【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

衆・予算通過は週明けに、参・憲法審で自民党事務局長「投票平等は普遍的だが人口だけでは現状不満で将来はもっと懸念なので合区解消条項が必要だ」【追記・訂正有り】

2018年02月21日 17時15分21秒 | 第196回通常国会(2018年1月召集)働き方 カジノ

[写真]自民党憲法改正推進本部事務局長の参議院議員、岡田直樹さん、

【衆議院予算委員会 平成30年2018年2月21日(水)】

 「平成30年度予算案」の分科会を、今週23日(金)と2月26日(月)の2回に分けて開くことを全会一致で議決しました。

 例年2回に分けて開いていますが、日程の都合から1日に詰め込む年が増えていました。

 このため、予算通過は来週に持ち越すことが確実となりました。ことしは3月31日が土曜日です。このため、来週木曜日よりも前に、締めくくり質疑と本会議を開けば、年度内成立が確定的になります。自民党内の衆議院と参議院との考え方のすり合わせも必要となりそうです。

 公聴会に先立つ、午前8時45分ごろから50分ごろにかけて、予算委員会が開かれました。

【衆議院予算委員会公聴会 同日】

 「平成30年度予算案」

 午前の部では、財政健全化を訴える学者らが公述人。午後の部は、全国過労死家族会の寺西笑子会長らが後述。寺西さんは「長年築き上げられた文化はすぐには変えられない。少しずつでもやっていきたいと思う」と家族会の活動を振り返りました。

 話は関係ないんですが、中小企業の健康保険組合「協会けんぽ」東京支部から来年の料率が郵送されてきましたが、東京支部は料率が下がるんですね。おおむね、協会けんぽで働く人1人辺り、月50円玉1個以上の可処分所得にあたります。協会けんぽのペーパーも初めから「ご理解をお願いします」と刷り込んでありましたが、東京支部はすべての所得階層(標準報酬月額)で0・01%値下げのようです。協会はもともと溜まり金があり、東京一極集中もありますが、働けるなら働いた方が、収入と健康の両立ができるように感じます。

【参議院憲法審査会 同日】

 2月中に動き出しました。衆側より早くとは驚きましたが、私が聞いている日程感からは十分ありうる感じです。改憲が現実になってきました。改憲派ですが、護憲派のみなさんの動きが遅いのが気になります。もちろん改憲派の私でも、9条改悪と緊急事態条項は超慎重派です。

 きょうの議題は、「昨年に引き続き憲法に対する考え方についての意見の交換」。ちなみに、審査会は過半数で改憲発議案を本会議に上程することができます。それはあまり意味はありませんが、審査会は、自民党単独でも過半数になっています。

 きょうの審議では、既に憲法改正条項自民党案(

自民党改憲発議案の一部を初めて内定、「憲法47条改憲条項(選挙区)」、「憲法92条改憲条項(地方自治)」参選挙区は全県で改選1名の努力義務、衆選挙区割りで自治体分割なるべく解消が柱

)をまとめた、自民党憲法改正推進本部事務局長の、参議院議員、岡田直樹さんが登場しました。

●憲法47条改正条項と憲法92条改正条項を、自民党事務局長が紹介。

 岡田さんは、「自民党は目下、憲法改正のとりまとめ4項目を検討しており、そのうち、2月16日の会議で、参の合区解消と地方自治に関する、憲法47条改正条項と、憲法92条改正条項の叩き台を了承した。投票の平等は普遍的な価値観だが、人口だけの比例では、現状に不満があるし、将来的にはより懸念がある。他の尺度との調和が必要だ。47条改正条項に加えて、その前提となる地方自治体の強化について、92条の改正条項もまとめた」と紹介しました。この後登場した、自民党の滝波宏文さんも「地元福井県の豪雪で、災害対応には、市町村よりも県の方が重要だと感じた」とごもっともとしか言いようがない意見で、47条改正での合区解消の論理を補強しました。これについて野党から、法律案で合区解消と定数増を定めればいいとの批判がでました。

●憲法9条の改正では、膨大な日米密約で、憲法改正の段階に無いとの意見。

 憲法9条の改正について、自民党の山谷えり子元国家公安委員長は「憲法9条の平和主義の理念をしっかり守る。自衛隊をめぐる論争に決着をつけるべきだ」と主張。立憲民主党の風間直樹さんは、「外務政務官をつとめたが、我が国の安全保障は膨大な米国との密約の上に成り立っている。外務省でも把握しきれていない。9条に自衛隊を書き込むことは安全保障の全体像がおかしくなる」と主張。外務官僚出身の自民党の松川るいさんは「日米地位協定などを批判する人がいるが、日米同盟の運営には、日米委員会がある。これについて不満があるのは分かるが、憲法審とは別の場で議論するべきだ」としました。

【衆議院財政金融委員会 同日】

 「平成30年度税制改正の所得税法等改正案」(196閣法1号)と「国際観光旅客税法案」(196閣法2号)

【追記 2018年2月23日 午後5時半】

 訂正です。この日、議題になったのは「所得税法等改正案」(196閣法1号)のみでした。前の委員会で同時に趣旨説明された、「国際観光旅客税法案」(196閣法2号)は、野党の要望で、別々に議論することになり、きょうは議題になりませんでした。

【追記終わり】

 例年通りの時期ですが、こんなに確定申告のさいちゅうにやっていたのかと感じました。今、確定申告を計算している人が聞いたら、改正の話なので、混同しそうです。そもそも、ネット中継を含めてもあまりにも見ている人が少なすぎます。

 今次改正は、さほど大きな改正はありませんが、基礎控除と給与所得控除の見直しをめぐって、年850万円以上世帯の増税が野党が問題視しました。立憲民主党の末松義規さんは「せめて年収850万円から900万円に引き上げて、中間層に手厚い税制にはできないのか」と働きかけました。横路孝弘元衆議院議長の後継者である、道下大樹さんは「麻生太郎財務大臣の本会議答弁で納得いかない面があった。家計への影響と地方財政への影響を考えて850万円にしたとのことだった」と問いました。星野・財務省主税局長は「850万円を超えると、給与所得控除が159万円から最大15万円引き下がる」としました。

 無所属の会の野田佳彦さんは「給付つき税額控除の検討を進めるべきだ。子育て世代への配慮は税制でやるべきではない」としました。共産党の宮本徹さんは「租税特別措置の乱立が財政難を招いた」と自民党税制改正の歴史を批判しました。

 これに先立ち、トップバッターは、自民党3期生の津島淳さん。3期生世襲軍団では、福田康夫さん大野敬太郎が防衛政務官をしていますが、元テレビ東京首相官邸キャップの中川俊直さんは脱落してしまいました(政治活動継続中)。津島さんは「麻生大臣は大学の先輩」「私は太宰治の孫」と強調して始まりました。ただ、まとまった分かりやすい与党質問でした。「フリーランスの定義は特定の企業・団体に属さず、自らの技能で働くことで、フリーランサーとは請け負った業務をする人だ」と定義づけました。「私は子育て真っ最中だが、お金がかかる。経済にはありがたいが、子供の服は1年も持たない。子育て世帯への配慮は必要だ」としました。また「公的年金控除はありがたい」とし、所得控除や増税を財源とした社会保障をすすめる自民党の考えを浮き彫りにしました。

【参議院国際経済・外交に関する調査会 同日】

 会長をつとめる議員が2回連続で欠席していましたが、きょうは出席しました。

 アジア太平洋における平和にむけて、ASEAN、日露関係について、有識者からのヒアリングと意見交換がありました。

【参議院国民生活・経済に関する調査会 同日】

 高齢者の格差の解消について、ヒアリングと意見交換がありました。

【参議院資源エネルギーに関する調査会 同日】

 新任の原子力規制委員長に対する質疑がありました。自民党の青山繁晴さんの質問では、いつもながら、大量の傍聴人が詰めかけていました。青山事務所で手続きを代行しているんだろうと思いますが、青山さんは、どこで通知しているんでしょうね、メルマガでしょうか、ネットテレビでしょうか。 

このエントリーの本文記事は以上です。

(C)2018年、宮崎信行。

[お知らせはじめ]

宮崎信行の今後の政治日程(有料版)を発行しています。

国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読ください。 

このブログは以下のウェブサイトを活用しエントリー(記事)を作成しています。

衆議院インターネット審議中継(衆議院TV)

参議院インターネット審議中継

国会会議録検索システム(国立国会図書館ウェブサイト)

衆議院議案(衆議院ウェブサイト

今国会情報(参議院ウェブサイト)

各省庁の国会提出法案(閣法、各府省庁リンク)

予算書・決算書データベース(財務省ウェブサイト)

インターネット版官報

[お知らせおわり]

Miyazaki Nobuyuki


「専門的・技術的分野の外国人」限定を解除へ、入国管理法改正案、2018年秋の臨時国会にも提出へ

2018年02月21日 08時26分03秒 | 第197回臨時国会2018年12月までの「定例日無視延長なしのひどい国会」」

 上川陽子法相は、きのう、平成30年2018年2月20日(火)、経済財政諮問会議に臨時議員として出席。

 法務省からの要望として「外国人材の受け入れは専門的・技術的分野の外国人に限定するというこれまでの原則に縛らず、より開かれた受け入れ体制を構築すること」を要望ししました。

 これに基づき、政府は、「入国管理法改正案」を、2018年秋の臨時国会や、2019年通常国会に提出する見通し。

 入国管理法は、その別表第二で、在留資格を列挙。「高度専門職、経営管理、貿易、法律・会計業務、外国法事務弁護士、医師、歯科医師、教育、企業内転勤、介護、興行、演劇、演芸、演奏、スポーツ等の興行、技能実習」などとなっています。

 こういった法律上の限定を外す法改正となりそうです。

このエントリーの本文記事は以上です。

(C)2018年、宮崎信行。

[お知らせはじめ]

宮崎信行の今後の政治日程(有料版)を発行しています。

国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読ください。 

このブログは以下のウェブサイトを活用しエントリー(記事)を作成しています。

衆議院インターネット審議中継(衆議院TV)

参議院インターネット審議中継

国会会議録検索システム(国立国会図書館ウェブサイト)

衆議院議案(衆議院ウェブサイト

今国会情報(参議院ウェブサイト)

各省庁の国会提出法案(閣法、各府省庁リンク)

予算書・決算書データベース(財務省ウェブサイト)

インターネット版官報

[お知らせおわり]

Miyazaki Nobuyuki