梅棹忠夫著「山をたのしむ」(山と渓谷社)。
登山部の京都と関東とを比べた対話の箇所。
小山】 ・・人間関係がずいぶん絡んでくるでしょう?
軍隊式登山部にはものすごく批判的ですね。
梅棹】それはそうや。われわれは軍隊式とはまったくちがう。
その点で関東のはいかん。
小山】こんどは関東か(笑)。
梅棹】関東のそういう学生団体の
上級生と下級生の関係は、京都とは全然違う。
第一、わたしら三高やったけど、三高山岳部においては、
新入生からいきなり、先輩にいっさい敬称を使ってはいけない。
敬語を使ってはいけない、『さん』づけもいかんと。
全部呼び捨てです。
北アルプスやら行くと、関東の山岳部の連中がやってくる。
下級生が一番重い荷物を背負って歩いている。・・・
この気風は少なくとも京都には全然ない。
梅棹】わたしがわからんのは、山へ行って、
どうしてしごきが成り立つのか。登山は、一番、
しごきから遠い世界やと思うんやけれど。
藤木】わたしも関学の山岳部の新人のころは、
ピッケルで殴られたり、ものすごくしごかれましたよ。
梅棹】へえ。
藤木】そんなもんや、と思うから、
つぎに後輩が入ってきたら、同じことをやるわけ(笑)。
・・・・今はないですけれど。
小山】わたしが驚いたのは、
民博に入った時、梅棹さんが館長で、
議論の時はみんな平等だ、
助手でも教授でも同じだと言ったことです。
そしてこの人がまた議論に強い。
結果的にシゴキだった(笑)。
本当に対等に議論するんです。
ふつうは、お前ら駆け出しにわかるか、
と押さえてくるんですが、
このかたは一切そういうことがない。
それが山の精神ですか(笑)。
・・・・
梅棹】山の精神や。
わたしらも学会で何人もそういうふうな学者と接した。
・・・・くやしかったら議論せい、と。
議論して負けたら、先輩といえども負けは負けや、あかん。
小山】あれは、日本としてふしぎな世界でしたね。・・
(p196~198)
登山部の京都と関東とを比べた対話の箇所。
小山】 ・・人間関係がずいぶん絡んでくるでしょう?
軍隊式登山部にはものすごく批判的ですね。
梅棹】それはそうや。われわれは軍隊式とはまったくちがう。
その点で関東のはいかん。
小山】こんどは関東か(笑)。
梅棹】関東のそういう学生団体の
上級生と下級生の関係は、京都とは全然違う。
第一、わたしら三高やったけど、三高山岳部においては、
新入生からいきなり、先輩にいっさい敬称を使ってはいけない。
敬語を使ってはいけない、『さん』づけもいかんと。
全部呼び捨てです。
北アルプスやら行くと、関東の山岳部の連中がやってくる。
下級生が一番重い荷物を背負って歩いている。・・・
この気風は少なくとも京都には全然ない。
梅棹】わたしがわからんのは、山へ行って、
どうしてしごきが成り立つのか。登山は、一番、
しごきから遠い世界やと思うんやけれど。
藤木】わたしも関学の山岳部の新人のころは、
ピッケルで殴られたり、ものすごくしごかれましたよ。
梅棹】へえ。
藤木】そんなもんや、と思うから、
つぎに後輩が入ってきたら、同じことをやるわけ(笑)。
・・・・今はないですけれど。
小山】わたしが驚いたのは、
民博に入った時、梅棹さんが館長で、
議論の時はみんな平等だ、
助手でも教授でも同じだと言ったことです。
そしてこの人がまた議論に強い。
結果的にシゴキだった(笑)。
本当に対等に議論するんです。
ふつうは、お前ら駆け出しにわかるか、
と押さえてくるんですが、
このかたは一切そういうことがない。
それが山の精神ですか(笑)。
・・・・
梅棹】山の精神や。
わたしらも学会で何人もそういうふうな学者と接した。
・・・・くやしかったら議論せい、と。
議論して負けたら、先輩といえども負けは負けや、あかん。
小山】あれは、日本としてふしぎな世界でしたね。・・
(p196~198)