和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

大槌町へ。

2013-05-24 | 地域
日経新聞2月24日の、稲泉進氏の書評が印象に残りました。
竹沢尚一郎著「被災後に生きる」(中央公論新社)。
竹沢氏は国立民俗学博物館教授。
とりあえず「はじめに」を読む。
そこにこうあります。

「被災から二週間たっても現地の状況がいささかも改善されていないことを知ったとき、私たちは話し合って親子三人で被災地の支援に行くことを決めた。そのとき、気持がふっと軽くなったこと、救われたような気がしたことを、今でも鮮明におぼえている。
それでは、どこへ行くべきか。宮城県が多くのボランティアを受け入れていたことはインターネットで知っていたので、私たちはボランティアの少ない岩手県に入りたいと考えていた。しかし、被災後しばらくのあいだ、岩手県下の市町村の多くは、おそらく混乱を避けるためか、外部のボランティアの受け入れを拒否していた。そのなかで、ほぼすべての機能を喪失していた大槌町だけは、それを断る余裕もなかったのだろう。外部ボランティアを受け入れていた岩手県下で唯一の市町村であった。その意味で、私たちが大槌町を選んだのは自然ななりゆきといえた。」(p12)

本についての言及が、ありがたい。

「東日本大震災についてはすでに多くの本が書かれている。その上に、さらに本書をつけ加えようとする理由は何か。とりわけ、大槌町ととなりの釜石市箱崎半島の二つの地域に限定して書き進めることで、本書は何をめざすのか。・・・
今回の被災の全体を俯瞰するには中央の新聞社が出した縮刷版が有用だが、とりわけ現地社会に深く入り込んだものとして、地元の岩手日報社や河北新報社、三陸新報社などの出版物が参考になる。」

 それについては、註で本を紹介しております。
『岩手日報社「特別報道写真集 平成の三陸大津波」
河北新報社「河北新報特別縮刷版3・11東日本大震災カラー版1ヵ月の記録」
「東日本大震災全記録 被災地からの報告」
三陸新報社「巨震激流 3・11東日本大震災」
また、現地で撮影されたビデオを編集したものとして
IBC岩手放送「3・11岩手・大津波の記録 2011東日本大震災」
総合広告社「岩手は半歩歩き出す。」がある。』
「最初期の出版につづいて、ジャーナリストやルポライターが書いた本や、さらに被災者自身がみずからの経験を物語った作品があらわれてきた。これらは、先に出版された記録ではうかがうことのできない、被災者の個人的経験や悲しみ、救援活動時における困難や労苦に焦点をあてたものであり、そのいくつかは強いインパクトを与えることに成功している。・・・」

この註として本が列挙されているのでした。

『本書が取りあげる大槌町と釜石市に関する本として以下のものがある。
根岸康雄著「生存者 3・11大槌町、津波てんでんこ」
東野真和著「駐在記者発 大槌町 震災からの365日」
石井光太著「遺体 震災、津波の果てに」
片田敏孝著「子どもたちに【生き抜く力】を 釜石の事例に学ぶ津波防災教育」』

うん。これだけのリストがあれば、東日本大震災を、どの地域から手をつけてよいのか分からずにいた、私にとって、ありがたい限りです。
コメント
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