宮崎信行の「新・夕刊フジ」

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

「粗特の1月提出は邪道」小沢代表が与党批判で通常国会の戦略明かす

2008年01月04日 22時14分28秒 | 第169通常会(2008年1月~6月)ガソリン国会

【当ブログの予想通り通常国会の焦点になってきた「粗特」】

 ガソリン税自動車重量税などの暫定税率を定めた租税特措法

 これを延長する法案を衆参両院が通さないと、2008年度、「インフラ整備の特別会計」に3兆円の穴が空きます。

 ただし、この税収は毎年度6000億円ほど余剰気味。
 地方の道路建設だって、一般会計からオカネを出せば問題ないんです。(
まあ、最近の一般会計だと、ちょっと足りないかな。)

 「粗特」をやめ、ガソリン税の暫定税率を廃止すれば、ガソリンは1リットル=125円に値下がりする見込みです。

 いわば、粗特廃止は「魔」法です。

【粗特を1月に提出する奇策】

 ねじれ国会で迎えるはじめての通常国会。

 自民党が奇策を考えているようです。まずは「粗特」をパッケージ化して、一括提出→一括審議→一括採決をはかる「パッケージ化

 自民党は通常国会で
衆院予算委
 
 2008年度(平成20年度)当初予算案を審議中に

衆院財務金融委(旧大蔵委員会)で
 2008年度の税収に関する「粗特」延長法案を可決→参院に送付

 する方針です。

 つまり、予算より先に税金徴収の特例法案を可決しちゃおう
 というわけなんですよ。

 与党は
 憲法の「3分の2条項
 衆院で審議・可決→参院で可決・否決→衆院で自公の3分の2で再可決

 を使う前提として

 憲法の「60日規定
 参院送付後、60日間採決しないときは、否決とみなすことができる

 を使おうとしているのです。

 で、逆算すると、1月31日までに「粗特」を衆院で可決したい
 当初予算案は例年ですと、2月下旬まで審議して採決するので相当、気が早い話です。

【危険な賭け 額賀財務相、冬柴国交相の答弁は大丈夫か】

 これは与党にとってもかなり危険な賭け です。

 額賀福志郎・財務大臣、冬柴鉄三・国土交通大臣が答弁に詰まったら、すべて吹っ飛びます。

 冬柴、額賀両大臣の答弁は福田内閣でもあやしい方に入ります。

 衆院国土交通委員会で、冬柴さんは役人から頻りに、メモを投げ込まれています。大臣の背中から、答弁中のマイクの前にメモが投げ込まれます。
 冬柴さんは時々、目を細め、その場でメモを読み上げています。これはかなりヒドイ。答弁を終えて、席に着くときにメモが渡される大臣はよく見ますが、答弁中のメモは福田内閣では冬柴さんだけでしょう。

 参院決算委員会では、額賀さんは守屋さんのことを聞かれると堂々と答え、宮崎元伸さんのことを聞かれると、しどろもどろになっていました。なぜかは分かりませんが。
 額賀さんは相当な体力派ですが、一夜漬け勉強で連日の答弁に耐えられるのでしょうか。

【DPJ代表「憲政の常道から言って邪道だ」】

 与党の粗特への対応について、

 民主党(DPJ)の小沢代表は5日の記者会見で
憲政の常道から言って邪道だ」と言い放ちました。

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↓衆議院の審議はこちらをクリック


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租特法改正案「税率前倒し邪道」 小沢氏、対決姿勢鮮明に(産経新聞) - goo ニュース

2008年1月5日(土)02:58

  • 産経新聞
 民主党の小沢一郎代表は4日、三重県伊勢市内で記者会見し、政府・与党が揮発油(ガソリン)税の暫定税率を含む租税特別措置法改正案を年度内に成立させるため1月中の衆院通過を目指していることについて、「予算成立前に税率部分だけ1月中に上げようというのは憲政の常道から言って邪道だ」と強く批判した。民主党の暫定税率全廃の方針に党内から異論が出ていたことについては、「議論して最終的に決めたことに従うのが民主主義だ。まったく心配していない」と話し、造反の可能性を否定した。(後略)
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福田首相、「思った通りにいかなかった」

2008年01月04日 17時28分06秒 | 第168臨時会(2007年9月~1月)法案の嵐作戦
(写真は英誌「エコノミスト」。福田首相は給油再開をしたいが、国会審議(囲碁)がうまくいかず、再開できないようすを揶揄したマンガ)

 産経新聞社のMSN産経ニュースからの引用です。

 福田康夫首相は4日午前、首相官邸で記者会見し、首相就任からの100日間を振り返り、「私の思った通りにすべて、ことが運ばなかった」と述べた。会見の詳細は以下の通り。(引用いったん停止)

 福田さんって、正直な人なんでしょうね。

 たしかにこの100日間、うまくいかなかったですね。

 福田さんは「そんなの常識でしょ」が口癖だったようですが、その常識(common sence=共通感覚)が自民党内だけの常識=共通感覚に過ぎなかったということを71歳にして知ったのが、「私の思った通りにすべて、ことが運ばなかった」原因でしょう。

 内閣改造をしないことも明言しました。

 ということは、通常国会は額賀福志郎・財務大臣でいくということですが、予算委員会と財務金融委員会の答弁かけもちは大丈夫なんでしょうか?

 福田内閣の物価政策の失敗で、僕の生活水準まで「思った通り」以下にならないよう願うばかりです。

 福田内閣発足の2007年9月25日付のエントリはこちらをクリック

 ◇

(引用再開)

 「みなさん新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞ、よろしくお願いいたします。私は昨年9月にこの場所でもって総理就任のごあいさつを申し上げました。ちょうど100日が過ぎたところでございます。で、あのとき私は、この現状を打破し、そして、その中から新しい未来を築くと、こういうように申し上げたんです。で、まあ、この100日間の歩みを振り返りまして、正直申し上げまして、私は、私の思った通りにすべてことが運ばなかった。それは国会のねじれ現象ということもあったことにもよりますけれども、そういうふうにも思っております。しかしながら、何を打破しなければならないのかということは、極めて明確になった100日間ではなかったかと思っております。

 それはこれまでの政治や行政のあり方そのものについてでございます。人口減少社会に突入しました。そして、本格的な高齢化社会が到来するという中にありまして、安全で安心な社会、活力と希望に満ちた持続可能な社会を作っていくためには、政治も行政もこれまでの発想ややり方を大きく転換し、生活者、そして消費者の立場に立ったものにと変わっていかなければなりません。私は本年を生活者、消費者が主役へと転換する、そういうスタートの年にしたいと思っております。現在、政府を挙げて、すべての法律や制度が国民の立場に立っているかどうか、総点検を行っているところであります。この内閣では食品偽装の問題から、社会保障の問題まで、みなさんの生活に直接かかわり、かつ切実な問題に正面から取り組んで、1つ1つ着実に解決してまいりたいと思っております。(後略)(引用終わり)

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