【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

吉川沙織さん「新型コロナ内定取り消しに注意を」厚労相「1件届けられている」、10年前の今日の吉川さん「就職氷河期世代」にテレビ入りで初言及し反響殺到

2020年03月09日 21時07分26秒 | 第201回通常国会(2020年1月から6月)「コロナ感染症」
[画像]質問する吉川沙織さん、NHK常時同時配信「NHKプラス」の追いかけ再生のPC画面からスクリーンショット。

 立憲民主党会派の吉川沙織(吉川さおり)さんは、きょう令和2年2020年3月9日(月)の参議院予算委員会集中審議で質問。加藤勝信厚労相は新型コロナウイルスによる自粛を受けて、4月卒業見込みの大学生の就職内定取り消しが発生したことを明かしました。

 吉川さんは「リーマンショックのさい、多くの学生が内定取り消しにあう事態が発生しました。来月から新年度です。あってはならないけれども、学生が内定取り消しの憂き目にあっていないことを心から願いたい」と述べました。

●内定取り消しは既に1件(以上)発生

 これに対して、加藤勝信厚労相は「内定取り消しについては、職業安定所に通知をしていただくことになっている。現時点で、そういう事例は1件、届け出が出ているのが1件ではありますけど、これからこうした事態があることを想定しながら、就職先を別途確保するようハローワークを通じて努力していきたい」と答弁しました。

 新型コロナウイルス関連での内定辞退が発生したことが分かったのはこれが初めて。

●10年前の今日も、吉川さんはテレビ入りで質問

 ちなみに吉川さんは、10年前の3月9日にも、テレビ入りで就職氷河期対策を求めました。

 10年前の吉川さんの発言は次の通り。

 「私、実際に就職氷河期を体験して会社員をしていたという経験もございますことから、若年者雇用の問題について質問を(他のテレビ中継がない委員会で)今までさせていただきました。ですから、同世代の多くが職に就きたくても就けないまま社会に出ざるを得なかった世代の代表として、最近の政府の対応策を中心に、新卒者支援、既卒者支援の観点からお伺いしたいと思います」。

 この発言で、「よく取り上げてくれた」との電話が国会事務所に殺到。これを見ていた現役大学生らゼミ生が「生の声を聞いてほしい」と教授に紹介状を書いてもらい、民主党本部に意見を郵送。党役員と吉川さんが話を聞く機会が持たれました。ちなみに教授も、党や議員と面識があるわけではなく、大学教授の肩書があれば国政につながるだろうというひっしの思いだったようです。

 我が国は、大学生と会社員との情報の隔絶が顕著。1990年代にドイツ人ジャーナリスト、カレル・ヴァン・ウォルフレンさんが批判し、インターネットの時代になったことで緩和されましたが、正規・非正規の分断という問題が発生しました。私は現役東大法学部女性3年生と友人ですが、就職活動の問題は今も昔も変わりません。

 きょうの審議では上述のやりとりのほかに、吉川さんと同世代の就職氷河期の対応も求めました。吉川さんは「非正規雇用、フリーター、障害者、そして就職氷河期世代。就職氷河期世代は今なお非正規雇用にとどめられている人が多い」「非正規雇用者はリーマンショックとかその都度影響を受けている」と語りました。これに対して、厚労相は「中国人観光客を相手とするバス会社で既に解雇がなされている」「自動車をはじめとした製造業では中国から調達していた部品が入ってこないため、事業に支障をきたしており、休業を検討している」と説明。そのうえで(1)雇用主に対する雇用調整助成金の特例措置の緩和(2)自治体の長が住民への自粛を要請したときに非正規雇用労働者も支援対象とする(3)小学校の休校で職場を休まざる人に対して、正規・非正規問わず休暇中に支払われた賃金相当額を助成する新たな助成金を国が創設するーーの3点を確約しました。

 吉川さんも、自分は就職氷河期なのに、NTT西日本に就職できたのは、運が良かったとしています。情報労連組織内ですが、実際には、吉川さんはNTT西日本は初当選よりも前に退社しており、「公募候補」でした。


[写真]吉川沙織さん、2017年、都内で、宮崎信行撮影。

●NHKプラス「追いかけ再生」で国会インターネット中継デビュー

 ちなみに、今月1日から始まったNHK常時同時配信「NHKプラス」のパソコン版の追いかけ再生(追っかけ再生)機能で、上の画像をスクリーンショットしました。スマホアプリ版だと画面はスクショできないようです。この追いかけ再生機能は、民放もインターネットテレビも設備投資が追い付かず、いきなりNHKだけの独占的機能となってしまいました。NHKがついにインターネット報道界に上から殴り込み。私はこれまで通りやっていこうと考えます。

 以上です。

【3/9】「公文書管理ガイドラインの歴史的緊急事態を」蓮舫さんが超党派的に求める参議院予算委員会、あす「新型コロナウイルス緊急事態宣言法案」提出

2020年03月09日 20時23分42秒 | 第201回通常国会(2020年1月から6月)「コロナ感染症」
[写真]大震災イヤー2011年12月の、岡田克也・与党役員(左)と蓮舫節電担当大臣、議員会館内、宮崎信行撮影。

 第201回通常国会はきょうで50日間を終了。残り100日間。中盤国会は「新型コロナウイルス国会」となりました。

【参議院予算委員会 令和2年2020年3月9日(月)】

 震災は日本の話でしたが、新型コロナウイルスは中国、イタリア、アメリカなど世界の危機となりました。オバマ前大統領を生み出した「シカゴ重商取引所」が計算している日経平均株価先物が「1万8987円」となり、年金GPIFが株式資産の含み損をかかえるとされる1万8000円のラインが近づきました。米国10年物国債は年利0・4%となっており、もはや資本主義が歪みそう。OPECが増産し、WTIは1バレル29ドルに。日銀当座預金は390兆円台となっており、民間銀行が融資を増やしていると考えられ、安全網を早めに確保する動きはあるようです。財務省財務官が、森友問題発生時の近畿財務局長であることが懸念材料でしょうか。

 「令和2年度予算案」の審議は7日目で、そのうち集中審議は1日目。タイトルは「内政・外交の諸課題」。

 自民党は日本医師会組織内(本人は医師ではない)武見敬三さんと、日本看護協会組織内の高階恵美子さんが質問。

 立憲民主党は与野党合意にもとづき、蓮舫さんが質疑に立ち、「新型コロナウイルス対応での、公文書管理ガイドラインにもとづく、歴史的緊急事態宣言」を安倍晋三首相に働きかけました。首相は「歴史的緊急事態にしたい」と述べ、各府省庁に事実上命令しました。

 2011年3月11日の東日本大震災に関して、議事録がないと野党・自民党が徹底追及。2012年1月に入閣した、岡田克也・副総理兼公文書管理担当大臣が、レコーダーやメモなどから議事要旨を復元させることも視野に「公文書管理ガイドライン」を策定しました。正直このことは、私も忘れていました。そして、政権再交代後には、閣議と閣僚懇談会の議事録が3週間以内に官邸ホームページで公開されるなど、自民党政権は公文書公開を前に進めて船出をしていました。

 蓮舫さんは3・11で速やかに「節電担当大臣」に任命され、襟を立てた防災服姿で輪番停電への理解を求めて情報発信しました。そういえば、電力総連や電事連から締め付けられたという話は聞きませんでした。

【衆議院 同日】

 ありません。

【今後の予定】

 予算委員会は、あすは中央公聴会。3部制で、「公衆衛生」「新型コロナウイルスが内政に与える影響」「内政・外交の諸課題」。第1部ではテレビで発信している上昌広さんが登場。第3部では三浦瑠麗さんが登場。

 参議院では第1種常任委員会がすべて開かれます。一般質疑を経て、「委嘱審査」という予算審議の前提が整いそう。法務省、環境省については衆議院の委員会で一般質疑があるので、今夜から明日にかけては、霞が関の全府省庁の全部局が一般質疑への答弁対応になります。

 あすの閣議では「新型コロナウイルス対策のための新型インフルエンザ特措法改正案」(201閣法 号)が決定され、国会では衆議院内閣委員会の理事懇談会や、各党の内閣部会など合同会議が開かれます。

 以上です。