物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

考えること

2010-11-20 13:27:36 | 日記・エッセイ・コラム

小児科医の松田道雄が高齢になって80歳を越えたころの随筆で、岩波書店の発行の新しい森鴎外全集の購読予約をしようかどうかと迷っているという一節があったと思う。

これは「安楽に死にたい」というエッセイの一節だった気がする。これを読んだのは多分長年購読している岩波書店のPR誌「図書」であり、彼のエッセイを収めた同名の書が出たのかどうかはしらない。多分出版されているのであろう。

こういうことを書いたのは実は最近小山昭雄著「経済数学教室」全九巻(岩波書店)を予約購読しようか、どうしようかと考えたからである。これは松田道雄のエッセイを書いた歳と比べればまだ私は10歳くらい若いが、もちろん自分の寿命との関係を考えたということである。

私は基本的に文学書は読まないので、文学に関係したものを予約購読したのは、みすず書房から出た「ロマン・ロラン全集」くらいである。

あとはもちろん寺田寅彦全集は予約購読をしたが、それは寺田が科学者であったからである。もちろん寺田のエッセイはなかなか興味深いものであり、これはやはり文学であろう。

文学くらい読まないでどうするという、声が聞こえてくるが、これは文学に浸れば、理系の学問などはやらないようになるだろうと若いときに自分で思ったからである。

結局、「経済数学教室」は予約注文したが、これからはそういう考慮をいつもしなければならないであろう。私はそれほど蔵書家であるとは思っていないが、妻などは一生に読める本の数などは多寡が知れているという意見の持ち主でいつも皮肉を言われる。

もっとも姪がいつだったか我が家を訪れたときに、「叔父さん、本棚を見せて」というので、見せたらびっくりしていた。が、それはProgress of Theoretical Physicsという雑誌を若いときからとっていたのが書棚の大部分を占めるようになっているからである。 しかし、この雑誌もあと数年の寿命のようで数年後にはなくなるだろうと予想される。