パンセ(みたいなものを目指して)

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下山事件(暗殺者たちの夏)

2015年08月14日 16時14分52秒 | 

暑い暑いと言いながらとりあえず読み終えた「下山事件 暗殺者たちの夏」

同じ著者(柴田哲孝)による「下山事件 最後の証言」に続く
フィクションによる作品

下山事件とは1949年7月5日 国鉄総裁であった下山定則氏が
出勤途中に失踪、翌朝轢死体となって発見された事件で
新聞紙間のみならず、検視の判断すべき
法医学上も東大対慶応・名古屋大学の対立があって
自殺説・他殺説が入り混じって結局 よくわからないままで
迷宮入りした事件 (公には自殺説)

轢かれて死んだとするには死体に血が少なすぎて
予め血が抜かれていたのではないかという疑いや
(つまり轢かれる前に死んでいた)
体が何かの油が付着していたとか
轢かれたとする線路の上り方向200メートルに渡って
ルミノール反応が見られたり(下山氏の血液型の)
余りにもわざとらしい証言・アリバイ
それに奇妙な電話や落書きが続々と登場
つまり普通の事件ではない

検視を最初行ったのは捜査2課、この捜査2課は他殺説
しかし急遽仕切ることになったのは自殺説を唱える捜査1課
また捜査の中心人物も急な人事異動が起きてしまう

この事件は謎が謎を呼んで、ハマる人はハマってついついこれに関連した
本・資料を求めることになる

自分もその中に一人
といってもそれほど多くはないが
参考にしたのは
「下山事件(シモヤマケース)」森達也
「謀殺 下山事件」矢田喜美雄 
「葬られた夏 追跡下山事件」諸水裕司
「日本の黒い霧」松本清張
そして 冒頭に上げた「下山事件 最後の証言」柴田哲孝

さてフィクションによる、再確認のようなこの本は
初めて読む方は全然面白くないかもしれない
しかし、ある程度この事件の奇妙な出来事を予備知識として
持っていると、それはポワロの謎解きの説明みたいなもので
様々な違和感のある出来事が説明される
いやポワロというよりは、刑事コロンボの事件の成り行きの紹介
といったほうがいいかもしれない
そしてその一つ一つは案外リアリティを持っている

日本には未解決事件が多い
最近ではグリコ・森永事件
3億円強奪事件
でも謎の深さ、影響力の強さから考えると
この下山事件は破格の規模 

結局、この事件で誰が得したのか?

この事件はまだまだハマリそうな人物が増えるに違いない
でも、このフィクションよりは前作のノンフィクション
「下山事件 最後の証言」の方が迫力があって面白かったかな
 

 

コメント
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