【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

「過労死[など]防止法案」が第186通常国会で審査へ 泉健太さんら提出の議員立法を閣法より優先すべきだ

2014年01月12日 14時21分03秒 | 第186通常国会(2014年1月)好循環実現国会

[写真]民主党の泉健太さん、(衆・京都3区比例)。

 民主党の泉健太さんが筆頭発議者となり、超党派議員立法で先の臨時国会会期末に提出された「過労死等防止基本法案」が衆・厚生労働委員会で継続審査になっています。

 議員立法と言えば、アメリカでは年間2万本提出され、議運(The Committee on Rules)の付託が最大の関門で法案成立率は0・1%の狭き後門、イギリスでは、初めから抽選に当選した議員でないと提出権そのものがないという狭き前門です。
 わが国でも委員会審査は、大臣の所信表明とそれに対する一般質疑(いわゆる店開き)、予算関連閣法、閣法を処理した会期末に議員立法審査という慣例になってきました。これを自民党・公明党がとりまとめた文書では、見直すことにしており、運営のなかで見直していくべきでしょう。

 もう一つ前置きとして、このブログでは、法案名で「等」は意図的に省いたり、「など」と書き換えてきました。国会では「等」は「とう」と発音する人が多いのですが、意図的に「など」と書く理由はいくつかあって、まず「等」という言葉は、国会のコントロールを外れて、行政の裁量を拡大することがあること。それと、国会傍聴ブログという性質上、漢字が多くなりがちでありながら、SEO(Google検索で上位に来るようにすること)対策ではほとんど意味がないので、「等」を「など」にしたり、省いたりしています。

 さて、「過労死等防止法」では、「等」は必要です。

 今39歳の私はそのようなことを申し上げませんが、23歳からの毎月170時間所定外労働を強制された株式会社日本経済新聞社員時代には、「生きる屍」「自殺する時間すらない」と称してまいりました。事実、私が無産階級者だったら、もう私はこの世に存在しません。



 ちなみに、大学卒業アルバムと今の私の写真を見比べて、私、あまり年取ってないですよね。新進党衆議院議員をめざして自己鍛錬を続けていて大学生のころと、別段のんべんだらりと暮らしている今。

 一方、細川護熙総理番だった高知県出身の山本拓史記者は、脳卒中で言語能力に障害を負ったまま、44歳で亡くなりました。

(参考エントリー【訃報】山本拓史記者、44歳 元日経政治部の同僚

 私は農地改悪(農地解放)後も、有産階級者であることから、健康を回復し、障害者認定を受け、40歳以降も生き続けることができます。さもなければ死んでいました。ただ、労働基準法は民法であり、刑法ではありませんから、当時社長だった鶴田卓彦氏、編集局長だった堀川健次郎氏、編集局政治部長だった岡崎守恭氏への社会的制裁はこれからスタートすることになります。必ず彼らの社会的地位を奪います。

  「過労死など」の防止のため、法案第15条は「(医療提供体制の整備)第十五条 国及び地方公共団体は、過労死等のおそれがある者に対し必要な医療が早期かつ適切に提供されるよう、診療を受けやすい環境の整備等必要な施策を講ずるものとする。 」とあります。

 これまで株式会社法人のガバナンスは、国・自治体とは、遊離していました。これからは、しっかりと、刑事的制裁も含めた、労働法制の運用が求められます。それが「ディーセント・ワーク(まともな労働)」を実現することになります。

[法案全文引用はじめ]

第一八五回
衆第二八号
過労死等防止基本法案
目次
第一章 総則(第一条-第十条)
第二章 過労死等防止基本計画等(第十一条・第十二条)
第三章 基本的施策(第十三条-第十九条)
第四章 過労死等防止推進協議会(第二十条・第二十一条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、近年、我が国において過労死等が多発し大きな社会問題となってい
ること及び過労死等が、本人はもとより、その遺族又は家族のみならず社会にとっても
大きな損失であることに鑑み、過労死等の防止に関し、基本理念を定め、及び国、地方
公共団体等の責務を明らかにするとともに、過労死等を防止するための施策の基本とな
る事項を定めること等により、過労死等を防止するための施策を総合的かつ計画的に推
進し、もって仕事と生活を調和させ、健康で充実して働き続けることのできる社会の実
現に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「過労死等」とは、業務における過重な身体的若しくは精神的
な負荷による疾患を原因とする死亡(自殺による死亡を含む。)又は当該負荷による重
篤な疾患をいう。
(基本理念)
第三条 過労死等を防止するための施策は、過労死等はあってはならないという基本的認
識の下で行われるものとする。
2 過労死等を防止するための施策は、過労死等の背景に様々な社会的及び経済的な要因
があることを踏まえ、社会的及び経済的な取組として実施されなければならない。
3 過労死等を防止するための施策は、国、地方公共団体、事業主、医療機関、過労死等
の防止に関する活動を行う民間の団体その他の関係する者の相互の密接な連携の下に実
施されなければならない。
(国の責務)
第四条 国は、前条の基本理念にのっとり、過労死等を防止するための施策を総合的に策
定し、及び実施する責務を有する。
(地方公共団体の責務)
第五条 地方公共団体は、第三条の基本理念にのっとり、過労死等を防止するための施策
について、国と協力しつつ、当該地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(事業主の責務)
第六条 事業主は、国及び地方公共団体が実施する過労死等を防止するための施策に協力
するとともに、その雇用する労働者の健康の保持を図るため必要な措置を講ずるよう努
めるものとする。
(国民の責務)
第七条 国民は、過労死等を防止することの重要性に対する関心と理解を深めるよう努め
るものとする。
(過労死等問題啓発週間)
第八条 国民の間に広く過労死等を防止することの重要性に対する関心と理解を深めるた
め、過労死等問題啓発週間を設ける。
2 過労死等問題啓発週間は、十一月十七日から同月二十三日までとする。
3 国及び地方公共団体は、過労死等問題啓発週間の趣旨にふさわしい事業が実施される
よう努めるものとする。
(法制上の措置等)
第九条 政府は、過労死等を防止するための施策を実施するため必要な法制上、財政上又
は税制上の措置その他の措置を講じなければならない。
(年次報告)
第十条 政府は、毎年、国会に、我が国における過労死等の概要及び政府が講じた過労死
等を防止するための施策の実施の状況に関する報告書を提出しなければならない。
第二章 過労死等防止基本計画等
(過労死等防止基本計画)
第十一条 政府は、過労死等を防止するための施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、
過労死等を防止するための施策の推進に関する基本的な計画(以下「過労死等防止基本
計画」という。)を策定しなければならない。
2 厚生労働大臣は、過労死等防止基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければな
らない。
3 厚生労働大臣は、過労死等防止基本計画の案を作成しようとするときは、関係行政機
関の長と協議するとともに、過労死等防止推進協議会の意見を聴くものとする。
4 政府は、過労死等防止基本計画を策定したときは、遅滞なく、これを国会に報告する
とともに、インターネットの利用その他適切な方法により公表しなければならない。
5 政府は、過労死等をめぐる状況の変化を勘案し、及び過労死等を防止するための施策
の効果に関する評価を踏まえ、少なくとも五年ごとに、過労死等防止基本計画に検討を
加え、必要があると認めるときには、これを変更しなければならない。
6 第二項から第四項までの規定は、過労死等防止基本計画の変更について準用する。
(関係行政機関への要請) 第十二条 厚生労働大臣は、必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対して、過
労死等防止基本計画の策定のための資料の提出又は過労死等防止基本計画において定め
られた施策であって当該行政機関の所管に係るものの実施について、必要な要請をする
ことができる。
第三章 基本的施策
(調査研究の推進等)
第十三条 国及び地方公共団体は、過労死等に関する実態の調査、過労死等の効果的な防
止に関する研究その他の過労死等に関する調査及び研究の推進並びに過労死等に関する
情報の収集、整理、分析及び提供を行うものとする。
(国民の関心と理解の増進)
第十四条 国及び地方公共団体は、教育活動、広報活動等を通じて、過労死等を防止する
ことの重要性に対する国民の関心と理解を深めるよう必要な施策を講ずるものとする。
(医療提供体制の整備)
第十五条 国及び地方公共団体は、過労死等のおそれがある者に対し必要な医療が早期か
つ適切に提供されるよう、診療を受けやすい環境の整備等必要な施策を講ずるものとす
る。
(過労死等のおそれがある者及び親族等に対する支援)
第十六条 国及び地方公共団体は、過労死等のおそれがある者及びその親族等に対する適
切な支援を行うために必要な施策を講ずるものとする。
(民間団体の活動に対する支援)
第十七条 国及び地方公共団体は、民間の団体が行う過労死等の防止に関する活動を支援
するために必要な施策を講ずるものとする。
(事業主の取組に対する支援)
第十八条 国及び地方公共団体は、労働条件、職場環境等の改善その他の過労死等の防止
のための事業主の自主的な取組を支援するために必要な施策を講ずるものとする。
(人材の確保等)
第十九条 国及び地方公共団体は、過労死等の防止に関する人材の確保、養成及び資質の
向上に必要な施策を講ずるものとする。
第四章 過労死等防止推進協議会
第二十条 厚生労働省に、過労死等防止基本計画に関し、第十一条第三項(同条第六項に
おいて準用する場合を含む。)に規定する事項を処理するため、過労死等防止推進協議
会(次条において「協議会」という。)を置く。
第二十一条 協議会は、委員二十人以内で組織する。
2 協議会の委員は、 業務における過重な身体的又は精神的な負荷による重篤な疾患に
かかった者及びその家族又は当該負荷による疾患を原因として死亡した者(自殺により
死亡した者を含む。)の遺族を代表する者並びに過労死等に関する専門的知識を有する者のうちから、厚生労働大臣が任命する。
3 協議会の委員は、非常勤とする。
4 前三項に定めるもののほか、協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定め
る。
附 則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日か
ら施行する。
(厚生労働省設置法の一部改正)
2 厚生労働省設置法(平成十一年法律第九十七号)の一部を次のように改正する。
第四条第一項第四十七号の次に次の一号を加える。
四十七の二 過労死等防止基本法(平成二十五年法律第▼▼▼号)第十一条第一項に
規定する過労死等防止基本計画の策定及び推進に関すること。
第六条第二項中「労働保険審査会」を
「 労働保険審査会
過労死等防止推進協議会 」
に改める。
第十三条の次に次の一条を加える。
(過労死等防止推進協議会)
第十三条の二 過労死等防止推進協議会については、過労死等防止基本法(これに基づ
く命令を含む。)の定めるところによる。
(アルコール健康障害対策基本法の一部改正)
3 アルコール健康障害対策基本法(平成二十五年法律第▼▼▼号)の一部を次のように
改正する。
附則第七条のうち厚生労働省設置法第六条第二項の改正規定中「労働保険審査会」を
「過労死等防止推進協議会」に改める。
附則第七条のうち厚生労働省設置法第十三条の次に一条を加える改正規定中「第十三
条の次」を「第十三条の二の次」に改め、第十三条の二を第十三条の三とする。 理 由
近年、我が国において過労死等が多発し大きな社会問題となっていること及び過労死等
が、本人はもとより、その遺族又は家族のみならず社会にとっても大きな損失であること
に鑑み、過労死等の防止に関し、基本理念を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明ら
かにするとともに、過労死等を防止するための施策の基本となる事項を定めること等によ
り、過労死等を防止するための施策を総合的かつ計画的に推進する必要がある。これが、
この法律案を提出する理由である