パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

孤独になっていく子供たち

2006年12月19日 21時37分45秒 | Weblog
「日本人はなぜここまでこわれたのか」
  マークス寿子著  草思社刊

しばらく急ブレーキがかかっていた読書だが
この本は一気に読んでしまった
この人の本は確か前に一度読んだ事もあったはずだが
その時もイギリスの社会と日本との比較が興味深く解説されていたが
改めてよその国の状況を知ると
如何にこの国が変な方向に向かっているかがわかる

(1)ゆとりのない社会
(2)東京の郊外化する地方都市
(3)なぜ犯罪は広がったのか
(4)少子化対策はお笑い草
(5)増え続ける、男のように生きたい女
(6)金がすべての世の中に
(7)何より見かけが大事
(8)大学で何を教えるか
(9)怒れ 高齢者
(10)ふるさとがなくて愛国心が育つか
(11)遅れている国 進んでいる国
以上の11章にわたって述べられているが
実は、そこに記述されている事は何ら新しい事ではない

というより、おそらく多くの人が薄々感じている事なのだ
つまり、明らかによくない方向に向かっている、と

ひとつひとつには様々な意見があるだろう
特にフェミニズム、少子化対策のあたりは全面的に
この人の意見に賛成できない人がいるだろう

話は変わって
自分は20年程少年サッカーのコーチをやってきて感ずる事が一つある
それは確かに昔の子供と今の子供とは明らかに違うという事だ

一言で言えば今の子供は孤独だ
無邪気に人懐っこいというより
どこか自分を抑えている子が多いように見える

自由で何でも勝手にやって、我慢が足りないといわれるが
本当のところでやりたい事が出来なくなっているのではないか
と思ってしまう

子供時代にやりたいこと、
実は思いっきり遊ぶ事、が大事なのではないのかな
遊んでいるように見えても、大事な経験を彼らはしているのだ
そこで友達、先輩との付き合い方も知らず知らず覚えていく

その大事な時間を塾、勉強に割かれてしまっている

ドイツ人だったかが、今の日本人の勉強漬けの子供を見て
これでは大きくなってからの伸びしろがないだろうから
しばらくは日本に負ける事はないだろう
と言ってたのを覚えている

もう一つの子供っぽさ、感情の発露、爆発
それを単にキレると片付けてしまうのではなく
むしろそのような経験も必要なのだと
おおらかに見守る事も必要なのではないか
(もちろん時と場合によるが)

それが出来ないという今の世の中が
少し余裕がなくなっている気がする

子供にとってよくない世界は
多分大人にとってもよくない世界だろう

コメント
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