宮崎信行の「新・夕刊フジ」

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

【今日の国会のまとめ】参・予算委はあす採決の公算、衆・法務委でハーグ条約法案審議入り「保育」+「大学」+「国際離婚」+「児童虐待」=「家族観国会」の様相

2019年03月26日 18時39分02秒 | 第198回通常国会2019年1月、改元、参院選へ激闘

[写真]内閣法制局が入るビルの前に立つ宮崎信行、先々月2019年1月撮影。

 予算(案)はあす成立のはこび。

 衆議院では、国際離婚後の子供の連れ去り対策法の改正案、0歳時からの保育園の所得による無償化法案、大学学費援助法案が審議されています。統一地方選や安倍一強で関心が集まらない中、父・夫が稼げない時代の家族観にもとづく法案が審議されていくことになります。しかしまあ、家族のかたちって、そもそも経済的な要素が一番大事だよね、たぶん愛よりも。

【衆議院地方創生に関する特別委員会 平成31年2019年3月26日(火)】

 「第9次地方分権一括法案」(198閣法37号)が片山さつき地方創生相から趣旨説明されました。質疑は次回。

 なお、政府が、3月上旬に提出するとしていた、特区法改正案がいまだに提出されないのは、内閣法制局がストップをかけていたことが分かりました。与党・公明党政調会長も記者会見で「説明が無い」と語るなど、謎となっていました。報道によると、住民の同意を得て条例をつくる特区について、法律と条例の優位性について、法制局の審査が通らなかったようです。私は特区制度を激しく批判していますが、「住民の同意を得て」という考え方は特区15年の歴史で初めて出てきたのですが、法制局ももう特区はやめにしようと考えているのでしょう。法制局も世論の風向きを忖度しているのかもしれません、前々からそうだったのかもね。

【衆議院法務委員会 同日】

 「国際離婚での子の奪取連れ去りに関する、ハーグ条約国内実施法の改正案」(198閣法28号)が趣旨説明されました。

 これに先立つ一般質疑では、厚生労働委員がさしかえで法務委員会に登場し、「児童福祉法及び児童虐待防止法改正案」(198閣法55号、吊るし)を先取り質問しました。おそらく重要広範議案である児童虐待防止法の改正をめぐって、与野党案の歩み寄りや修正協議をして、今国会を締めくくりたいという方向性の思惑があるのではないかと思います。審議未了廃案に追い込むという趣旨のものではないでしょう。
  

 復興予算での法務省・茨城水戸総合庁舎の建て替えを民主党政権の誰が概算要求したのかをめぐる資料の間違いについてもふたたび話し合われました。これとは別に、法務省と同じビルに入る最高検察庁の事務官が先週土曜日朝の出勤途中の駅で7歳男児を突き飛ばして逮捕されるなど、法務省内が混乱しているようです。岡口基一裁判官が「最高裁に告ぐ」という本を、どういう内容か知りませんが、あさって出版するようです。日経新聞の世論調査では、国民の7割は裁判所を信頼し、国会を信頼する人は2割しかいないようです。その7割に信頼されている素晴らしい、最高裁・検察庁・法務省グループにほころびが、国会という外の世界から透けて見えだしています。オープンになりつつあるということです。

【参議院予算委員会 同日】

 「平成31年度予算案」の審議は16日目。そのうち一般質疑は5日目。さすがにもう十分なような感じがします。あす採決の公算。

 日経新聞で「崩壊厚労省」という連載が始まり、局長級は実名ながら、国会に呼ばれたにもかかわらず課長は匿名で報道されました。きょうの維新・希望の片山大介さんの質問について、厚労省官房長は「室長F」の表現で、経緯を説明。しかし、議員の質問に対して「そこまでヒアリングしていない」と答弁する場面もありました。世論は盛り上がりませんが、後半国会でも追及は続くでしょう。

 立憲の石橋通宏さんは、障害者雇用の法定率確保のための国の大量採用によって、民間企業から国へ転職する障害者が増えていると指摘。石橋さんは「悲鳴が上がっている」とし、このために法定雇用率をわった企業に対して罰金(納付金)を課さないよう、大臣に求めましたが、大臣は拒みました。

 共産の田村智子さんの生活保護に関する質問。田村さんが「自治体から、ヤクルトの仕事は安いから辞めろ、と言われて従わなかった女性が世帯分離され、そこだけ生活保護を止められた」とし、「ノルマ有りきの生活保護行政だ」と批判すると、おそらく自民党席からも「ホ~!」というため息が漏れたようです。

【衆議院本会議 同日】

 「ため池管理保全法案」(198閣法29号)が全会一致で可決され、参議院に送られました。

 「2025年大阪万博財政特措法案」(198閣法11号)が起立多数で可決し、参議院に送られました。

 「裁判所職員定員法改正案」(198閣法19号)が自公などの賛成多数で可決し、参議院に送られました。

  これに先立ち、国会同意人事がありました。会計検査院、区割り審(衆議院選挙区区画画定審査会)などが全会一致や賛成多数で同意されました。

【衆議院議院運営委員会】

 前日の理事会で、西村康稔官房副長官が、提示した同意案のうち1人を取り下げました。週刊誌報道を受けてのもの。

【衆議院情報監視審査会 同日】

 「年次報告書」を採決。「シールドルーム」でなく、議長応接室で開かれました。


【衆議院厚生労働委員会理事懇談会 同日】

【衆議院災害対策特別委員会理事懇談会 同日】
【衆議院政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会理事懇談会 同日】
【衆議院消費者問題に関する特別委員会理事懇談会 同日】
【衆議院科学技術・イノベーション推進特別委員会理事懇談会 同日】
【衆議院原子力問題調査特別委員会理事懇談会 同日】

 厚生労働委員会と、特別委員会5つは、理事懇談会を開き、今後の日程を話し合いました。

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