和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

ふるさと=中学生。

2013-05-26 | 短文紹介
猪瀬直樹著「唱歌誕生 ふるさとを創った男」(中公文庫)を買いました。
著者による「中公文庫版のためのあとがき」が、1頁あります。
うん。本文は読まずに、解説から。
解説は、船曳建夫氏。
この解説は、「日本の近代 猪瀬直樹著作集9」よりの再録とあります。
そして、最後に附録として
母校の長野県の中学校での、記念講演が載っておりました。
うん(笑)。それを読みました27頁ほどの文は、
たとえれば、耕した畑に間隔をおいて種をまくように、
中学生へ語り掛けたいことを、置いてゆくように、
私には読めました。
うん。それはそれとして、
講演の最後を引用したくなります。

「たまたま僕の知り合いで、新潟県出身の新井満という作家がいますが、彼の娘さんがロンドンに留学したら、自分で一人で夜中に『故郷(ふるさと)』を歌ったというのです。これから皆さんも東京に行ったり、あるいは外国に行くかもしれませんが、この歌が大きな支えとなると思います。それはなぜかというと、『いつの日にか 帰らん』ということもそうですが、『夢は今もめぐりて』も大切です。その『夢』というのは何か。『ふるさと』というのは何か。それは場所ではないんです。・・・・結局ふるさとというのは、自分のふるさとというのは、中学生くらいのころのことなんです。小学校から中学、高校くらい。特に中学くらい。つまりそのころ考えた夢のありか、それがふるさとなんです。だから空間だけではないんです。空間もそうなんだけど、時間の中にふるさとはあるんです。・・・・たぶん高校に入ったらあまり歌わなくなると思いますが、いずれ外国に行ったり、遠くに行ったりしたときに、中学生の時にいったい何を考えていたんだろうなあという時に歌うといいと思います。」(1996年10月12日)

そういえば、「学びのふるさと」という日経新聞の連載があり、
日経新聞2013年4月19日は、楳図かずおさん(76歳)の回でした。
何でも「筆を休めるまで最後の長編となっている作品『14歳』」があるというのでした。
インタビューのなかでは「終戦直後に聞いたGHQのマッカーサー元帥の言葉。【アメリカが40代なのに、日本は12歳の少年である】と発言したのですが、僕はずっと【14歳】と記憶違いしていた。」という箇所もあります。

ついでに、もうひとつ引用。
岡康道・小田嶋隆対談「いつだって僕たちは途上にいる」(講談社)に
【中二病】という箇所があったのでした。

(注・【中二病】の定義には諸説ありますが、男性の方はご自身が14歳のころ、社会をどんな風に見ていたかを思い出していただければ、概ねよろしいかと思います)(p098)

そのあとの対談に、こんな箇所がありました。

小田嶋】 いや、巷間言われる中二病とはちょっと表れ方が違うと思うんだけどね、むにょむにょ(と、往生際が悪い)。
――それを克服しようとは思わないんですか。
岡】 もう無理ですね(と、開き直る)。
――自分が中二病だという自覚はありました?
岡】 まあ、言われてみればそうですよね。
   いや、何となくありますよ。
小田嶋】 だから、だいたいあるところで成長が止まった部分って、それは本当は直らないよ。
岡】 直らないよね。
小田嶋】 ちゃんと組織で揉まれた人間は、そこのところは角が取れていくのかもしれないけど、そこを嫌だ、と言って俺も岡も組織から出ちゃった人なわけだから、その中二的な変な角がちょこちょこ、ちょこちょこ出るわけでしょう。
岡】 取れないですよ。
・・・・・(p099)


ああ、ここまででいいや。
「唱歌誕生」の本文は、また今度機会があれば読むことに(笑)。
コメント
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