彗星の衝突により40年前砂漠化し、1%しか生き残らなかったソウルが舞台。
せっかく生存者1%の中に入っても厳しい生き延びる為にあっという間に格差社会が出来上がる。コア層、特別層、一般層そしてそれにも入れない難民。砂漠化しただけでなく、酸素マスクがなければ外に出ることもかなわない大気汚染により、酸素を供給できる力のある財閥が力を持ち、物流から建設まで経済活動を制圧しているのだ。財閥故、グループの系列会社内で全部簡潔というのがいかにも韓国らしい。これが別の国だったら、企業同士のつばぜり合いがありそうだが、韓国はこういう時、財閥に全部集約されるのだろう。持てる財閥VS何も持たない者という構図があっという間に出来上る。
チョンミョングループが建設したドーム(場所が光化門というのがいかにもだ)は安全地域で青空まで見えるも、一般の人々が住む場所は砂嵐が吹き荒れ、瑞々しい感じは一つもなし。それでもシェルター式の家に住み、財閥系列のチョンミョン宅配の酸素宅配を受けれる住民はいいが、バーコード式の住民登録も出来ない難民たちは宅配ドライバーを襲って酸素や食べ物を手に入れる位しか生きる術がない。
水や食料を狙う輩と対峙しつつ住民に安全に配達する任務を追う宅配ドライバーは、若者の憧れの職業。そんなキム・ウビンが演じる宅配ドライバー@5-8は人々が生きる為の命綱を配達しているだけでなく、夜は難民が住む地域を周り、人々に酸素や水を届ける。スーパーヒーローを絵にかいたような役柄だ。一般市民に匿われて手首にバーコードを持たないサウォルも5-8に憧れているものの、自分を匿っていた家が何者かに襲撃される。
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財閥の後継者であるスンホン演じるリュ・ソクは、その持てる権力を使って荒廃したソウルの中に更に新しい地域を開発しようとしているようだが、偉大な会長である父親はそんな息子を信用はしていない様子。更にそこには財閥と政界のパワーゲームも関わっているのだ。
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砂嵐が舞うソウルは昼間でも暗く、難民たちが暮らす地域も同様だ。私にとっては埃っぽい場面や略奪シーンはなんだか西部劇を連想させる。キム・ウビン演じる5-8が心優しいガンマンでスンホン演じるリュ・ソクや大統領ら権力を持っている者たちが悪徳保安官たちに思えてくる。