4人家族の中で1人耳が聴こえる女子高生のルビーは、漁業を営む父親と兄を助けならが学校にも通う。耳の聴こえない両親だが、それゆえ生活音は大きく、父は体で感じるビートを好み、大音量で音楽をかけて運転する。娘の彼女から見ても両親の姿はなかなかの破天荒ぶり。彼らの日常を知らない周囲の者にとっては、さらにその生活スタイルはなかなかファンキーに映る。幼い頃から外の世界との繋がるために家族の通訳をして来た彼女故、そのギャップに悩むもそれを1人で解決する事は高校生の彼女には荷が重いことだ。
家族の一員としてこれからも生きていくはずだった彼女の生活は、憧れの同級生につられて合唱クラブに入ったことで一気に別の色合いを持ち始める。
歌う喜びを知り、顧問の先生に才能を後押しされ、自分だけの夢を持ち始める彼女と羽ばたこうとする娘の様子に不安を感じる両親。
娘の才能を家族が気づく場面にはハッとさせられる。自分たちの見たことのない娘の姿を見て娘の才能を知り、娘が自分たちのもとから巣立っていく事に喜びと少しの寂しさを感じる両親。ただ、娘が旅立つ事で自分たちの新しい一歩を踏み出すことになるのだ。
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彼女の才能に気づき、個人レッスンを行う合唱部の先生の距離感がなんとも言え無い。彼女の境遇に気付きながらも、時間のやりくりがつかずにレッスンに遅刻する彼女の態度をきちんと叱る。彼女の才能を認めつつ、夢を追うことの難しさと厳しさもきちんと教えてくれ、最後にはきちんととその夢に寄り添ってくれるのだ。素敵な先生だ。