【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

参・情監審は特定秘密保護法のサードパーティールール指定の件の国会報告で善処を確約、衆・総務委で地方税法改正案審議入り

2018年02月20日 17時50分35秒 | 第196回通常国会(2018年1月召集)働き方 カジノ

[写真]国会前庭の、河津桜から見る国会議事堂、きょねんの、きょう、2017年2月20日、筆者・宮崎信行撮影。

 テレビ入りの集中審議がありましたが、厚労省の裁量労働制調査ミスについて、与野党から質問が乱発され、とても食傷しました。安倍晋三忖度内閣のスタートだった、特定秘密保護法について、参議院情報監視審査会でインターネット中継入りで、法相から外国諜報機関から非公開を前提に得た特定秘密「サードパーティールール」の国会提出について、当時の森雅子・内閣府大臣の答弁に間違いがあったことが認められ、善処することが確約されました。地方税法改正法案が委員会審議入りしました。

【衆議院予算委員会 平成30年2018年2月20日(火)】

 「平成30年度予算案」は13日目ですが、集中審議はまだ3日目で、きょうのタイトルは「社会保障と人づくり革命等」でした。あすは公聴会ですので、別に分科会がなくても、あすで採決の前提が整うことになります。

 平成25年度厚労省調査の「裁量労働制の方が労働時間が短い」という詭弁については、まず、自民党のあべ俊子さんが言及。その後、立民、希望、無所属の会、そして維新から質問があり、さすがにしつこい感じになりました。立民の長妻昭代表代行(兼)政調会長は、労働組合が絡んでいるけど、良い面もあるので、「働き方改革関連法案(今月中提出予定)」について、歯切れが悪くなる面もあるのだけれど、やはり調査をやり直した方がいいのではないか、というような趣旨の指摘がありました。

 「IRカジノ実施法案」(来月上旬提出予定)と「ギャンブル等依存症対策基本法案」(195衆法2号=超党派で再提出の機運=)について、希望の党の大西健介さんが、IRカジノは仮に10か所出来ても年2兆円産業で、パチンコは年二十数兆円産業であり、パチンコの議論が必要だと指摘。小此木八郎国家公安委員長は「射幸心をあおるパチンコはギャンブルだという人もいるが、刑法185条でいう賭博にはあたらない」としました。また、パチンコ3点方式について、小此木国家公安委員長は「景品を売っている人がいることは把握している」とし、警察が3点方式を認識しているとしました。大西さんは、これらの答弁姿勢は以前と変わっていると指摘。大西さんは、「ことしになってから出玉規制をしている」と語り、出玉規制が今後の国会でのカジノ批判をおさえるねらいもあるのではないかと見通しました。

 ちなみに、昨日は、3党が欠席したまま終わったはずですが、なぜ、きょうのテレビ入りでは初めから復帰していたのか、その名目もよく分からないし、まあ、どうでもいいかなというところです。

 あす21日(水)午前9時から公聴会。

【衆議院総務委員会 同日】

 「平成30年度地方財政計画」、「平成30年度地方税法改正案」(196閣法8号)、「地方交付税法及び特別会計法改正案」(196閣法9号)が趣旨説明され、審議入りしました。質疑は、あさって、22日(木)9時から。

 趣旨説明に先立ち、大臣所信に対する一般質疑がありました。無所属の会の原口一博さんらが質問。一つ気になったのは、消防団員への学生の参加について指摘がありました。ただ、消防団といっても実力組織であり、自警団、自衛隊、海外派遣へとつながりますので、安易な労働力として大学生をとらえるべきではありません。

【参議院情報監視審査会 同日】

 インターネット生中継、議事録後日公開で開かれました。

 その理由について、中曽根弘文会長は「野党から、法案審議(2013年特定秘密保護法国会)の時と整合しない面があるとの指摘があり、公開して議事録を残すために、与野党からの質問に上川陽子法相に答えてもらう」としました。質問は与野党から提出されたものをすべて中曽根会長が読み上げ、上川大臣(内閣府特定秘密保護法担当大臣)が答弁しました。

 海外の諜報機関から第三者に提供しない条件だったり、提供する場合は事前に承諾を得たりすることを条件とする「サードパーティールール」について。平成25年11月28日(木)の森まさこ担当大臣の答弁は次のようでした。

国会会議録から抜粋引用はじめ]

第185回国会 国家安全保障に関する特別委員会 第9号

平成二十五年十一月二十八日(木曜日)
(略)
○国務大臣(森まさこ君)
(略)

そして、お尋ねの我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたときという意味でございますけれども、この著しい支障を及ぼすおそれがあるときとはどういうときがあるかと逆から申し上げますと、サードパーティールール、例えばサードパーティールールと申しまして、外国から情報をいただいた、それを特定秘密にしているというときに、外国が提供するときに、これはその他の者には出さないでくださいというような条件を付ける場合がございます。その場合で、国会に対してもそれが出せない場合というものが当てはまると思いますけれども、それ以外の場合は、通常、国会から求めがあれば、これは国会の保護措置が講じられていると思いますので、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないというふうに認定をされるというふうに思います。(後略)

[おわり]

 このサードパーティールールをたてにして、特定秘密の指定や解除を国会に報告しない事例が目立ったようです。上川法相は、サードパーティールールで、仮に「内閣限りだ」という条件、あまり想定しな得ない条件ですが、そのような内閣限りだという条件で外国から提供された情報であれば別だが、それ以外のサードパーティールールの特定秘密の指定・解除はなるべく国会に報告していきたい。という趣旨のことを問答したのだと思います。

 情監審は非公開ですが、私が野党議員の会員(既に政界引退)からあれこれ微に入り細に入り根掘り葉掘り聞いたところでは、とても熱心に審議がされています。動議も出しています。2013年特定秘密保護法国会以降、たしかに、北朝鮮ミサイルの発射事前情報は強くなりました。しかし、日米同盟が流動化し、平和安保法制、軍軍指揮、FMS増額、さらには「NATO日本代表部新設法案(196閣法19号)」提出と、日米、あるいは、韓豪英仏との関係に引っ張られがちになっています。そして、それよりなにより、適性検査などを含めて、霞が関が忖度しがちな物言えぬ雰囲気になってきました。忖度と炎上で、風前の灯火の日本民主主義。ちょっとこのまま行っちゃうしかないだろうと、私は考えています。

このエントリーの本文記事は以上です。

(C)2018年、宮崎信行。

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