ボストンに程近い片田舎で養蜂家として働く男。一匹狼である自分に作業用の納屋を快く貸してくれた女性とささやかな交流を持ちながら暮らす男だが、その恩人がフィッシング詐欺で全ての財産を失い、自ら命を絶った事で、以前の生業である秘密組織の工作員としてのスキルを使い彼女の敵を討とうとする。
ミツバチを飼育し、丁寧に蜂蜜を作る生活をしていた男の元の職業は、狙った獲物を決して生かしておかない、国もその存在を治外法権として認めているビーキーパーだった。
この設定に何の疑いも持たせない演じるジェイソン・ステイサムの佇まい。戦いに向かう装備もシンプルなら、その殺害方法もあまりにも直接的で少しの淀みもない。全ての動作が相手を仕留めるというその目的に向かって迷いがないのだ。
見ている方もそのあまりのシンプルな思考に一瞬にして飲み込まれる。邪念のない敵討ちは、観ている者全員を味方にする飛んでもないパワーがある。自分の善悪の感覚を信じて疑わないビーキーパーの前に、ちゃっかりした欲望にまみれているフィッシング詐欺集団の都合の良い物言いには何の説得力もない。
ビーキーパーの破壊行為の数々と敵を仕留める素早さで驚く程のフットワークの軽さを見せる。何日間かけて復讐していたのかと思う程の量なのだが、時間にすると僅か1日程度。そのスピード感とブレない信念に敬意を表したくなる。
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なんの説得力もないフィッシング詐欺集団の警備担当者を演じるのは、ジェレミー・アイアンズ。金の為にどこまでなら魂を売り渡せるか・・・若者相手に辟易しながらもそんな役回りを演じる。重鎮の佇まいだ。
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養蜂家としての作業着、ビーキーパーとしての各種アウター、そしてパーティに潜入する際のスーツ。ジェイソン・ステイサムの衣装が素晴らしい。養蜂家としての作業着姿が驚く程スタイリッシュだ。