今年はいつになく多くの人たちとの別れの時となった。知人・友人、そして人生の指南役でもあった人々が、突如として世を去っていった。
まだ夏はこれからというのに。
節電とやらで、酷熱の夏を覚悟しているが、舗道のアスファルトを溶かすような暑い日射しの日は少ない。もう秋のような風が吹いている。原発、地震の恐怖は、人々の心の底深く根づいてしまった。余震は絶えることなく続いている。中世ならば、人は末世の到来と思うかもしれない。
すでにかなり早い時期から恩師ともいうべき人たちを失ってきただけに、ひとりで歩くことには慣れているつもりだ。しかし、寂寞の感は容赦なく忍び込んでくる。これが人生なのだ。
眼前から去ってゆかれた方たちは、それぞれ素晴らしい生を生き、ひとりの人間として毅然として旅立ってゆかれた。自分にもその時が近づいていることは、分かっているのだが、どんなことになるのか。今まで通り、ゆっくり歩いていくしかない。