宮崎信行の「新・夕刊フジ」

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

【きょうの国会まとめ】重要広範議案「子ども子育て支援法改正案」で首相に「消費税10%前提か?」と聞いて衆議院で審議入り

2019年03月12日 21時00分07秒 | 第198回通常国会2019年1月、改元、参院選へ激闘

(午後4時半初投稿で午後9時最終更新)

[写真]衆議院本会議場、おととし2017年、通例は正式見学コースでもあまり許可されませんが、当ブログは院の承諾を得て撮影・所持・掲載しています。

 首相に対する本会議での代表質問が必要だとする「重要広範議案」だと国対が合意していた「子ども子育て支援法改正案」(198閣法15号)が審議入りしました。会期内に当然成立するだろうけれども重要法案となります。国対の紳士協定である、重要広範議案は4本だとされており、「所得税」「地方税」は衆議院を通過しています。残り1本は不明。

 ある政党の国対事務局長は「もう3月中旬なのに、自民と立憲による協議事項のままで、いまさら何が指定されるのだろうか。摩訶不思議だ」と疑問視。他の政党の国対も「国対同士の協議事項のままで、ネッシーのように謎だ」としています。おととし秋の民進党分裂後に、政党職員である国対部員も割れてしまい、党本部勤務の政党職員が国会内に「転勤」したので、いまだにいろんなさざ波があります。「重要広範議案」は規則に無い国対用語ですから、院の事務局の助太刀にも限界があります。前原誠司氏は「1年半も経ってなんで私のせいなの」と言うでしょうが、とにもかくにも切腹せい。

【衆議院本会議 平成31年2019年3月12日(火)】

 委員長による審査報告と採決。委員長は「多数決の結果、政府原案通り可決すべきだ」との委員会での審査結果を本会議に報告しました。

 「警察法改正案」(198閣法2号)は共反対、自公立国維などの賛成多数で可決しました。参議院に送付。警察庁は既に、今月下旬付けの人事で「中国管区警察局長兼四国管区警察局長」を発令しており、来月上旬には「中四国管区警察局長」となるでしょう。

 「特定防衛調達のための長期契約特別措置法の5年延長法案」(198閣法13号)。採決は、立憲・国民・共産の反対、自民・公明・維新・社会保障を立て直す国民会議・未来日本の賛成多数で可決し、参議院に送られました

 これに先立ち、討論がありました。各会派の登壇は週ごとに回数が国対の紳士協定で決まっています。この調整もあってか、維新と、社会保障を立て直す国民会議は、わざわざ賛成討論に立ちました。各会派とも、問題点はある、とし、年末の閣議決定「中期防」でのイージスアショア、F35、FMSのしくみに注文を付けました。そのうえで、維新の串田誠一さんは問題を指摘しながらも、最後に「賛成だ」としたので議場がどよめきました。社会保障を立て直す国民会議の重徳和彦さんも、経費節減の法案は評価しながらも、中期防を批判しました。

 この後、上述の通り、「子ども子育て支援法改正案」(198閣法15号)が審議入りしました。重要広範議案ですので、宮越光寛・内閣府少子化担当相の趣旨説明に対する質疑を受けて、安倍晋三首相と宮腰さんが答弁しました。

 参で審議中の「平成31年度予算案」では10月の消費税10%を前提にしていますが、この法案にも、10%に引き上げないと施行しない条文が入っているようです。立憲の岡本あき子さんは、このことや、2歳児未満は非課税世帯しか対象にしないという条文が、恒久的な措置なのかどうかただしました。

【参議院予算委員会 同日】

 「平成31年度予算案」は7日目で、中央公聴会。

【衆議院総務委員会 同日】

 「成田空港周辺整備財特法の5年延長などの改正法案」(198閣法8号)を審議。討論なし。全会一致で可決すべきだと決まり、委員会を通過しました。

【衆議院財務金融委員会 同日】

 「平成31年度関税定率法など改正案」(198閣法9号)。採決は、全会一致で可決すべしとなりました。

 この後、「世界銀行追加出資のためのIMF・IBRD加盟法改正案」(198閣法10号)が趣旨説明され、散会しました。

 質疑への答弁。 

 麻生財務相は「賃金引き上げをおそれる会社が多い」と春闘シーズンに発言しました。

 共産の宮本徹さんは、金地金の消費税について。金融投資家が「金(きん)」を買いますが、商品であって通貨ではありませんから、買うときに消費税がかかります。しかし、年総額1000万円未満の非課税業者だったり、脱税したりすると、短期の売買で、現金80万円以上をつくる不正ができ、税率が上がれば、その問題は大きくなります。宮本さんは、欧州では、金融市場に限り、金を非課税にしているなどと指摘しましたが、財務省は不誠実な答弁に終始しました。ところで、「金」(きん)は何年持っても、利息は得られません。転売目的の者も少ないでしょう。無利息で、購入時だけで8%以上の税・手数料がかかるのに、喜んで所有し続ける金融資本家がいる。「財政再建ガー」論者を全否定しませんが、こういうところに気付いていない人もいるでしょうから、少し研究していただきたいところです。例えば「無利息の30年物国債をB社より多く持っているから、当A社は安全です!」という宣伝をする生命保険会社も、理論上はありえます。

【衆議院厚生労働委員会 同日】

 大臣の所信的あいさつに対する一般質疑がありました。

 立憲の大串博志さん。厚生労働省の毎月勤労統計の不正に関する特別監察委員会で、委員ではなく、職員がヒアリングをしていたことから、大混乱になりました。大串さんの先々月1月24日(木)の閉会中審査での質疑から問題が起こり、2月の衆での予算審議はこの問題だけで終わった感覚でした。定塚由美子官房長は、大串さんに対して「答弁にあやまりがあり、お詫び申し上げます」としました。課長級以下の職員へのヒアリングは「一部事務方」ではなく「全部事務方」がヒアリングしていた、と訂正しました。まるっきり世間ずれしていて、改革の方向性も見えないという印象です。

【衆議院安全保障委員会 同日】

 既に日切れ法案を処理していますが、きょうは、大臣所信に対する一般質疑。

【衆議院環境委員会 同日】

 一般質疑。

●参議院第一種常任委員会は11委員会すべて開催。

 参議院議員は府省庁ごとに設置された「第1種常任委員会」は必ず1つずつ入ることになっています。逆に言うと、予算委員会が公聴会ならば、11委員会をすべて同時に開けるように設計されています。きょうは、11委員会がすべて開かれました。

【参議院財政金融委員会 同日】

 「平成31年度所得税法など一括改正法案」(198閣法3号)。重要広範議案として、先週末の本会議で審議されたことで、委員会におろされ、委員会で審議入りしました。質疑は後日。 

【参議院厚生労働委員会 同日】
【参議院文教科学委員会 同日】
【参議院環境委員会 同日】

 各々、大臣らの所信的あいさつなどがありました。

【参議院経済産業委員会 同日】

 こちらも大臣の所信的あいさつがありました。経済産業大臣が「2025年大阪万博担当相になった」として「その財政特別措置法案」(198閣法11号)などの審議をお願いしました。内閣府の宮腰さんが「公正取引委員会を担当する」としてあいさつし、「独占禁止法改正案」(未提出)の審議をお願いしました。

【参議院内閣委員会 同日】

 前回の大臣の所信に対する一般質疑。国民会派の矢田わか子さんが、IRカジノ実施法(昨年成立)やギャンブル依存症対策法について、国の役所や自治体の対応状況について、確認しました。

【参議院総務委員会 同日】
【参議院法務委員会 同日】
【参議院農林水産委員会 同日】

 各々、前回の大臣の所信的あいさつに対する一般質疑がありました。

【参議院国土交通委員会 同日】

 前回の大臣の所信的あいさつについて、これまで農水が多かった舟山康江さん(参・国民国対委員長)らが質問。院の構成が不安定になっていますが、国土交通委員長は、秋から引き続き、羽田雄一郎さん(長野、今夏改選)。

【参議院外交防衛委員会 同日】

 一般質疑。

 先週の予算委員会に続き、小西洋之さんと横畠裕介・内閣法制局長官のバトル。先週の予算委員会で、小西さんの、「国会議員の質問の積み重ねは、内閣を律する効果があるのか」という趣旨の問いに、横畠さんが効果を認めながらも「声を荒げてまで質問することはない」という趣旨の答弁をしたことについて。きょうは小西さんが「行政の答弁が国会議員の発言の良し悪しを判断する権能があるのか」という趣旨の質問をし、横畠さんが「内閣、行政の一員が、国会の審議の良し悪しについて言うべきでなく、参議院予算委員長からも厳重注意を受けた」と答弁を繰り返しました。かみあわず、何度も中断しました。

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