時空を超えて Beyond Time and Space

人生の断片から Fragmentary Notes in My Life 
   桑原靖夫のブログ

17歳の決断:アメリカ軍のリクルート

2006年11月18日 | 回想のアメリカ

    11月17日の「追悼ウイリアム・スタイロン」の記事の中で、かつて若い頃、アメリカの大学キャンパスで目にしたROTC(Reserve Officers' Training Corps:予備役将校訓練部隊)について言及した。ところが、翌日の18日、ふと見たBSドキュメンタリー「高校生を獲得せよ:米軍リクルート活動」*で、ジュニアROTCをとりあげており、あまりのタイミングの合致に目を疑った。

  イラク戦争に深くかかわっている米軍は、多数の兵員を必要としている。そのために、1960年代から、Junior ROTCと称する高校での軍事教育訓練を実施している。現在では全米で3000校、高校生40万人が参加している。ニューヨークでは、米軍はブロンクスなど黒人、ヒスパニックの多い地域で、重点的にリクルート活動を行っている。貧困な家庭のため大学に行かれない高校生を、除隊後の奨学金、在役中の安定した給与で誘っている。

  数は少ないが、軍のリクルーターを生徒に近づけないよう追い返しているしっかりとした校長もいないわけでない。しかし、人生経験の浅い17歳の高校生は、リクルーターの執拗な勧誘で入隊を決めてしまう

  9.11以後、愛国心に訴えるリクルーターに誘われて、軍隊に入ったところ、たちまちイラクへ送られ、幸い帰国し、除隊した若者の1人が、これではまるで「貧困者に的を絞った徴兵制度」 economic draft だと述べていたことに共感した。

  現在では海外派兵の対象とはならないと思われていた州兵も海外へ派遣される。さらに、「落ちこぼれ防止法」No Child Left Behind Act という驚くべき法律が軍リクルートを支えるひとつの背景になっていることを知り、さらに愕然とした。「教育基本法」審議の現状を目の前にして、しばらく不眠につながる原因が増えてしまった。


* 「高校生を獲得せよ:米軍リクルート活動」BSドキュメンタリー・シリーズ、2006年11月18日

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