安倍首相は「認可外を対象外にするとはだれも言っていない。これから検討する」と、自民党お得意の答弁。実際に、たしか8月ごろにとりまとめることで報じられており、首相はそれ以外は「補正予算に前倒した」と緊急対策をアピールしました。

●日米地位協定、日米合同委員会の単語に安倍晋三さん、河野太郎さんナーバスなようす

 阿部知子さんは「米軍ヘリの事故は日米合同委員会で話し合ったのか」と質問。「日本から見てペルソナノングラータノ」の河野太郎外相は「アメリカの承認がないと明かせない」としました。小野寺五典防衛相は「米側に調査と報告を求めている」とし日米合同委員会の開示は難しいが「沖縄の人に報告したい」としました。私も数年前まで、日米地位協定も、日米合同委員会も、その名を知らないくらいでしたが、今国会では、安倍さんが明らかに、日米地位協定、日米合同委員会という単語をいやがっているきらいがあります。

●森友国有地の4つの特例で、理財局長が答弁を謝罪する場面も

 川内博史さんは森友国有地の4つの1000分の1特例に言及。4つの特例は、瑕疵担保面積特約がついたのが1000分の1未満、売り払いを前提にして定期借地権をつけたが1000分の1未満ーーというもので、現在の太田理財局長が、先の特別国会で初めて言及したものです。年が明けて、太田さんの態度が変わりました。きょうは答弁の態度をたしなめられ、謝るシーンもありました。たぶん、太田さんは佐川さんよりもいい人なんでしょう。ただ、財務省が20年間財政・経済政策を間違っていたという論が国民に大きく浸透してきており、省内でも自信を喪失する人が出てきそうです。

【参議院 同日】

 ありません。夏休みみたいなもんです。国会同意人事をめぐる本会議がそのうちあるかもしれません。

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(C)2018年、宮崎信行。

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