和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

あの日。

2013-05-25 | 短文紹介
毎日新聞の「今週の本棚」。
その古新聞を整理してたら、
中島岳志の書評(4月7日)がでてきました。
書評本は、いとうせいこう著「想像ラジオ」(河出書房新社)。
この書評で、私は本を購入しました。
そして今度、あらためて書評を読む。

うん。これも、愉しいなあ。
中島岳志氏は4月から「今週の書評」のメンバーになったのだと
次の頁に書かれておりました(そういえば、朝日新聞で書評を以前書いておられたなあ)。
さて、書評は、こうしてはじまっておりました。

「あの日、津波が去った後、高い杉の木の上に一人の男が引っかかった。DJアーク。赤いヤッケ姿で、姿勢は仰向けだ。
彼は自らの死を認識しないまま、人々の想像力を電波にラジオ番組を流し始めた。それが『想像ラジオ』。リスナーの多くは死者だが、生者にも届く。大切なのは、生と死の二分法ではなく、聞えるか聞えないか。・・・」

ああ、うまい書き出しだなあ。
ここだけで、本の全体を俯瞰できる。
読後に、書評を読み返すと、
書評の味わいが深まります。

うん。書評は二度おいしい。
一度目は、その書評で本を手にする楽しみ。
二度目は、読後、その書評を味わう楽しみ。

何で、こういうことを意識しなかったのだろう。
よい書評は、楽しみの奥行をぐんと押し広めてくれますね。
コメント
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