和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

ほぼ慈善事業。

2009-12-24 | 短文紹介
宮崎正弘著「朝日新聞がなくなる日」(WAC)に
雑誌「諸君!」に言及したあとに、こう書かれておりました。

「オピニオン雑誌の経営というのはほぼ慈善事業に近い。商業主義としてはコストがあわずまっとうな経営はできない。基本的にはマーケット需要ではなく、発行母体の経営状態に大きく左右される。日本一の出版社である講談社が、76億円の赤字決算(2009年3月発表)。・・・」(p96)

うん。そうか。オピニオン雑誌というのは、慈善事業に近いのだ。
その慈善事業の月刊雑誌の新年号を買ってみました。

WILL・正論・新潮45・Voiceと4冊。ちなみにWILLはもう2月号発売。
Viceの巻末コラム「巻末御免」の谷沢永一氏が終了して、次はどなたかと見れば「平成始末」と題して山折哲雄氏が連載をはじめておりました。

新潮45は、新春特別対談として養老孟司・内田樹。
そういえば、司馬遼太郎さんの晩年、私は週刊朝日の司馬遼太郎の新春対談を毎年たのしみにしておりました。とそんなことを思い出します。

正論は、金美齢の独占手記「私はなぜ日本国民となったか」。
こちらは、産経抄で取り上げておりましたので、それで雑誌購入。
正論の読書欄は、この回しか存じませんが、充実しておりました。
曽野綾子著「弱者が強者を駆逐する時代」を鷲田小彌太氏が書評しております。
「著者は極貧と殺戮が蔓延している国の最下層の人々を比較して、日本人はなんて世界知らずだ、無防備だ、と難じているのか。半分はそうだ。しかし他の半分、最重要部分は、無知と無防備が人間の生きる力を衰弱させ、人間に衰滅の道を歩ませると警告する。強い説得力を持つ部分だ。本書の魅力の一つに生活の知恵とでもいえる処世術が随所に出てくることがある。・・・・」(p287)

次の坂崎重盛著「神保町『二階世界』巡り」(平凡社)の書評は岡崎武志。
その次の潮匡人著「日本を惑わすリベラル教徒たち」(産経新聞出版)の書評はコラムニスト・清洲橋三郎(私ははじめて聞く名前です)。その清洲氏の書評の最後を引用。

「たとえば『悩む力』がベストセラーとなった東大教授の姜尚中氏について潮氏はこう記す。【 何が教授と私を隔てるのか。おそらく『知性』以前の感覚が違うのであろう。どちらが正常かは明言しない。ただ、いくら教授の主張が水平次元の支持を集めようと、私は認めない。『少数者』に甘んじる。姜謹製『自分を信じるしかない』『自分の知性を信じるしかない』『確信するまで悩むしかない』との御託宣こそデマゴギーである。私は『自分』も『自分の知性』も決して信じない。正統的な良識が私にそう告げる 】
真正保守として、潮氏が信頼にたる人物であることがよく分かるではないか。」

この次は長野晃子著「『恥の文化』という神話」(草思社)を稲垣真澄氏が書評しております。その下の短い無署名書評は、「寺田寅彦 バイオリンを弾く物理学者」(平凡社)と、小山明子・野坂暘子著「笑顔の介護力」(かまくら春秋社)。

WILLは、一月号・二月号とつづけて『加藤陽子「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」徹底批判』を「新シリーズ現代史を見直す」で取り上げております。未読。
コメント (2)
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