【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

思想信条は違えども、愛国者・市田忠義議員に万雷の拍手を贈りたい【追記有】

2014年01月18日 23時59分27秒 | 岡田克也、旅の途中

[この記事の初投稿日時は2014年1月19日(日)午前6時30分で、そこからバックデート]

【追記 2016年7月20日】

 市田忠義さんは、引退の意向を撤回し、第24回参議院議員通常選挙に出馬。7・7万票を獲得し、日本共産党(601万票)内ではトップ当選で、2022年7月までの任期を得ました。

【追記終わり】

 日本共産党は、伊豆にある党寮で大会を開き、志位和夫委員長の続投と、14年コンビを組んだ市田忠義・書記局長(参議院全国比例)の退任を決めました。後任は山下芳生(やました・よしき)氏で、昨年の第183通常国会から参院会派代表者を市田氏から引き継いでおり、予想通りの交代になりました。

 市田さんは引き続き、2016年の参院任期満了まで環境委員を務める見通し。

 さて、共産党は愛国者でしょうか。私にはそうは思えませんが、市田さんは愛国者かもしれません。

 岡田克也さんが「これも天命なのかな」と与党幹事長を引き受けた2010年。岡田さんは第176臨時国会で、菅直人総理代表・岡田幹事長が求める「小沢一郎氏の証人喚問について」、市田さんから11月30日、「党首が一兵卒の元代表に『国会に出なさい』と言い『分かりました』と言わせられないのは、近代政党として情けない。共産党ならあり得ない」と発言。これに対して、岡田さんが「うちは共産党とは違いますから」と答えたところ、市田さんが激高し、発言の撤回と謝罪を要求したようです。

 これを受け12月、岡田さんは、市田さんと会食し、「次の第177通常国会では、きっちり審議拒否なしの国会を作っていこう」と意気投合。このもようは同党の機関誌「赤旗」でも報じられました。

 あくる2011年。

 私は記者会見で岡田さんに「(30日規定も3分の2規定も使えない状況で)予算関連法案で共産党の協力を得ることもあるのか」と質問したところ、岡田さんは「案件によりけりだと思いますが、基本的に(日本共産党が)予算関連法案(で賛成するの)はなかなか難しい問題があるのではないかと思います」としながらも、「あらゆる可能性を追求したいと思います」と答えていました

 日切れ法案の一つ「子ども手当法案」が衆参ねじれによる、自民党と公明党の抵抗で暗礁に乗り上げました。「あらゆる可能性を追求する」と繰り返していた岡田さんは、 ついに、2011年3月9日、共産党が「子ども手当法案に賛成する」ことに応じてくれました。

 なぜか。これは、統一自治体選挙を1か月後に控えて、子ども手当法が失効すると、共産党のライバル公明党の児童手当が自動復活してしまうことを避けたからです。

 3月11日、東日本大震災。

 3月31日の参議院本会議で、賛成120、反対120となり、西岡武夫議長は「可決(・成立)」を宣言しました。

 ◇

 さて、子ども手当法どころではない異次元の国難となってしまった震災国会。

 6月2日、小沢グループによる許しがたい裏切りにより、菅内閣不信任案採決が混乱し、「一定のめど」発言。

 週明けの6月5日(日)のフジテレビ報道2001で、岡田幹事長は「「私は期限付き大連立をして次の総選挙で国民の信を問うのがいいと思う」と発言。

 そして、NHKに移って、全党幹事長・書記局長によるNHK日曜討論。

 まず、連立与党・国民新党の下地幹郎幹事長が自ら「大連立の話もあるけれども、こんなに(民主)党内がまとまらないのに、大連立はないと岡田幹事長にも(先週)一遍話したが、確約してほしい」 と牽制しました。小党である国民新党の埋没をおそれた発言。

 この後、しばらく大連立の話は出ませんでしたが、みんなの党の江田憲司幹事長が「大連立と言っても閣議は全会一致だから、はんこを押す押さないという話になる」と批判。

 しかし、ここで市田書記局長が「国難だから大連立をするということになると大政翼賛会的になる」と批判しながらも、「大連立をするなら期限とテーマを設けるのが秘訣だ」と助け舟(市田助言)。

 すかさず、岡田さんが「期限とテーマを決めて大連立をやっていきます」と明言すると、下地さんが「大連立という言葉を岡田幹事長が言うこと自体信じられない!」と絶叫。

 さて、この後、期限としては「近いうち解散」、テーマは「社会保障と税の一体改革」「バラマキ4kの政策効果の検証と特例公債法案の賛成」という財政問題にしぼった、閣外での大連立、すなわち「3党協議」ができて、2012年12月28日まで、我が党はしっかりと第1次与党期をまっとうすることができました。

 愛国者。

 よくわからないけれども、天皇制を否定する共産党が日本という国家に対して愛国者ということがあるのでしょうか。もちろん、「私は愛国者だから、今すぐ日米同盟を破棄して、真の独立を果たす」というネットウヨは愛国者ではありません。

愛国者はもともとPatriot です。

 岡田克也が「天命」と言って与党幹事長になり、3・11、小沢グループを切って、菅直人総理の名誉を守りながら、安宅の関を逃がした岡田勧進帳。

 日本政治の今振り返ると名場面に、市田助言があったことになります。

 思想信条は違えども、岡田の敵は僕の敵だし、岡田の味方は僕の味方です。つまり私は岡田のPatriotであり、それすなわち愛国者Patriotです。

 いつ、どこで、だれが、どんな政治状況で、どういう経済基盤で、岡田を支えたり、岡田を裏切ったりしたか、僕は一生覚えていようとしています。

 それでいえば、市田忠義さんは岡田さんを助けてくれました。それは私の中では、国家を支えてくれたこと、私を支えてくれたこととまったくイコールです。

 金子満広さんが書記局長から副委員長にひいた後も、けっこう発言力はあったと思います。市田副委員長も引き続き、われわれ二大政党をチェックしてい欲しいと期待します。

以下、関連エントリー

子ども手当つなぎ法、野党の“共”力で成立へ 岡田幹事長の「あらゆる可能性」が結実

2011年03月09日 22時16分12秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[画像]左から、民主党の安住淳・国対委員長、藤村修・幹事長代理、岡田克也幹事長、日本共産党の市田忠義書記局長、穀田恵二・国対委員長、2011年1月18日、穀田さんのブログから

(前略)

 さて。

 民主党は「平成22年度の子ども手当支給法」(第174国会閣法6号)を、半年間延長するつなぎ法案を、議員立法で提出する見通しとなりました。これに日本共産党が「前向きに検討」と社民党が「賛成」を表明しました。参議院本会議で、民主党、国民新党、日本共産党、社民党が賛成した場合は、過半数まであと「2」になります。無所属のうち、沖縄県選出で「革新共闘」で当選している糸数慶子さんは社民党などと行動をともにするとみられ、民主党と関係の深い無所属議員(例えば大江康弘さん)がもう1人賛成すれば、現行の子ども手当の6月、10月の支給にメドがつくことになります。仮に参議院で否決されても、日本共産党の「前向きに検討」により、衆院本会議での3分の2以上による再可決は確実な情勢になりました。

 民主党幹事長の岡田克也さんは9日、日本共産党の市田忠義書記局長と会談し、協力を取り付けました。

 実は岡田さんと市田さんは、秋の第176臨時国会中の与野党幹事長・書記局長会談で、大げんかになった経緯があります。2010年11月30日の会談で、「小沢一郎氏の国会招致」を求める市田さんが「党首が一兵卒の元代表に『国会に出なさい』と言い『分かりました』と言わせられないのは、近代政党として情けない。共産党ならあり得ない」と発言した際、岡田さんが「うちは共産党とは違いますから」と答えたところ、市田さんが激高し、発言の撤回と謝罪を要求したようです。この後、岡田さんが市田さんをとりなすつもりもあったのでしょうが、自民党の石原伸晃幹事長に「自民党は審議拒否をすべきでない。共産党さんを見習って欲しい」と話したところ、今度は石原さんが激怒。さらに岡田さんが公明党の井上義久幹事長に「公明党は本会議に出席してくれますか」とたずねると、井上さんが「それは、そちらがその環境をつくるべきだ」と口論になり、陰険な雰囲気の幹事長・書記局長会談となってしまったようです。

 これを受けて、岡田さんは市田さんとのわだかまりを年を越させないと考えたようで、12月、ホテル内のレストランで、市田さんと夕食をともにして、大人として「次の第177通常国会では、きっちり審議拒否なしの国会を作っていこう」と意気投合したようです。

 そして、迎えた第177通常国会ですが、「名古屋・愛知ショック」で、民主党だけでなく、共産党も「既成政党」として、共通の危機感が抱いていると考えられます。岡田さんは、まず、「児童手当法の改正」というボールを公明党に投げたのですが、よい返事がなく、また児童手当法の所得制限840万円の「拡充」の意図がうまく伝わらずに党内外の反発が出ました。

 そこで、岡田さんは児童手当法改正という公明党に投げたボールを(いったん)あきらめ、「平成22年度の子ども手当法」を半年間延長するつなぎ法案(ブリッジ法案)を議員立法する方針に展開しました。これにより、ことし6月と10月の子ども手当は、これまでと同様の金額が払われることになると思われます。仮に半年延長なら、9月分までは確定しますので、自治体の窓口により違いがあるかもしれませんが、10月の支給はある、と私は現行法も読み返しながら考えております。まだ確定ではありませんし、利害関係者は引き続き報道などでご確認下さい、子育てで忙しく、また心もせわしないのに申し訳ありませんが。

 なお、きょう(3月9日)の衆院厚労委員会で、厚労大臣の細川律夫さんが「平成23年度の子ども手当支給法案」(177閣法9)の提案理由説明に踏みきりました。ただ、これで、与野党の理事・委員による「修正協議の機運」が出てくると思います。とくに衆院厚労委は、日本共産党、社民党、公明党の委員が以前から固定していますので、話がスムーズに行くと期待しています。

 さて、ここのところ忙しくて、岡田幹事長の記者会見に行けていないのですが、私は2月7日の定例会見で、参院では自民党・公明党・みんなの党の野党共闘でも過半数には足らないので、法案によっては、予算関連法案で、日本共産党が賛成してくれるのではないかという趣旨の質問をしました。これについて、岡田さんは「案件によりけりだと思いますが、基本的に(日本共産党が)予算関連法案(で賛成するの)はなかなか難しい問題があるのではないかと思います」としながらも、「あらゆる可能性を追求したいと思います」と答えていました

 きのう(3月8日)の衆・財金委でも、日本共産党の佐々木憲昭(ささき・けんしょう)さんが「自公政権時代の基礎年金の国庫負担の2分の1への引き上げは、民主党と日本共産党は反対していた」と発言がありました。また、参院総務委員の日本共産党の山下芳生(やました・よしき)さんが、前日NHK会長を退任したばかりの福地茂雄さんが議員会館に訪れたことを驚いた筆致でブログで紹介しています。これを読んで、福地茂雄さんが社長を務めた「アサヒビール」が、キリンビールの販売量を抜いたり、ビール業界ではサントリーすらも凌駕している「強さ」の秘けつを感じ、敬服しました。

 さあ、公明党さん、元祖・地域政党なのか、はたまた、既存政党なのか分かりませんが、真価が問われる4月を前に、国会議員団も現実を見すえなければいけません。

 前へ。

 2011年3月9日の国会はこう見えても、前に進みました。

 苦しいときこそ、前へ。立ち止まると病気になりますよ、ホント。

 前に進みましょう。

 なお、あす3月10日は東京都平和の日です。東京大空襲から66年目となります。私も時間的余裕はあまりありませんが、午後1時の黙祷にご協力ください。あの東京がイチバン熱かった夜の11万人のためにも、前へ。前へ。前へ。

子ども手当つなぎ法が成立 昨年と同額で6月10月支給が確定 年長の市田議員、寺田議員が協力

2011年03月31日 17時16分12秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[写真]子ども手当つなぎ法に賛成した市田忠義、寺田典城両参院議員、参議院ホームページの所属議員一覧から

 参議院は3月31日(木)午後4時から本会議を開き、午後4時45分から午後5時10分にかけて、「子ども手当つなぎ法案」(衆院民主党の城島光力さんら提出)を審議。押しボタン式ではなく、自民党の愛知治郎さんら82人の発議で、記名投票採決(堂々巡り)をしました。

 この結果、投票総数240、賛成(白色票)120、反対(青色票)120の可否同数となりました。このため、西岡武夫議長は「可否同数のときは、憲法56条第2項により、議長が決するものとします」として、「議長の判断は可であります」として、議長の決定により、子ども手当つなぎ法は可決・成立しました。

 このほか、賛成多数で、国税つなぎ法、地方税つなぎ法、思いやり予算協定、金融円滑化法(亀井法)の延長、改正関税定率法、改正IMF・IBRD加盟法、改正内閣府設置法(地域自主戦略交付金=地方一括交付金)、改正地方交付税法、改正港湾法、改正踏み切り道改良促進法、「国会議員の歳費の3割削減法」も成立しました。

 これに先立つ厚生労働委員会でも、可否同数のため、国会法50条後段にもとづき、津田弥太郎委員長が「可」としました。衆議院は両院協議会や3分の2議決にそなえて、午後12時に始まった本会議を休憩にしていましたが、参議院でイッパツで決まりました。

 
[画像]挙手による採決で、可否同数となったため、委員長として「可決」を宣言した津田弥太郎・参院厚生労働委員長。津田さんの隣には、ボードを持った参院事務局職員の姿が。


[画像]子ども手当つなぎ法の委員会可決を参院本会議に報告する津田弥太郎委員長、2011年3月31日、午後4時45分ごろ。参議院インターネット審議中継からキャプチャ。


[画像]記名投票採決で、白色票(賛成票)を投じ拍手を浴びた寺田典城・参議院議員=オレンジ色の丸囲み。


[画像]集計する参議院参事たち。白色票と青色票がまったく同じ120票ずつなのが、画像からもうかがえます。

 これにより、4月~9月支給分の子ども手当は昨年と同様の金額が支給されることが確定しました。

 このほかにも、重要な歳入関連法案のつなぎ法や、歳出関連法(日切れ法案)が可決・成立し、「3月危機」と言われた、ねじれ国会での予算関連法案をめぐる攻防は一段落しました。今後は、まずは、歳入では、赤字国債の発行に関する臨時特例法案、歳出で間に合わなかった在外公館などの給与法案、そして、4月補正予算案、さらに6月末につなぎが切れる、国税、地方税それぞれの改正法案があります。そして9月末には子ども手当つなぎ法も切れます。また、税と社会保障の改革(消費税アップ)もけっして、政治スケジュールから吹っ飛んだわけではありません。

 私は6月22日(水)の会期末などありえない。秋の臨時国会を8月に前倒すというアイディアもないと思う。第177通常国会を100日間以上延長して、9月過ぎまで、いつでも政府からの緊急の提案に応じたり、質疑を通じて、与野党・衆参・政府内外がいろいろな情報を速やかに共有できるシステムを整えておく。それが危機管理だと思います。

 なお、3月29日(火)の午後4時過ぎ、衆院厚労委での審議で、厚労委理事および議運・国対の経験が長い、自民党の田村憲久さんがスピード質疑のなかで、法案提出者である、民主党政調会長代理で政務三役の経験がまだない、城島光力さんが答弁席で長広舌だったとして、「前段後段が長いというのは、問題がありますよ」と指摘しました。この自民党の国会運営の中堅エース格が「問題がありますよ」といった意味がどういうことか、民主党の政府外議員には、受け止めて、よく考えて欲しいと思います。

 
[画像]法案提出者として答弁した城島光力・民主党政調会長、2011年3月29日、衆院厚労委員会、衆議院インターネット審議中継からキャプチャ。
 
 また、3月31日(木)の参院本会議での討論では、自民党の石井準一さんが平成23年度における子ども手当支払い法案(閣法)と、子ども手当つなぎ法案(衆法)に関して、「一つの国会のなかで、政府と与党で異なる法案が出たことは問題だ」と指摘したうえで、「ぶれる政府が現在の国難に対応できるわけがない」としたのも、説得力がある話でした。もちろん、「走りながら考える」(岡田克也幹事長)なかで、市田忠義さんや、寺田典城さんら人生経験のある70歳以上の議員、市田さんは満68歳ですが、戦前・戦中生まれでもある年長議員が助けてくれたわけです。なぜ困難なときに、57歳の岡田さんを、ギリギリのところで年長議員が助けてくれるのか。前に進む岡田さんの道がひらけるのか。まあ答えは言葉で書けば、これはカンタンです。カンタン過ぎるからあえて書きません。映画で、俳優が態度で表現しようとすると、これはとても難しいでしょう。民主党内に岡田幹事長の背中を全速力で追いかけながら、言葉でなく態度で示せるようになった議員が民主党内に数人だけでも、出てくれば、国難は乗り切れると思います。

 国会はノンストップで知恵を出すしかありません。前に進むしかありません。

岡田、石原両幹事長「期間くぎって大連立」衆参ねじれ克服で懸案処理→総選挙二大政党定着へ【追記あり】

2011年06月05日 10時44分51秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

 民主党の岡田克也幹事長と自民党の石原伸晃幹事長は2011年6月5日(日)のテレビ番組で、期限付き・テーマ限定の大連立政権をつくり、震災復興や、税と社会保障の一体改革などのめどをつけたうえで、第46回総選挙に臨む考えを打ち出しました。

 午前7時半からのフジテレビ「新報道2001」は岡田さんと石原さんの2人でおよそ1時間対談しました。NHK日曜討論では、午前9時から10時まで、与野党幹事長とともに出演しました。

 岡田さんは菅直人首相の進退について、NHKで、「退陣の時期を明言すれば、レームダックになる」として、出処進退は総理自身が決めることだとしながらも、「総理の判断が民意とかけ離れれば、私が進言する」として、いわゆる“鈴つけ役”を買って出ました。また、当たり前ですが、フジテレビで、菅総理・代表が辞めれば、自分も幹事長を辞めるとしました。

 石原さんはフジテレビで、「衆院選のたびに、自民党が300議席・民主党が100議席、民主党が300議席・自民党が100議席というようにスイングする選挙制度」に懸念をしながらも、今は政権交代ある二大政党制の「過渡期だ」としました。

 岡田さんは、自民党が「バラマキ4k」と批判し、平成23年度の赤字国債発行法案(特例公債法案)の見直しの前提(4月29日の3党合意)としている子ども手当について、公明党が児童手当の対象外の中学生にも月1万円支払うことを認めつつある。自民党が幼年扶養控除の復活をあきらめ(「控除から手当へ」)その分の高所得者への支給額の配慮を認めつつある。として、自公案がまとまりつつあるとの考えを示し、石原さんも同意しました。

 そのうえで、岡田さんはフジテレビで「私は期限付き大連立をして次の総選挙で国民の信を問うのがいいと思う」としました。これに先立ち、石原さんは「岡田さんと話しても、岡田さんとは違うもう一方の原理主義の人たちが邪魔をする。党内をまとめてほしい」として、マニフェスト原理主義を掲げる、小沢グループ・鳩山グループを排した「一本になった民主党と話をしたい」と述べました。この後、岡田さんは、マニフェスト原理主義の排除について、「党首選になると大きなテーマになる」となぞの発言をし、顔を赤らめました。これは、次の代表選が来年9月であることを勘違いしたため、顔を赤らめたものだと思われます。

  岡田・石原対談の後に、単独でフジに出演した前原誠司さんは、「今の打開策は時限的な大連立だ」と岡田さんらと同じ考えを明言。そのうえで、「マニフェストを見直して国民の信を問う」とし、「代表選は衆参がねじれている状態で、(時限連立内閣に参加する各党が納得する)だれが(首相を)やるのかという問題だ」としました。これに関連して、NHK日曜討論の中で、国民新党の下地幹郎幹事長は「民主党の代表は総理大臣を決める選挙だから、そのディベートは政治空白ではない」として、ある程度の時間をとってもいい、との思いやりを示しました。民主党の代表選規約では、任期途中での代表辞任の場合の代表選挙は「40日以内」(第6条の2)となっています。いかにも野党時代の規約で、さすがに40日間もとれないでしょう。昨年5月の総選挙後、英国労働党は下院議員のハーマン女史(もともと副党首=閣外)が党首代理をつとめながら、5ヶ月間かけて、エド・ミリバンド新党首(影の首相)を選びましたが、これは野党転落で時間ができたからです。民主党は与党ですから、なかなか時間がとれませんが、それでもマニフェスト見直しのための議論を経たうえでの、臨時党大会でじっくり時間をかけて建て直した方が、かえって震災復興のスピードが上がることになります。

 ここから先はNHK日曜討論の発言だけです。公明党幹事長の井上義久さんが「不信任案提出は苦渋の選択だった」と反省しました。みんなの党幹事長の江田憲司さんは時期について疑問があり、「提出に加わらなかった」としました。日本共産党書記局長の市田忠義さんは「不信任否決の翌日の参議院予算委はやめる、やめないの話ばかりだった。具体的な政策論争はわが党だけだった」「国会のやるべきことは政治の中味をめぐる論争だ」としました。

 社民党の重野安正幹事長は「再生可能エネルギーの特措法案が重要だ」、たちあがれ日本幹事長の園田博之さんは「マニフェストの優先順位を見直すことが大事だ」としました。岡田幹事長は「マニフェストを前倒しで見直す」として、自民党らに対して「特例公債法案を人質に取る方法だと、どの党が政権をとっても衆参がねじれているので何も決まらない」として、予算の30日ルールのように衆院を優先すべきだとしながら、赤字国債は半分が過去の借金の返済だとして「自民党にも責任を共有して欲しい」としました。

 江田さんは「大連立といっても、閣議は全会一致だから、はんこを押す、押さないという話になる」として慎重な姿勢を示唆しました。下地さんは「大連立ということばが岡田幹事長が言うこと事態考えがたい」として反対を明言。その一方で、市田さんは「国難だから大連立だといういことになると、大政翼賛会的になる」としながら、「期限とテーマを限ってやるのは一つの案だ」と肯定的な発言をしました。この発言を受けて、岡田さんが「今解散しても、民主党も自公もともに過半数を参議院で持っていない」と強調すると、石原さんが「岡田さんの言うように、解散しても参院は変わらない」と同調しましたが、その後、「信頼関係をつくるのが大事だ。(民主党と自民党などが大連立しても)数ヶ月から半年ぐらいして信頼関係ができていれば解散できる」と早期の解散にも言及しました。井上さんは「大連立ではなく、テーマが大事だ。例えば年金財源の安定化だ」などとしました。

 NHK解説委員の島田敏男さんは「ポスト菅は代表経験者から出る可能性がある。岡田さんはどうか」と問うと、「現時点では考えていません」と岡田さんは述べました。島田さんが「北澤俊美・防衛相が党員・サポーターも入れた臨時党大会を提案しているが」と聞くと、岡田さんは「それは気の早い話ですね」とし、「総理が正式に辞任してからの話です」としめくくりました。

 当面は、復興基本法案、特例公債法案、税制改革法案、子ども手当の見なし案、税と社会保障の一体改革の成案、第2次補正予算(案)の編成・審議・成立など重要な政策課題が続くので、これらにメドが立った段階で、民主党と自民党が大連立。それに先立ち、民主党代表選を前倒して、じっくり時間をかけて主流派(反小沢)の統一候補と親小沢系統一候補との対決。ここで、マニフェスト修正と新代表選出、そして小沢切りをし、新首班で、民主党と自民党などが連立。この時点で衆参ねじれは解消されます。ここで、国民新党や公明党、みんなの党が埋没からどう脱するのかの難しい判断を迫られます。そのうえで、ある一定の段階で、第46回衆院選で私たちが政権を選ぶことになります。私としては、政権交代可能な二大政党デモクラシーをすすめたいので、民主党と自民党、どちらが勝ってもかまいません。ただ、「300議席vs100議席」という泰山鳴動・テレビの見過ぎの日本国民から卒業して、しっかりと成熟した有権者が増えることが、日本を前に進めることになると思います。

 岡田さん、石原さん、どちらも世襲議員ではありません。2人とも、イメージのギャップがあるようですが、世議議員ではありません。ちなみに菅さんへの不信任政局で、民主党内で造反しようとした人たちは、ほとんどが世襲議員や二世議員で、非世襲議員による菅民主党への個人的な妬みが大きいように思います。

 大連立で、懸案を処理し、二大政党制の新しい日本へ。1990年初当選の当選7回生コンビが、一気に動き出しました。世の中にはいろいろな人がいます。1億人の有権者全員に分かりやすいタイムスケジュール、工程表をある程度、示してほしいところです。

 【追記あり 2011年6月6日(月)午前11時】

 岡田克也幹事長は、きょう午後7時半からの「NHKクローズアップ現代」でも、語ります。

 ところで、岡田代議士、石原代議士が初当選した、1990年の第39回衆院選の自民党のポスターをご紹介したくなりました。正確には、石原伸晃さんは公認漏れで無所属で出馬し、当選直後に追加公認されています。

 
[画像]第39回衆院選の自民党の政策ポスター(「目で見る議会政治百年史」衆議院・参議院編、大蔵省印刷局発行)

 まるでトレンディドラマのような若い男女が寄り添い、キャッチコピーは、「世界のあこがれ、自由な日本。夢ある明日へ、確かな歩み。自民党」というものです。いかにもバブル期の浮かれた日本社会の気質を感じます。自民党は海部俊樹首相(総裁)と小沢一郎幹事長のコンビで、このポスターでたたかい、275議席をとりました。その前の参院選で宇野内閣を倒した、「おたかさん」土井たか子委員長率いる日本社会党も136議席と健闘しましたが、友好政党の公明党、民社党の議席を食う格好となり、小沢自民党幹事長の逃げ切り勝ちという感じでした。経団連(当時の会長は平岩外四・東京電力会長←社長)への300億円の政治献金請求でも話題になりました。

 それにしても何か勘違いした自民党の1990年ポスター。

そして、これが1985年~1990年~2010年までの国債などの発行残高を示したグラフです。(wikipediaから)

 ↓下のサムネイルをクリックすると大きい画像になります。


[画像]第39回衆院選の各党のポスター()内は選挙での獲得議席、引用元=前掲

 この各党のポスターをみると、「くらし上向き、実感したい。生活先進国をつくる 民社党」がイチバン、今の民主党の政策の主軸になっています。

 
[画像]第39回衆院選の民社党のポスター、引用元=前掲

 また、「福祉と平和の新時代 『生活者の政治』をめざす公明党」というポスターは、公明党(Clean Government Party)が新進党を経て、公明党(New Konmeito)になった今も、変わっていない。ぶれない政党であることを感じさせます。ただし、世代交代が遅れることにもつながっています。一方で、日本共産党が「消費税、米輸入自由化ではぼくらの未来はまもれない」としていて、これは今の小沢グループの主張に近くなっています。これはふしぎな現象です。

 とにもかくにも、1990年初当選の岡田さん、石原さんは、ずっと日本が右肩下がりを続けてきた失われた20年の中、隔靴掻痒としながら、とりあえず小選挙区で7回連続当選してきた2人です。ぜひ、その両方の背中に期待したいと考えています。まずは、民主党と自民党が手を携えて、小沢切りです。【追記おわり】

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長妻昭・衆予算委筆頭理事、安倍首相の2月7日ソチ五輪開会式出席を許可へ「理性的に判断」

2014年01月18日 23時59分00秒 | 第186通常国会(2014年1月)好循環実現国会

[写真]民主党の長妻昭さん(衆東京7区)

 民主党の長妻昭・衆議院予算委員会野党側筆頭理事は、2014年2月7日(金)のソチ・オリンピック開会式への安倍晋三首相の出席を許可する考えを明言しました。

 1月18日(土)放送の「TBSサタデーズバット」での発言。

 長妻さんは、「まあ、首脳外交をするということは信頼関係を結ぶうえで、いいことなんですよね。ちょうどこの日程は予算委員会をやっているさいちゅうなんですけど、これはちょっと皮肉なんですが、自民党はこういうとき、もし野党のときであれば、こんなの許してくれなかったんですがね。我々は理性的に判断して、(2月7日は)北方領土の日でもあり、この外遊はいいと思います」と語りました。

 政権担当可能な野党、責任政党として、首相の外遊を許可する考えを示しました。

 自民党の野党期は、第180通常国会で小池百合子理事が民主党閣僚の外遊に好意的でしたが、そのほかは意図的な妨害が目立ちました。

 長妻さんは、昨年の第183通常国会に引き続き、第186通常国会でも予算筆頭理事をつとめます。骨折り損のくたびれもうけである予算筆頭を2通常国会連続で同じ議員がつとめるのは極めてまれで、政権再交代後の有力閣僚での再入閣が期待されています。


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