ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

2020年通常国会に「介護保険法改正案」提出、3年に1回、「一般介護予防事業者」を拡大するも、サービスやや抑制の方向性か、介護保険料アップ条項にも関心が集まる公算

2019年03月03日 20時34分06秒 | 第201回通常国会(2020年1月から6月)「コロナ感染症」

[写真]日比谷公園を「借景」して撮影した厚生労働省、幹部級キャリアの心も美しくあってほしい、先々月2019年1月、宮崎信行撮影。

 「介護保険法改正案」が、2020年通常国会に提出されるはこびとなりました。新元号2年の通常国会は「第201回」の回次になるかもしれません。

 厚生労働省社会保障審議会介護保険分科会が、先月(2019年2月25日月曜日)開かれ、「2019年度の冬頃とりまとめ」というスケジュール感が了承されました。介護保険法は3年に1回改正されています。

 前回の平成29年改正法律では、所得の多い人だけ天引き介護保険料がアップする「総報酬割り」を創設。厚労省老健局は、前回の改正法律を「介護保険制度の持続可能性を確保すること」がメーンだったとしました。

 今回議論する改正法案は「現役人口減少社会での医療・介護サービスと社会の活力維持」が目的。非常に抽象的ですが、給付であるサービスの方を節約したい志向が強いようです。

 「介護保険分科会」を親会(おやかい)とする「一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会」が4月に新設されま。す。夏に中間報告、年内に最終報告をまとめて、親会に提出するはこびとなりました。一般介護予防事業者というものは既にあり、自治体から、認知症など予防の事業を請け負っています。事業者にとっては「ビジネスが広がる好機」ということになりそうです。全体としては、地域包括ケアシステムの拡大というお題目で、給付の負担を押し付けたり、人手がかからない介護給付サービスを増やすような、利用者側にも節約を求める方向性の議論となりそうです。

 介護保険料の負担増に関する議論も、避けて通れないと思われます。

 昨年8月の給料から天引き後に可処分所得が減った人から「勝手に決まった」と不満が出ましたが、有識者は「勝手に決まっておらず国会で審議していた」とネット上で反論する泥仕合もあり、40歳以上の中の上以上の給与所得者に不満が残っているようです。

 3年前の議論では、介護保険レンタルについて、1割負担よりも前に業者が設定している「定価」そのものが高いとの指摘が出ていましたが、審議会のプロセスの中で骨抜きにされましたレンタル業者当事者として情報がありますが、多くの給与所得者の中では「2018年8月から、介護保険料について、1300万人が負担増で、1700万人は負担減」という条項が入っているとはゆめゆめ思わず。前回の改正法案は、国会でかなりていねいに審査しましたから「勝手に決めた」わけではありませんが、可処分所得の減少が政権に対する漠然とした不満として潜在化しているようです。

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森ゆう子さん「あすからの参議院予算委員会でも不正統計を追及」自民・岡田さん「与党としても看過できない」と同調、NHK日曜討論

2019年03月03日 10時58分11秒 | 第198回通常国会2019年1月、改元、参院選へ激闘

[写真]副大臣席からながめる参議院第一委員会室、2年前の2017年、宮崎信行撮影。

 森ゆう子・参議院予算委員会筆頭理事は、けさ、平成31年2019年3月3日のNHK日曜討論に出演し、

 「不景気も統計一つで好景気。参議院は独自の文化があるので、与野党協力して、統計不正を追及する」と語り、あす午前8時55分からの参議院予算委員会でも、衆議院に続き、統計不正をターゲットにすることを明らかにしました。

  自民党参議院幹事長代行の岡田直樹さんは、「統計問題は看過できず、与野党問わずただしていく」と明言しましたが、第三者の監察特別委員会の追加報告書を信頼できるとして、野党の出席者から総ツッコミが入りました。

 森筆頭理事が所属する会派と行動をともにする、玉木雄一郎国民民主党代表は「実質賃金がプラスかマイナスかもわからない」として平成31年度予算案は議論の前提を欠いていると指摘。野党第2会派「立憲民主党」参議院議員会長の福山哲郎さんは「共通事業所の実質賃金のデータを出させる」「姉崎さん、中江さんの官邸介入疑惑に対してはあいまいな答弁に終始した」とし、参議院では与野党協力しての証人喚問をめざしたい意向をにじませました。福山さんは沖縄県民投票に関連して、辺野古の「地盤のデータを出させる」ことも強調しました。

 「維新・希望」の片山虎之助さんも、野党が統計不正の問題を追及するのは当然だと指摘。とはいえ、「1か月間の予算審議で、朝から晩まで統計不正ばかり取り上げるべきでない」「消費税増税や軽減税率を議論すべきだ」「世間では、統計不正よりも児童虐待の方の関心が高い」とくぎを刺しました。

 自民党の岡田直樹さんは、児童虐待防止法の改正案と児童福祉法の改正案を、今国会で成立させる意向を与党幹部として明示。

 森ゆう子さんは「森友問題でも、参議院の理事会に改竄文書を出した」とし、会計検査院を信用できないとして参議院決算委員会ではなく、参議院予算委員会が、与党の山本一太前委員長や事務局スタッフとともに自発的に解明にはかったのに、財務省が隠ぺいを図ったことへの不快感を示しました。

 2年前は森友が続かなくなって加計の合わせ技という印象もありましたが、2019年の参議院予算委員会は、まずは衆議院での積み残しから徹底した野党の追及が始まりそうです。それは野党が弱すぎることの証左ですが、参議院自民党の対応も注目されます。

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