ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

【哀悼演説】「山本さんは社会保障の良心」尾辻さん、嗚咽しながら【追記有】

2008年01月23日 22時20分50秒 | 人物

[写真は山本孝史さんの哀悼演説で咽び泣く尾辻秀久さん=23日参院本会議]

【追記2017年】こちらもご参照ください→【広報】6月11日(日)、NHKホールで、故山本孝史物語、朗読劇「兄のランドセル」、田中健さん、市毛良枝さん、尾辻秀久さん、村木厚子さんら 【追記終わり】

【国会傍聴記 2008-1-23 参院本会議】

 山本たかし山本孝史)さんへの哀悼演説が、代表質問のあと行われました。

 演壇に立ったのは、慣例に基づき山本さんが所属した民主党の反対党である自民党から。
 尾辻秀久・参院議員会長が、厚労委の仲間として、そして厚労大臣として参院厚生労働委員会で山本さんと渡り合った思い出を交えて、山本さんを偲びました。

 これに先立ち、江田五月議長がすでにご遺族に届けた弔詞を全議員起立の下、朗読しました。

 モーニングに黒ネクタイ姿の尾辻さんが壇上へ。


〔傍聴席には山本さんの遺影を抱いた山本ゆき夫人らご遺族の姿がありました〕

 2007年12月22日胸腺癌のため享年58歳で亡くなった山本さん。
 尾辻演説によると、胸腺癌は極めて珍しい病気で、2005年1月、国立がんセンター中央病院で「ステージ4の状況」と診断され、ゆき夫人は「余命半年」と告げられました。
 
 山本さんは兵庫県芦屋市に生まれ、大阪市南船場町に移りました。
 5歳の時、兄がトラックにひかれて死亡。
 「母が亡骸となった兄の脚を泣きながらさすっていたのを鮮明に覚えている」。
 この経験から、交通遺児育英基金(あしなが育英会)の活動に進みました。

 尾辻さんは自身が小泉内閣の厚労大臣だったときの参院厚労委員会での山本質問の議事録を読み返したそうです。

 「助太刀無用の真剣勝負だ、と断って質問をはじめた山本さんに、私は明らかに役所が用意した紙を読みました」とし、とっさに自分の言葉で答えると、不確かな答弁だったにもかかわらず、山本さんが「武士の情け」を示してくれたことを打ち明けました。

 年金記録の不備(「消えた年金」)など社会保障改革にかけた山本さんの参院での活躍ぶりを紹介。
 「厚労委での小泉首相との討論はいまでも語りぐさとなっています」



(演壇下に手向けられた花)

 「私事(わたくしごと)で恐縮ですが、」と断って参院本会議で自らががん患者であることを告白したがん対策基本法の討論で、「山本さんは『年間30万人のがん死亡者、3万人の自殺者の命が救われますように、議場のみなさんにお願いします』といつもと同じたんたんとした口調で話しましたが、あのときは抗ガン剤の副作用苦しみながら演説したのでしょう」

 「衆参延べ37本の議員立法を提出し、命を削って立法者の責任を果たした。国会議員こそ立法者である、との信念を貫かれた」

 尾辻さんは「がんも自殺もともに救える命」との山本さんの口癖を振り返りながら、「バトンを渡しましたよ、たすきをつなぐようしっかり引き継いでください。そういう山本さんの声が聞こえてきます」とむせび泣きながら声を絞り出すよう話しました。

 「(山本)先生、きょうの外は雪です。(病のため)ずいぶん痩せておられましたから、寒くありませんか?」



 「先生と自殺対策推進基本法の名称が『自殺推進基本法』と間違われると困るから(推進の)2文字を消してしまおう、と話したあの日のことを懐かしく思い出します」。

 尾辻さんは嗚咽をもらしながら、こう述べました。

 「あなたは参議院の誇りであります。社会保障の良心でありました。参議院議員としてのお別れの言葉といたします」


〔山本孝史さん、日テレ「NNNドキュメント'08」〕

参議院インターネット審議中継
(ビデオライブラリの1月23日の本会議、休憩後、午後の2時間36分ごろから尾辻演説です)




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「ねじれ国会」は自民党用語?

2008年01月23日 17時18分15秒 | 第169通常会(2008年1月~6月)ガソリン国会

[写真は第21回参院選・東京選挙区の風景=地域政党生活者ネットワークHP]

 だれが名づけた「ガソリン国会」。

 「マスコミ用語」なのか? 「民主党用語」なのか?
 10日ほど前から急に出てきた言葉ですが、だれが作ったのかは、 ちょっと分かりません。

 いずれにしろ、「ガソリン国会」は「ねじれ国会」の最大の焦点です。

 で、「ねじれ国会」という言葉は、「自民党用語」ないしは「マスコミ用語」でしょう。

 なぜなら、民主党(DPJ)は昨年8月の時点では「逆転国会」と呼んでいたからです。
 民主党は昨年7月の参院選を「逆転の夏」という幟を立てて勝利しました。

 「逆転の夏」の流れで「逆転国会」という言葉をつくったのは民主党です。

 それから半年。

 「ねじれ国会」という用語は巷でも耳にするようになりました。
 「週間子どもニュース」でも使われています。

 ということは、この半年間で、自民党製の「ねじれ国会」が「一般用語」になったということです。

 政治・行政の情報発信源は政府・与党が中心ですから、世論における影響力は自民党の方が強い。

 民主党は「逆転国会」という用語が聞かれなくなったことを深刻に考えるべきです。

 早く、衆院解散に追い込まないと、「逆転の夏」が忘却のかなたにいってしまいます。


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賃上げ春闘スタート

2008年01月23日 17時03分09秒 | 人物

[写真は御手洗冨士夫・日本経団連会長=経団連HPから]

 日本経団連御手洗冨士夫会長と連合(日本労働組合総連合会)高木剛会長が会談し、2008年春闘がスタートしました。

 トヨタ自動車労働組合など、金属労協加盟のハイテク企業などが賃上げを要求。その結果いかんで、それから順々に日本中のほとんどの企業の賃上げ、ベースアップ(ベア)が企業の担当重役と労働組合委員長らの交渉で決まっていきます。

 業種を問わず、2008年春闘では、正社員以外の契約社員、パートタイマー、派遣社員などの「非正規雇用」の働く人たちの賃上げも重要な課題として話し合われていきます。

 むしろ、今春闘は非正規労働者の人たちの賃上げ交渉が最大の焦点かもしれません。

 景気のいい会社の労働組合でも、「1000円の賃上げ」が要求水準として提示されつつあります。

 これから業種ごとに交渉のヤマ場を迎え、3月末までさまざまな闘いがされていきます。

 会社に眠っているお金を働く人たちにもっと回す――これが「労働分配率の改善」です。

 政府・自民党も「内需主導の新・前川リポートの作成しよう」と言っています。

 「内需主導の足腰の強い日本経済つくり」とは「賃上げ」とまったく同義語でしょう。
 最大最高の景気対策は賃上げです。
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08年春闘スタート、連合は賃上げを強く要求(読売新聞) - goo ニュース

 日本経団連と連合は23日、東京・大手町の経団連会館で、今年初めての首脳懇談会を開き、2008年春闘が事実上スタートした。

 企業業績の好調さを背景に、経団連は、賃上げに積極姿勢を示しているものの、世界的な株安を受け、企業業績の不透明感も強まっている。

 労働側は、個人消費の回復に向けた賃上げが必要だと主張しており、例年以上に激しい攻防が予想される。

 懇談会で、連合の高木剛会長は、「(海外市場の)外需依存度の高い日本経済は、(株安などの影響を受けやすく)非常にもろい。内需拡大の処方せんが賃金の引き上げだ」と強調した。

 これに対し、経団連の御手洗冨士夫会長は「日本経済は決して楽観できない状況にある。いかに(企業が)付加価値を上げていくかが労使共通の課題だ」と述べ、企業の競争力確保を優先すべきとの認識を示した。

 今春闘で、連合は、ベースアップ(ベア)の統一要求を見送り、「賃金改善」という形で労働者への配分を増やすように求めている。一方、経団連は「業種や企業規模などによって、業績にばらつきがあるのは当然だ」(御手洗会長)と、賃上げに取り組むことができるかどうかは各企業の業績次第という立場だ。

 また、連合は、パートなどの非正社員の待遇改善や、正社員の働き過ぎを是正するための残業代引き上げなども春闘のテーマに掲げている。

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政府、租税特別措置法など日切れ法案、衆院提出

2008年01月23日 17時00分25秒 | 第169通常会(2008年1月~6月)ガソリン国会

 民主党(DPJ)の「ガソリン値下げ隊」は大阪府知事選などの現場では反響が大きかったようです。

 しかし自民党、霞が関、首長(知事・市町村長)による「“三位一体”の抵抗」で風向きが変わりつつあります。

 道路特定財源のあり方と財源の手当てを含めた本質的な議論が求められています。

 ◇

 政府・自民党は例年だと2月10日ごろに提出する、租税特別措置法改正案など予算関連法案(非切れ法案)が半月以上前倒しで提出しました。

 神経質な攻防戦が続きます。

 場合によっては、自民党と民主党による修正協議が必要になるかもしれません。


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揮発油暫定税率維持の法案を閣議決定、午後に国会提出(読売新聞) - goo ニュース

 政府は23日午前の臨時閣議で、租税特別措置法改正案などの税制改正関連法案を決定した。

 同日午後に衆院に提出する。同改正案は、揮発油税などの暫定税率維持を含む内容で、暫定税率の期限である3月末までに成立しなければ、ガソリン価格が低下する一方、国や地方自治体の税収が減少する。

 政府・与党は今年度中の成立を目指しているが、民主党は反対する方針で、法案審議は難航するのが確実な情勢だ。

 額賀財務相は臨時閣議で、「国民生活に直結する重要な法案で、年度内に成立しなければ歳入面のみならず、日々の国民生活や経済活動に重大な影響を与える恐れがある。年度内成立がぜひとも必要だ」と述べた。

 租税特別措置法改正案が年度内に成立しなければ、揮発油税などに上乗せしている暫定税率がなくなり、4月からガソリン価格は1リットル当たり25・1円下がる。

 一方で、設備投資などをした中小企業に対する法人税の軽減措置がなくなるなど、増税となる場合も出てくる。

 民主党は今国会を「ガソリン国会」と名付け、暫定税率廃止を訴えている。

 一方、政府・与党は、「国と地方の税収が減るほか、ガソリン消費量が増えて環境に悪影響を及ぼす」として年度内成立を目指している。

 民主党は、同改正案のうち揮発油税に関する部分などを分離するよう求めたが、政府・与党は拒否し、年度内成立に向けて例年より10日程度早く提出することにした。

 参院自民党には1月中の衆院通過を求める声があるが、執行部は「無理をすればかえって国会が混乱する」として2月中旬ごろに参院に送る方針だ。

 これに関連し、自民、公明両党の幹事長らが23日朝、都内のホテルで会談し、同法案など予算関連法案の年度内成立を目指す方針を確認。

 出席者からは、「年度内に成立させることが最大の景気対策。株価下落の対策にもなる」などの意見が出た。

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【速報】福田首相「国内のサブプライム影響限定的」と断言

2008年01月23日 16時12分45秒 | 人物
【国会傍聴記 2008-1-23 参院本会議】

 福田首相は、23日午後の参院本会議で、世界同時株安などの金融不安について「サブプライムローンのわが国金融機関への影響は限定的だ」と断言しました。

 民主党の大河原雅子さん(東京選挙区)が日経平均株価などの低迷を例示し、国際金融市場における東京マーケットの低迷が、福田内閣の改革の停滞に原因があるのではないかと指摘した代表質問に対して“断定調”で答弁しました。

 ただ、サブプライムローン被害に関する具体的な金額などは明示せず、平成19年度補正予算案と平成20年度(2008年度)当初予算案を国会が早く成立させることが、経済対策として重要だと強調し、国会での早期可決、成立をお願いしました。

 午後2時5分ごろの答弁です。


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河野洋平、江田五月衆参議長が会談 ねじれ国会ルール模索

2008年01月23日 09時55分27秒 | 第169通常会(2008年1月~6月)ガソリン国会

 河野洋平衆院議長(自民党)と江田五月参院議長(民主党)が22日の夕方、国会内で会談しました。
 横路孝弘衆院副議長(民主党)と山東昭子参院副議長(自民党)も同席しました。

 会談では昨年8月から続くねじれ国会(逆転国会)でのルール作りを模索。

 その結果、

 重要法案の扱いなどで与野党が対立し、国会がこう着状態に陥った場合、両院の正副議長で事態の打開策を協議し、議長が調停に乗り出すことを確認しました。

 会談は河野衆院議長が呼びかけました。

  会談後、記者会見した河野さんは
「(与野党が)にらみ合って動かない時には役に立とうと話し合った」
「ねじれ国会で衆参がにらみ合って動かないとき、両院の懸け橋の役割を果たすため、今後も4人が集まって役に立ちたい」。

 江田さんは「国会冒頭、話し合いが大事だというメッセージを発し、機運を作れれば幸いだ」
「はじめから数やルールがこうだから、ということでは民主主義とは言えない」述べました。

 河野さんは“議長裁定”に積極的、江田さんはやや消極的な姿勢がうかがえます。

(毎日新聞、産経新聞、時事通信を参考にまとめました)


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