アフガニスタンで中村哲医師が凶弾に倒れたニュースは、瞬く間に世界に伝わった。20年以上前に遡るが、ある国際協力に関わる会で、中村哲先生の講演を聴いたことがあった。日本が誇るべき真に偉大な人のひとりと即座に感じた。日本であったなら人も羨む恵まれた仕事も待っていたかもしれないのに、自ら進んで戦乱の地に活動の場を求め、医師でありながら井戸を掘り、灌漑事業に力を尽くすという想像し難い仕事に生涯をかけられた。
ブログ筆者がアフガニスタンに関心を抱くようになった背景のひとつには、中村哲先生の話がどこかで影響していたかもしれない。先生が日本ではメディアも「カブール」と言う表記で知られているかの地の首都を「カーブル」と言われていたことも、耳奥に残った。
かつては東西文化交流の要衝の地として栄華を極めたアフガニスタンが、その後なぜ低落の道を辿り、世界で最も過酷な戦乱の地と化したのか。一時期、多少のめり込んで調べたことがあった。タリバンの抬頭、イスラム過激派ISの出現など、実態は宗教的対立に政治的要因が絡み、なかなか分かりにくい。中村医師を襲った者がいかなる背景を持つ勢力なのか、実態解明には時間がかかるかもしれない。
今はただ心からご冥福を祈りたい。
アフガンに関わる本ブログ記事:
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